こんにちは、太田 陽光です。
今回は、修飾語の問題が模試や入試で出題されるときの解き方について
その中でも、用言を修飾するものについて書きます。
用言とは、述語になる言葉のことで、主に動詞・形容詞・形容動詞のことをいいます。
用言を修飾する問題で模試・入試問題レベルとなると、やはり答えの候補が複数ある場合が考えられます。
まず出題されるのが、呼応の副詞です。
副詞とは、主に用言を修飾する言葉のことです。
その中で、ある特定の副詞が来ると、ある特定の表現を必ず修飾するというものが、呼応の副詞です。
つまり、呼んだら応える副詞、それが呼応の副詞です。
私は、セットの副詞と名付けています。
実際に呼応の副詞の例をあげてみます(「 」のついているものが副詞です)。
「たぶん」→ろう
「もしも」→なら
「なぜ」→か
「まるで」→ようだ
このような呼応の副詞が出題されたときは、必ず修飾する表現が含まれた文節を、答えとして選びます。
【例文】[もしも] 明日 晴れたなら、僕は 海に、泳ぎに 行くつもりだ。
【問題】「もしも」が修飾する文節はどれでしょうか。
「もしも」という副詞は、「~たら」、「~なら(ば)」「~れば」などの表現に必ずかかります。
なので、答えは「晴れたなら」になります。
国語のテストでよく間違えられる呼応の副詞があります。
それは否定するとき、打ち消すときに使われる「全然」や「全く」という副詞です。
「全然」や「全く」は、本来「~ない」という否定の表現にかかる呼応の副詞です。
しかし今では話し言葉として、たとえば
「全然、平気です」
「全く大丈夫です」
などのように、使われることがあります。
呼応の副詞のルールで言えば、これらは、
「全然、問題ないです」
「まったく問題ありません」
と使わなければなりません。
受験生には、覚えておいてほしい知識です。
但し、言葉というものは変化していくものです。
「全然」が否定でない文に使われたことが過去に全くないわけではありませんし、
実際に、否定にかかる副詞も否定ではない文で使ってよい、というように言葉のきまりが変わったものもあります。
「とても」がそれにあたります。
「とても」は「~ない」という否定の表現にかかる副詞です。
「そんなことを私は[とても]言え[ない]」などのように使います。
しかし、「とても」が「~ない」にかからない文でも、おかしいと思う人は現代にはいません。
「このお菓子はとてもおいしい」などのように使いますよね。
でも、国語辞典を調べてみると、その多くで
一つ目の意味として「否定の表現にかかる」が、
二つ目の意味として、「非常に」が出てきます。
このように、今現在では、間違った使い方をしていると国語で決められている言葉でも、
数十年後には、正しい使い方として認められる可能性もあります。
但し、受験生は、今の言葉のきまりを守ってくださいね。
閑話休題
用言を修飾する言葉で、複数答え候補がある問題は、呼応の副詞だけではありません。
特に難しい問題は、文頭にある言葉が修飾するのはどれか、というものです。
その場合は、文のつながりと意味を考えて解きます。
【例文】[うっかり] 私は 友だちから お願いされて いた 約束を 忘れた。
【問題】「うっかり」が修飾する文節はどれですか。
用言は「お願いされて」、「「いた」、「忘れた」の3つですが
「いた」は補助動詞ですので答え候補からは外せます。
あとは意味や文のつながりを考えて答えを出します。
うっかり→お願いされて
うっかり→忘れた
「うっかり」の意味は「不注意で」ですので、答えは「忘れた」になります。
では次の問題はどうでしょう。
【例文】[とても] 私は 片づけられた 部屋を 見て 驚いた。
【問題】「とても」が修飾する文節はどれでしょう。
とても→片づけられた
とても→驚いた
どちらも意味のつながりは良いです。
但し、「とても」の後ろに「私は」という文節がきています。
主語と述語は文の中心です。このことを考慮に入れて読むと
「とても私は片づけられた」
「とても私は驚いた」
となり、後者の文のつながりがよいことから、「驚いた」が正解だとわかります。
このように、修飾語で難しい問題にぶつかったら、
修飾語とそれがかかる文節だけに注目せず、ほかの言葉も考慮に入れることが大切です。
その場合、修飾語を含む一文内ではなく、その前後にある文がヒントになる、ということまでありえます。
もちろん、そこまでの難問はめったにありませんが、
可能性として知っておくのは、正解に少しでも近づくために必要なものだと思いますので書きました。
2018年の栄東中学の文頭にくる修飾語の問題に少し手を入れたものを最後に載せます。
正解できるでしょうか?
[日ごとに] 秋の 気配が 強く 感じられる 天候が 続いて いる。
問 「日ごとに」が修飾する文節を選びなさい。
【答え】 感じられる