こんにちは、太田 陽光です。
今回も前回に引き続き「推理する力」について書きます。
「推理」とは
「わかっている事実をもとにして、まだわかっていない事をおしはかること」 (『旺文社国語辞典』より)
という意味であり、
前回は「わかっている事実をもとにする」について書きました。
今回は「まだわかっていない事をおしはかること」について書きます。
前回、「わかっている事実をもとにする」ために、
問いにたくさん線を引く
ということが重要だとしました。
さて、問いの「わかっている事実」をおさえたあとに行うこと
それは、「わかっている事実」をもとにして、「まだわかっていない事をおしはかる」
つまり「推理する」ことです。
推理することで、自分の勝手な思い込みではなく、
事実に基づいた読み方・考え方・解き方ができるようになります。
正答率の低い問題も、「推理する力」を使うことで正解することができます。
例えば、四谷大塚の5年生の5月YT組分けテストで以下のような問いがありました。
大問4 問3の2 (正答率38,5%)
1で答えた方法の誕生した理由を、筆者はどのように推察しているか。指定字数で抜き出せ。(表現を少し変えています)
問3の1の問いは「つきつめたコミュニケーションの方法とはどのような方法か」
答えは「自分の思想や苦悩をわかってもらおうとして、自分の書いた日記を人に読ませるという方法」です。
では実際に、解いていく手順を追っていきましょう。
まずは、この問いでの「わかっている事実」にたくさん線を引き確認します。
1で答えた方法の誕生した理由を、筆者はどのように推察しているか。指定字数(26字)で抜き出せ。
線を引いたすべての部分を以下に番号を振って挙げ、整理してみます。
①1で答えた方法
②誕生した
③理由
➃筆者は
⑤どのように推察
⑥指定字数(26字)
⑦抜き出せ
計7か所ありました。生徒にはこの7か所に線を引いてほしいと思っています。
次に、「推理する力」を使っていきます。
・③理由+⑦抜き出せ→答えの最後は「から」や「ので」などになる
・➃筆者は→筆者の考えが書かれているところ(×例の書かれているところ)が答えとなる
・⑤どのように推察→「考えて」でも「言って」でもなく、「推察」という言葉を使っているので、
筆者がはっきりと言い切っていない部分が答えとなる
などと推理できます。
では、答えの書かれた本文の部分を見てみましょう。
どうしてこんなことになったのか。ひとつには、日記のことを文学の問題としてかんがえる習慣があるからだろう。
答えは「日記のことを文学の問題としてかんがえる習慣があるから」です。
・このブログでは詳しく書けませんでしたが、①1で答えた方法は、「こんなこと」と一致します。
・②誕生したは、「なった」と一致します。
・③理由は、「どうして」という問いかけと、「から」との二つに一致します。
・⑤どのように推察は、「だろう」と一致します。
・⑥指定字数(26字)と一致します。
このように、推理する力を身につけることで、「なんとなく」ではなく、根拠を持って解くことができるようになります。
この問題の正答率は、35.8%と低いものでした。
文章問題の2題めでしたので、探す時間がなかったため、解けなかった可能性もありますが、
それでも推理力を使って解けば、探す時間の短縮にもなるはずです。
ぜひ早いうちに「推理する力」を身につけて、国語の成績を伸ばしましょう。