こんにちは、太田 陽光です。
「五月晴れ」
「さつきばれ」と読めたでしょうか?
漢字テストで出そうな問題ですね。
では、五月晴れとはいつの晴れ間でしょうか?
この場合の五月は陰暦のものなので、
今ではひと月後の六月、梅雨の時期の晴れ間のことを言います。
「ごがつばれ」と読んだ方はいませんか?
実は、この読み方も間違ってはいないのです。
そしてこの場合の意味は、
五月の、新緑が薫る爽やかな晴れの日となります。
いつ頃から「さつきばれ」だけではなく、「ごがつばれ」が市民権を得たかはわかりませんが、
一八七二年の太陽暦の採用以後からは言われ続けていたことでしょうし、
当時は間違った読み方とされていたことでしょう。
しかし今や、辞書に載るほど、認知された言葉です。
このように、言葉は時代とともに、変化していくものなのです。
今では当たり前に使われている言葉で、
私が中学受験講師になってから、驚いた言葉があります。
呼応の副詞を教えるときに、
「全然大丈夫です。」
「全然オッケーすよ。」
は間違っているよ、と教えています。
「全然」のあとには打消しの言葉が来なければならない
つまり
「全然~ない」
の形で書かなければ、記述では確実に一点減点されます。
先に挙げたものだと
「全然問題ないです。」
「全然ノーじゃないっすよ。」
とでも直さないと国語としては間違っているのです。
ところが、
「とても」も、打消しの言葉を伴う呼応の副詞だということをご存知でしょうか。
辞書で調べると、
1番目に、打消しを伴う意味が載り、
2番目に、程度が甚だしいという意味が載っているものがほとんどです。
本当に言葉は生きているんですね。
今一番言葉遣いで批判されているのが「ら抜き言葉」です。
ただし、日本語研究により、「ら抜き言葉」は昨今誕生した言葉ではなく、
戦前から書物にみられ、
また、方言でもみられた言葉だということが分かっています。
数十年後には、「とても」と同様に、
「ら抜き言葉」も正しいと認められ、辞書に載るようになるかもしれませんね。
でも、私は今現在正しいとされる日本語を子供はつかうべきだと思います。
もちろん、中学入試の問題で出題されるということもあります。
しかし、それだけでなく、
言葉遣いの正確さや美しさは、
相手からの人格や品性の判断基準にされてしまうことがあるからです。
外山滋比古さんの「新編 ことばの作法」で
子供へのことばの教育について、
フランス映画を例に挙げて説明していました。
娘を嫁に送り出すとき、相手に言った母の言葉
「なにももたせてやるものはありませんが、
美しいフランス語だけはもたせてあります。」
素敵だと思いませんか。