「対応で数える」シリーズの第3回です。今回は図形の数え方を扱います。誰もが解いたことがある、中学受験の頻出問題です。
父:対応で数えることはわかってきたか。
良夫:そのまま数えるより、対応を使ってどんどん言い換えていくと、数えるのが楽なパターンが結構あることがわかった。
父:そうか。今回は図形問題だ。
良夫:と見せかけて、そうじゃないとか?(笑)
父:まあまあ、まずは問題をご覧ください。
問題
三角形の形は何種類作ることができるでしょうか。
ただし、回転したり、裏返したりしたものは同じ図形と考えます。
良夫:なんか大量にできそうな感じがするな。
父:じゃあ、何か1つ書いてみようか。
良夫:うん。
とりあえず、書いてみた。
父:OK。
良夫:これで1種類か。この調子で書き込んでいったら、すっごーい図になってしまいそうです。
父:はっはっは。そりゃそうだ。
良夫:ってことはここで何かに対応させることができると。
父:いい読みだ。
んじゃあ、3つの辺の外側に、数字を書き込んでみようか。
良夫:数字?
父:ああ。45度の弧を何個使っているかわかるだろう。
良夫:ああ、弧ね。1個、1個、6個だから、こうなる。
書いたよ。
父:ああ。そしたら、3つの数字に意識を集中してみてごらん。
良夫:じーっ…
何も起こりませんが。
父:数字に意識を集中すると、三角形が消えるんだよ。
良夫:どういうこと?
父:まず、おうぎ形に意識を向けるために、中心から半径を書いて、8つのおうぎ形に分けてみよう。
良夫:こうかな?
父:いいぞ。
ここでだ、意識をおうぎ形に向けるとどうなる。
良夫:おうぎ形に集中する。つまり、三角形を意識から外してこう見ろと?
父:ええでええで。
良夫:なるほどなあ。ってことは、8つのおうぎ型を3つに分割するってことになるな。
…あれっ?!
父:どうした?
良夫:扇形が消えた。
父:何と?!
良夫:図形が消えて、
父:図形が消えて?
良夫:8=1+1+6 だけが残った。
父:その心は?
良夫:8つのおうぎ形を3つに分割するってことは
8を3つの数の和で表すことと同じだね。
父:もはや三角形でもおうぎ形でもなくなっている!
良夫:ほらあ、だから最初に見せかけだけの図形じゃないのって言ったじゃないか。「図形の問題」って強調するから、怪しいと思ったんだ。
父:まあ、この問題で三角形を書き出すのはどう見てもうまくないからな。
良夫:こういう時こそ「対応」の出番だよね。なんか思考のパターンがつかめてきた気がする。
父:今回は最初から手を読まれていたようだな。それでも自力でここまでたどり着いたわけだから…
良夫:どれだけ楽したいんだ、ってことだね(笑)。
今回の「対応」
→おうぎ形を3つに分割する
→8を3つの数の和で表す
問題の答え:
8の分け方は以下のようになります。
(1,1,6)
(1,2,5)
(1,3,4)
(2,2,4)
(2,3,3)
答えは5通りでした。
これなら図形に翻弄されずに済みますね。
これらの小ネタは、単独で覚えるだけでもスピードアップに役立つネタであるのはもちろん、考え方そのものも応用することができるので、「楽したい気持ち」をもって臨めば、難しい問題もチャンスが広がるでしょう。
次回もお楽しみに。