場合の数は算数不人気ランキングの上位に来る(個人の感想)と前回述べました。
・とにかく丁寧に調べる、書き出して調べる、的な「根性論」で終わっている
・どの問題でどの考えを使えばいいのかわかりづらい
このように感じているお子さんが多いのではないでしょうか。これではなかなか意欲も湧いてきませんね。
場合の数においては習得すべき技術はいくつかあります。
①順列・組み合わせ公式
②和の法則・積の法則
③場合分け
④余事象の利用
このうち①、②は場合の数の導入部分で必ず扱われる最も基本的な部分です。
いずれも表面的なテクニックのように見えますが、根本原理の理解が不十分だと負担感が大きくなります。③、④についてはは使わなくても一応できますが、活用次第でうまく解けるという考え方です。
今回は「数字の5を含む4桁の整数の個数」に引き続き挑みます。
前回は③場合分けを駆使して攻略できました。
今回は④余事象の考え方を使って挑みます。
父:まずは前回の栄光の軌跡をたどってみよう。
【問題】
1000から9999までの4桁の整数のうち、2025や5055のように5を含んでいる整数は何個ありますか。 (2022 本郷)
太郎:数字の5を含む4桁の整数を数える問題だったね。
まず千の位が5のときと千の位が5以外のときに場合分けした。
千の位が5のときは1000個。
千の位が5以外のときは、さらに
① 5が1個登場する
② 5が2個登場する
③ 5が3個登場する
の3パターンに場合分けしてそれぞれ調べた。
父:もれもなく、ダブりもない、完璧な場合分けで、完全制圧できた。
今回も、場合分けの話なんだが…こんな言葉を知っているか。
「世の中には、2種類の男しかいない。俺か、俺以外か。」
太郎:突然何だい。テレビで聞いたことあるよ。
自分以外の全ての男に対して際立った何かを持っているという自信を感じる。僕は平凡な男だから、そんなキザなセリフは口にできないよ。
父:そりゃそうだ(笑)。ところで、この場合分けは正しいと思うか?
太郎:ああ、そっちの話ね。場合分けかあ。
①おれ
②おれ以外
②はおれ以外の全ての男を表すから①と②ですべての男を含んでいる。しかも①と②で重なる人は…いない。
漏れもダブりもない、完璧な場合分けでーす。
父:合格!
じゃあ、今回の問題ではこんなふうに言い換えられないだろうか。
「1000から9999までの4桁の整数には2種類しかない。
数字の5を含むか、それ以外か。」
太郎:うんうん、言い換えられる。
①5を含む数
②5を含まない数
さっきと全く同じだね。漏れもダブりもない。
父:①オレに対して「オレ以外」で表される②を、①の「余事象」というのだ。①以外の事象(できごと)って意味だ。じゃあ次に聞くが、
1000から9999までの4桁の整数は何個ある?
太郎:今回は引っ掛かりませんよ。
9999ー999=9000個。
父:正解。
太郎:情報を整理するね。
「1000から9999までの4桁の整数(ア)には2種類しかない。5を含む数(イ)か、5を含まない数(ウ)か。」
(イ)と(ウ)を合わせて、すべての数(ア)を表す。アは9000だったね。
父:もし(ウ)の個数が先にわかったらどうなる?
太郎:9000―ウで
一気にイを求めることができるね!!
父:それじゃあ、5を含まない数の個数を考えてみようか。
太郎:わかった。5を使用禁止にすると、各位で使える数字は
千の位… 1,2,3,4,6,7,8,9
百の位…0,1,2,3,4,6,7,8,9
十の位…0,1,2,3,4,6,7,8,9
一の位…0,1,2,3,4,6,7,8,9
だから、5を禁止した時に作れる数字の個数は8×9×9×9=5832個になる。
これで、5を含む数字の個数が
9000-5832=3168と、あっけなく求められたよ!
父:ちゃんと前回とおんなじ答になってよかったな。
太郎:前回はかなり大変な方を数えていたんだね。余事象を活用できるようになれば、効率よく調べていくことができそうだね。
今回のまとめ
世の男を2つに分類
①オレ
②オレ以外 … これを、①オレの「余事象」という。
いかがでしたか。
①の個数を求めるのが大変なときは、②から攻めた方が有利になります。
今回はここまで。次回をお楽しみに。