こんにちは、太田 陽光です。
今回は抜き出し問題について書きます。
中学受験の国語において、多くの人の悩みである
「時間内に解き終わらない」ことですが、
抜き出し問題も、その大きな要因の一つです。
答えを探すのに時間がかかり、他の問題を解くのに影響が出てしまう、
ということは、よくあることです。
そのような中、私は、
抜き出し問題は、1分探して見つからなければ、後回しにする
と言っています。
答えが、線部の近くにあるなら、1分くらいで見つけられると考え、
見つからなければ、線部から遠いところにある可能性が高いので、
他の問題を解きながら、同時並行して、抜き出し問題の答えを探していこう、
ということが理由です。
国語の問題は、最後にある問いが難しい問いとは限りませんし、
最後にある問いが、学校特有の、たとえば、200字記述問題や、表から読み取れることを書く問題など、
時間がかかるもの、配点が高いと予想されるものになっていることもあります。
だから、国語の入試では、絶対に最後の問題まで目を通さないといけません。
そのための戦略として、上記の「抜き出し問題は、1分探して見つからなければ後回し」は有効です。
ただし、大宮開成中学や、浦和明の星中学など、抜き出し問題が非常に多い学校の問題や、
早稲田中学など、問題数が少ないため、抜き出し問題の点数比率が高いと予想される学校の問題などでは、
抜き出し問題の対策の優先順位を上げなければなりません。
ではどうすればよいでしょうか?
まず、問いの条件やヒントを、しっかりと把握すること
問いには、答えを探し出すための条件やヒントが書かれています。
どの言葉をヒントに探せばいいのか
どのあたりに書かれているのか
字数は何字なのか
などが読み取れます。
具体例を挙げます。
第3回合格力判定サピックスオープン大問1問3に、
「この後、僕が「変化できる」のはどんな人間であるとわかりましたか。12~15字でぬきだしなさい。」
というような問いがありました(表現を変えています)。
ここから条件とヒントが
①「この後」から、線部よりあとに答えがある。
②「どんな人間」から、答えの最後が「人間」もしくは「人間」と同じ意味の言葉である。
③「変化できる」か「わかりました」が答えの近くにある可能性がある。
④「12~15字」が条件であるので、答えを確かめられる。
であることがわかります。
結果、答えは「自分から変わりたいと思った人間」(15字)でした。
答えの近くには「変化できる」という文言がありました。
また、問いの中に別立てで文章がかかれ、そこに空欄があった場合、
空欄の直前直後の言葉は非常に役立ちます。
これを、ただ読むのではなく、しっかりと把握する・意識する・頭に入れることをすれば、答えを探す方向性も見えてきます。
たとえば、空欄の直後が、「に」なのか、「が」なのか、「と」なのか、というひらがな一字を把握しているだけでも、答えに対する確信度合いが上がります。
「に」ならば、目的語としての名詞や修飾語なのか、
「が」ならば、主語としての名詞なのか、
「と」ならば、述語で終わるものなのか
などと判断できるからです。
また、条件やヒントは、一つではなく、あるだけ確認することも大切です。
条件やヒントとして把握した言葉が、実際に役立つかどうかは問いによります。
となると、複数の条件やヒントをできるかぎり数多くおさえて、その中のどれかが答えの近くに導いてくれる言葉だと考え、探していくのが重要です。
さらに、条件やヒントを把握したときに、解釈をすることも必要です。
たとえば、
ヒントとした言葉があったのは、あの段落だったな
ヒントの言葉と同じ意味の言葉を探す問題だな
この条件から、答えの内容はこういうものだろうな
などというものです。
これはかなり高度なものですが、
抜き出し問題が自分の志望する学校では避けられないのであれば、
解釈のトレーニングを行う必要があると思います。
そして解いた後にも、抜き出し問題のトレーニングは行えます。
抜き出し問題の答えを、本文にマーカーでチェックします。
つまり、答えのある場所が、本文においてどういう場所にあったのかを確認するのです。
線部から近いのか遠いのか
文章の終わりにあるのか、はじめにあるのか
などを確認することで、
自分の志望校の抜き出し問題の傾向を把握するのです。
過去問を使った勉強で大切なのは、志望校に合格するために何をするべきかを知ることです。
抜き出し問題についても、
学校による必要性・優先度を考慮し、
どこまでやるか、どのくらい時間をかけるか
を考えて学習していってください。