こんにちは、太田 陽光です。
今回は近代文学および時代小説の出題について書きます。
中学受験の国語の問題の物語的文章では、
受験生の年齢に相応の少年少女の心理を読み取ることを求める学校が多いようで、
現代の児童・生徒が主人公の作品が目立ちます。
しかし、すばらしい日本文学の理解を求める学校あり、
明治・大正・昭和時代の物語文を出題する学校もあります。
千葉県にある学校に多いように私は感じます。
渋谷教育学園幕張中学(以下「渋幕」と記します)では、毎年のように近代文学作品が出題されています。
第1回で取り上げられた近代文学作家ないし関連作家を以下に挙げます。
2024年 志賀直哉
2023年 津島佑子(太宰治の娘)
2021年 菊池寛
2020年 三島由紀夫
2018年 芥川龍之介
2017年 川端康成
2016年 夏目漱石
文章だけでなく、文学史問題も頻出であり、
しかも作家と代表作品の暗記だけでは答えられないような問題です。
・冒頭部分から作品名を答える
・ノーベル賞受賞作家
・芥川賞受賞作家
など、渋幕合格のために、1点でも多くとりたい受験生には、文学史も必須事項です。
芝浦工大柏中学(以下「芝柏」と記します)でも近代文学作品を出題されており、
過去に宮沢賢治や壷井栄の作品が使われています。
また、江戸時代や戦争期を題材としたいわゆる時代小説が出題されることがあります。
同じ千葉県の市川中学では、2024年に江戸時代を舞台にした浅田次郎の小説が使われていました。
近代文学作品は、現代の物語と文体が違い、また、現代ではあまり見かけない表現があり、
小学生が読むにはなかなか大変だと思います。
時代小説も、時代特有の言葉が使われるため、それが何を意味しているかが分からずに、
内容に入り込めないということで、やはり小学生が読むには大変だと思います。
(私が小学生のころには、TVで「時代劇」という侍が活躍する番組が午後8時を中心に放送されていたのですが、今ではみませんね…。)
渋幕・芝柏・市川中学に入学したいと考えている小学5年生以下の小学生は、
今の内から、これらの作品を読んだり、時代劇(アニメ映画含む)を観たりして、慣れておくことを勧めます。
文学史の暗記もおこなっておくべきでしょう。
現在小学6年生の人も、第一志望・第二志望と考えているならば、
時間的に可能な限り、慣れることはおこないましょう。
ただし、あくまで国語の問題であることを忘れないでください。
物語文の問題で一番問われてくるものは、
登場人物の、特に主人公の心情です。
どのような出来事があったのかをおおまかにとらえ、
その出来事に対し、どのような言動表情を取ったのか、
そしてそこからその人物の心情を読み取る
基本的な解き方に当てはめて読んでいくことで、
近代文学・時代小説という題材の問題も解くことは可能です。