学習マンガは、たくさんありますが、今日は、名作マンガで、学習導入効果もありそうなものを紹介します。
テーマは歴史です。
社会が苦手なお子さんは、多々出版されている教材系歴史マンガでも興味を持ちにくいかもしれません。
本棚に、何巻にもおよぶ時代ごとの歴史マンガが「眠っている」お宅もあるようです。
国語が得意で社会が苦手という場合には、伝記本を読むことも考えられます。
ただ、伝記本でも、「楽しむ」というよりは、勉強の一環、という感じになりやすいでしょう。
それに対して、ストーリー性が強いマンガの場合、歴史的な事実とは離れてしまうのですが、人物や時代を身近に感じさせてくれます。
また、具体的なイメージがわきにくいことも、歴史が苦手となる原因ですが、
マンガは、見てわかる部分をてがかりに、時代や背景になじませてくれます。
どうも、歴史の暗記が苦手、とか、時代によって興味が持ちにくい、
などで困っている場合は、マンガが一気に関心を深めてくれることも期待できます。
そこで、ここでは、古代を舞台にしたもの、平安時代を舞台にしたもの、シルクロードを舞台にしたもの、を紹介します。
まず、古代を舞台にしたものは、山岸涼子(やまぎし りょうこ)さんの、『日出処の天子』(ひいづるところのてんし)です。
聖徳太子については、謎が多いのですが、その空白を、魅力的な人物像として埋めきった、魅力的な長編です。
もちろん、歴史的な現実とは違った世界なのですが、
古代が眼前に現れ、蘇我氏、物部氏が具体的なイメージをもって動き出すことで、古代史の学習にも、関心が起こることが期待できます。
1983年度の講談社漫画賞(第7回)少女部門を受賞した作品です。
ただ、情念的な描写が強烈な面もあるので、お子さんが読む場合には、衝撃が強すぎないか、配慮が必要です。
次に、平安時代を舞台にした、大和和紀(やまと わき)さんの、『あさきゆめみし』です。
この作品は、源氏物語を、物語としての魅力がしっかり残った形でマンガ化したものです。
キャラクターもそれぞれに際立った個性が表現されており、
先々どこかでは学ぶことになる源氏物語への導入として、おすすめできるものです。
ただし、百人一首に大人の恋が多く題材として取り上げられているのと同様に、
源氏物語は、主人公の女性たちとの恋の遍歴が描かれているので、お子さんには、??なところも多々あるはずです。
さらっと、時代の空気と、文学作品の流れをたどる、という目的で、あまり深入りせずに読む、という感じでしょうか。
シルクロードを舞台にしたものとして、諏訪緑(すわ みどり)さんの、『玄奘西域記』(げんじょうさいいきき)があります。
唐の都、長安を旅立って、天竺を目指す僧たち(玄奘とその兄長捷)の道中記です。
自分探し、人生の目的とは、など、玄奘の悩みと成長の過程から学ぶことが多い作品です。
もちろん、それなりの西域史・地理的知識も盛り込まれています。
三作とも、一昔(ふた昔?)前の作品ではありますが、読み継がれていくであろう名作です。
物語の読解力強化にもつながる、また、折にふれて読み返す愛読書にもなりうるものです。
手塚治虫(てづか おさむ)の『火の鳥』も、構想の雄大さ、世界観に圧倒されます。
和月 伸宏(わつき のぶひろ)の『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(るろうにけんしん めいじけんかくろまんたん)も、
大作で、明治初期の空気を感じさせてくれます。
歴史ものマンガは、歴史の「暗記」に苦しむ中学生、高校生に薦めることが多いのですが、
昨今の学習指導要領の古典学習を重視し前倒しする傾向にも合わせ、紹介してみました。