こんにちは、太田 陽光です。
近年、中学受験入試の国語では、記述力が問われることが多くなっています。
これは、大学入試改革での記述式の採用がきっかけとなったのは明らかですが、
国語の実力を見る上で記述力は外せない、という中学校側の考えも反映されたものだと思います。
さて、記述問題には私なりの分け方ですが、四種類あります。
一つ目は文章読解問題としての記述問題です。
説明文では、【線部の理由を書いたり、説明したりする記述】
物語文では、【登場人物の心情を書いたり、言動の理由を書いたりする記述】
つまり、どこの中学の入試問題でも出題される普通の国語の問題としての記述です。
これは、普段の受験勉強でしっかり行われていることだと思います。
二つ目は表やグラフから読み取れることを記述する問題です。
2018年、開成中学でグラフから読み取れることを記述する問題が出題されたのは衝撃でした。
今後多くの中学校でこの問題形式が採用されるだろう、と私は当時予感しました。
ただし、この問題形式は科目はちがえど社会でもあります。
予め国語の問題として出題されることが分かっていれば、対応は難しくないでしょう。
三つ目は提示された題目に合った自分の体験を記述する問題です。
公立中高一貫校の入試問題でよく見かける形式です。
四つ目は提示された題目に対し自分の意見を記述する問題です。
私は意見作文と呼んでいます。
今回は、この意見作文の基本的な書き方についてお話したいと思います。
意見作文を出題する最大の意図は、
「自分の意見をはっきりと論理的に主張することができるかを試すこと」
だと私は思います。
ポイントとなる「はっきりと」と「論理的に」について以下で説明していきます。
まずは「意見をはっきりと主張する」を扱います。
例題を挙げて説明します。
【問題】
幼少時からの英語教育は必要だと思いますか。あなたの考えを100字以内で書きなさい。
この問題に正解はありません。
それは万人の考えがちがうからです。
お子様を幼稚園のころから英会話教室に通わせているご家庭も間違っていませんし、
学校で教わるまでは英語教育には手をださないというご家庭も間違っていません。
ご家庭それぞれの方針に沿ってご自身の答えを持っていれば良いのです。
それを他人がとやかく言うのは、行き過ぎた行為でしかありません。
入試での意見作文にも正解はありません。
ですから、採点の際に、賛成か反対かで点数が下げられることも当然ありません。
まずいのは、賛成でも反対でもあるというあいまいな答え方です。
「幼少時の英語教育には基本賛成だけれども、ある条件では反対です。」
というような、どっちつかずの意見作文では、自分の意見がはっきりしたことになりません。
問題に対する正確な応答。問題の大前提であるこのことも求められていることを忘れないでください。
次に「意見を論理的に主張する」を扱います。
「論理的に」とは、「理由がしっかりある」ということです。
今回の例題なら、幼少時から英語教育が必要(不要)だと考える理由を書けばよいのです。
たとえば、必要と考えるなら、
「現代は国際化の時代であり、英語は世界の共通語となっているので」
「幼少期の脳の吸収力が高い時期に英語を覚えさせたいので」
という理由が挙げられます。
不要と考えるなら、
「まずは母語である日本語をしっかり覚えることが大切だと考えるので」
「母語の能力以上に後から学んだ外国語の能力が伸びることはないので」
という理由が挙げられます。
(国語の入試問題では、不要派が多いと感じます…)
いずれにしろ、読んだ相手に筋の通っている理由だと感じさせられれば、論理的な主張だと言えます。
最後に意見作文での文章構成について書きます。
私は100字以内なら3文で書くことを勧めています。
1文目は自分の意見を述べます。
最初に自分がどちらの意見なのかを採点者に明示します。
2文目はその理由です。
論理的に考えていることを採点者にアピールします。
3文目はまとめです。
最後にもう一度自分の意見を書くことで、文章をきれいにしめます。
今回の例題を3文で書いてみますと、
「私は幼少期からの英語教育は必要だと思います。
なぜなら、現代は国際化の時代であり、英語は世界の共通語になっているからです。
だから私は幼少期からの英語教育は必要だと思いました。」(86字)
ここで見逃さないでほしい重要な点は
①「なぜなら~からです。」という呼応の副詞がきちんと使えている点
②「だから」などの接続語を使用して、文と文の関係を明らかにしている点。
です。
国語の問題ですから、文法面でも添削がされる可能性を考えに入れておいてください。
問題の条件字数が増えたら、理由を2つにする、
問題の条件字数が減ったら、最後のまとめを削る、
というように応用も効きます。
まずは意見作文の基本を身につけてはいかがでしょうか。