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投稿日:2018年04月20日

テーマ: お悩み解決 / その他

かわいい子にはどこまで旅をさせるか? ―進学先の場所―

こんにちは。
受験ドクター国語科の 太田 陽光(おおた ようこう)です。

思えば私も中学受験に携わってはや10年以上が経ちます。
私が埼玉県に住んでいるから、というわけでもないでしょうが
幸いなことに、自宅に近い埼玉県にある校舎で主に働いていました。

埼玉県には、
男子では立教新座中学
女子では浦和明の星中学や淑徳与野中学
共学では栄東中学や開智中学
など、魅力的な学校はあるのですが、
埼玉県の中学受験生の第一志望は、都内の学校がほとんどした。
理由は、
多くの中学があり、より個人の好みにあった学校が選べるからにほかならないでしょう。

ただし、通学時間の問題があります。
親御様には、余程の思い入れがない限り、
片道1時間以内で通える所にしましょうと私は提案しましたし、
親御様でもそのような考えはすでにお持ちであるのが常識でした。

・・・10年以上前の話です。

昨今の鉄道会社の相互乗り入れの増加と
JRの延伸化により、
今までだと都区内の埼玉県寄りの学校にしか通えなかった埼玉県の中学受験生が、
都の南部の学校、ひいては、神奈川県の学校も受験対象校として考慮しだしました。
そして、実際に通うことにしたお子様も存在します。

学年に一人くらいなら、そういうお子様がいてもおかしくはないのですが、
最近は複数名が東京都を通り越して、神奈川県の学校に通っています。
もちろん、他県に引っ越すことを前提にお子様を受験させたご家庭もありましたので、
一概には言えないのですが、
練習としての遠距離の学校受験ではなく、
本当に通うつもりの遠距離の学校受験の兆しがあります。

遠距離の学校に通わせることを決断したご家庭にその理由を聞いたところ

乗り換えが少ない、もしくは、ターミナル駅での乗り換えがないという答えでした。

確かに、新宿駅や渋谷駅での乗り換え移動は、大人でも多くの人との交錯に気づかれを感じますが、
そのまま下車せずに、乗り換えずに行けたら、気づかれは軽減されますね。

また、始発なので座れるという答えもありました。
電車内で毎日ずっと立って通学するのは、
中学生にとって、
ましてや入学したばかりの、体も小さい新一年生にとっては、
体力がもたないことでしょう。
それが毎日座っていけるとなると、体力は温存されますし、
車内で勉強もできるかもしれません。

もっと遠くへ・・・
都内や神奈川県どころか、
関東地方を飛び出していく受験生もいます。

地方有名中学の首都圏を会場とした受験が行われるのは昔からありますね。
しかし、実際に進学することを考えた受験というよりも、
本番となる第一志望校の練習として受験している人がほとんどでしょう。

また、進学するつもりがある人も
たとえば両親の実家があるからなど、なにかしらゆかりのある土地だという理由が多かったです。
私が中学受験に携わり、クラス担任をしだしたころ、
愛媛県の愛光中学を受けるというご家庭が2年連続でいらっしゃったときにはびっくりしましたが、
やはり異例なことで、
どちらのご家庭も地元が愛媛だということでの進学希望でした。

・・・10年以上前の話です。

海陽中学が愛知県に2006年に開校しました。
特別給費生入試というものが、年明けに本格化する中学入試に先駆けて、12月に首都圏で行われます。
開校当初から、男子最難関を狙う受験生は受けていましたが、
進学となると二の足を踏むようでした。

たとえば、
残念ながら志望順位が高かった中学との縁がなかったため、
埼玉県の学校か、海陽か、という選択を迫られたご家庭がありました。
それまでは、海陽に進学という方向で話を進めていたのですが、
入学手続き締め切り直前に、
やはり、かわいい子でもそんなに遠くまでは旅をさせられない!
との母心から、埼玉県の学校に進学先を変更しました。
私自身も、「まあ、そうだろうな、それが普通だよな」と思っておりました。

しかしここ数年では、毎年のように海陽中学に教え子が進学しています。
海陽の、全寮制というブランドイメージや信頼性が上がったことが主な要因と思われますが、
お子様の行きたいという強い意思がなくては、海陽中学進学はありえないことです。

灘中学に進学するお子様も最近いました。
その子は2月の入試では実力を出し切れなかったのですが、
進学先の報告をしに、私のところに来てくれた時、
その瞳の中にはもう希望しかありませんでした。

いつのまにそんな自立心を抱いていたのでしょう。
親の心、子知らず
子どもが巣立つときは、本当に突然ですね。

灘中学に関しては、
首都圏の大手中学受験塾が最近力を入れているようです。
各塾の出す入試結果一覧表で「灘」の名が大きな字で印刷されるのは、もはや当たり前となりました。

このブログを読んでくださった保護者の方は
かわいいわが子にはどこまで旅をさせられますか?
いつかは訪れるわが子の巣立ちの時のために、
少し未来を考える良いきっかけとなってくれたら幸いです。

本当に大きな転機を自ら求めた、勇気ある旅人に幸あれ!

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