「受験なんて、まだまだ先のこと」
「学校説明会や行事見学もしてみたが、まだ、実感がわかない」
「自分の現在の学力が受験との関係でどの程度のところまできているのかわからない」
受験に向けて、エンジンがかかりきらない感じの生徒さんが気になる時期です。
その一方で、
「がんばりすぎて、燃え尽きそう(もえつきた、、、)」
「低学年からひたすらがんばってきたが、塾のクラス上げと維持が目的のようになってしまっている」
「中学受験自体を考え直したい」
という悩みをお持ちのご家庭も出てきています。
5年のこの時期、塾でのテスト結果に伸び悩みがみられたり、学習範囲をこなしきれなくなったり、オープンなど範囲のないテストを受けて、残念な結果が出たり、いろいろ起こるものです。
逆に言えば、この時期を乗り切れば、受験年度に勢いを付けて臨むことができるのです。
いくつかの注意点をあげておきます。
まず、志望校ですが、具体的なきっかけがあって、実質的な理由があって志望校を絞り込むことができれば、それは、モチベーションアップにつながり、やる気も増すのでよいことでしょう。しかし、漠然とイメージだけで決め込んでしまっていると、受験直前期に思い違いなどが判明して慌てることになります。中学受験をできるだけ幅広い視点からとらえ、様々な基準があることを知り、徐々にイメージをつかんでいくのが理想です。具体的な志望校を決めているとしても、常に、他校と対比してみながら、志望を柔軟に調整していくスタンスが望ましいでしょう。
次に、学習の到達状況ですが、お子さんは、実際の入試問題の要求水準との関連で自分がどの位置にいるのかを知ることができません。これまで進んできた道は具体的にイメージできますが、これから学び足していくことは何か、また、最終的に何をどの程度まで仕上げなければいけないかは、自分では判断できないのです。これまでの経過から今後の予測をすることはできますが、特定のお子さんが、今、どのような状態にあり、特定の志望校に向けて何が必要かは、プロの助言が必要で有効な所です。塾でもデータはありますが、アドバイスは大体大づかみなもので、一般的なことになりがちです。お子さんには、具体的に自分に何が必要か、これから何をすべきか、どのようにすべきか、といった具体的なアドバイスをしてあげたいタイミングが、5年生のこの時期なのです。
もえつき(かけ)た、と感じているお子さん、保護者の方に対しては、できなくなりつつあること、下がってしまった成績やクラスなどにとらわれず、これまでやってきたこと、できたこと、をもう一度評価して、本当に見直しが必要な状況か、なるべく客観的に判断することをおすすめします。何らかの対策・工夫・勉強法の変更などで、十分、受験まで保てるやり方が見つかるかもしれません。経緯と現状を振り返って、もう一度、作戦をたてなおすことが、今ならまだできます。
科目に関して具体的なことをいくつか申し上げます。
国語については、慣用句・ことわざ・故事成語・四字熟語などの知識が大量に出てくる時期です。
こなしきれず、積み残したまま後になってあわてることが多い分野です。いっぺんに大量に覚えることはできません。少しずつ、小分けにして、着実に知識を増やしていきましょう。
語彙力も強化が必要な時期です。
文章問題に取り上げられる文章が難化するため、ことばの意味でつまってしまうことが多くなるのです。熟語だけでなく、和語(やまとことば)、外来語の語彙力も強化する必要がありますし、関連する言葉をセットで身につけていくことが望まれます。昨今では、市販のことばに関する教材も多数ありますので、ひとつ選んで仕上げてみることをおすすめします。
文法分野の学習も「わけがわからない」「むずかしい」と感じるお子さんが多く、弱点になりやすいところです。
ポイントを押さえ、基本的な用語は覚えてしまって、識別問題等に慣れておく必要があります。
ぬきだし問題での正解率が下がったり、記述問題が手に負えなくなったりしている場合は、早急な対応が必要です。
ぬきだしについては、探す手がかりを拾えていなかったり、探す範囲を決められなかったり、文章の長文化に対する対応ができていない可能性があります。
また、記述についても、記述の材料を拾い上げる方法が身に付いていない可能性があります。これまでの取り組み方では対処できない問題が、これからのテストの結果を左右するようになっていきます。原因をはっきりさせ、具体的な対策を取りましょう。
チェックすべき点をしっかりチェックして、良い状態で受験年度を迎えられますようお祈りいたします。