メニュー

投稿日:2012年03月19日

テーマ: 国語

2012 麻布 国語最終問題

2012年入試 麻布の国語記述問題が本日のテーマです。 

2012年入試、麻布のラスト問題は、自由度が高い記述でした。

物語文ですので、まずは、状況把握力が問われます。

情報を拾っていきます。

おじとおいが山にはいるらしい。

はいていく靴が問題になっている。

町から田舎にきた少年は、山歩き用の靴にとまどっている。

おじさんは、少年の母のきょうだい。

少年の父親は家を出ている。

母とおじは似ていると少年は感じている。

このような状況を読み取って、おじの妹とおいに対する思いやりを感じとりながら文章の流れをたどり、問題に答えてゆくことになります。

そして、最後の設問が、少年がはいて行った靴が誰のものか、という文章中に明示されていない疑問について、考えを述べさせる問題です。

設問では、文章中の注目すべき点が指示され(2か所の波線部)、少年が感じた「靴の持ち主は誰か」という疑問について、考えを書くことが求められています。

推論力と説明力が必要です。

てがかりを拾って、誰のものかを決めて、根拠づけて説明していくことになります。

解答用紙は、4行分ですので、80~100字程度まで書けるでしょうか。

注目を求められている波線部は、

A、おじさんの靴とおなじ型の、サイズだけ極端にちがう革靴が入っていた。いたみはあるけれど、まだ革の色つやもいい。大切にされているのがひと目でわかった。

B、視線を移したおばさんのまゆが、一瞬、ぴくりと動く。両の目が大きく開いて、表情がくずれかけたそのぎりぎりのところで平静をとりもどし、これをはかせていくの?とたずねた。

てがかりになりうる部分は、波線部も含めて、たとえばこんな所でしょうか。

その靴は、棚の二段目のおくのほう、白いレジ袋にはいっていた。
おじさんの靴とおなじ型、サイズだけ極端にちがう革靴。
いたみはあるが革の色つやがいい。大切にされているのがひと目でわかった。
その靴をはかせると聞いて、おばさんのまゆが、一瞬、ぴくりと動き、両の目が大きく開いて、表情がくずれかけた。
これをはかせていくの?とおばがたずねると、しかたないだろ、けがさせるわけにはいかん、とおじが答えた。
靴をはこうとする少年の手伝い方から、おばも山歩き用の靴のことはわかっているようす。
おじは、少年の母親が学校の宿題ができなくて泣いていた時に山に連れて行き、手伝ったことがある。

では、少年がはいていった靴は誰のものなのでしょうか。

4パターンほど考えてみると、

1、おじさんがこどものときにはいていた靴

おじさんの靴とおなじ型で、大切に保存されており、おばさんもそのことを知っているようなので、おじさんがこどものときにはいていた靴だと考える。

2、おばさんがこどものときにはいていた靴

その靴をはかせることにおばさんが驚いたような反応をしているので、おばさんにとって思い出のある大切な靴なのではないかと思う。

3、少年の母親がこどものときにはいていた靴

少年の母親がこどものときにはいていた靴ではないかと考える。おじは、少年の母の宿題に力を貸したことがあり、山にいっしょに行くときに少年の母がはいた靴を大切にとってあったと思う。

4、おじ夫婦のこどもがはいていた靴

大切に保存されていることから思い出のある靴と考えられ、おばが、その靴を少年にはかせることに驚いたような反応をしているので、おじおばのこどもの持ち物と考える。

以上のうち、どれが「正解」ということではなく、それなりに立論できていれば得点できるはずです。

答案作成上の注意としては、

ポイントをしっかり決めて、その根拠となることを拾い切ること、さらに、推論の反証となるようなことが文章中にないか確認しておくこと、でしょうか。

指示に忠実に(波線部の内容について触れること)、文章中のてがかりから、着実に論理を積み重ねることが完答の条件でしょう。

豊かな表現力の度合いよりは、的確な説明能力の度合いを見きわめる問題であると思われます。