こんにちは! 受験ドクター国語科のS.M講師です。
前回に引き続き、「文法」について復習していきたいと思います。
今回のテーマは「語の識別」です。
日本語では、同じように見える単語でも意味用法が異なっている場合があるので、
それを見分けて答えよう! という問題ですね。
1.助動詞「れる・られる」
まずは4通りの意味があることを覚えましょう!
実際の設問で「これは受け身です」「これは自発です」と答えさせられることはほぼないので
太字の部分に着目して、違いが分かれば大丈夫です。
① 受け身 … 誰かから、その動作を受ける。〔例〕お母さんにほめられる。(ほめるという動作を受ける)
② 可能 … その動作を、することができる。〔例〕ピーマンを食べられる。(食べることができる)
③ 尊敬 … 目上の人の動作につけて、敬意を表す。〔例〕先生がお茶を飲まれる。(主語に注目)
④ 自発 … 自然にそういう動作がおこる。〔例〕ふるさとが思い出される。(自然と思い出してしまう)
では実際に、区別できるかチャレンジです!
b.涼しくなってくると、ふるさとの紅葉した山々が思い出される。
d.最近、辛口のカレーが食べられるようになった。
d.昨日蚊に刺されたところがかゆくてしかたがない。
どうでしょうか? わかりましたか?
それでは、正解を見ていきましょう!
b.ふるさとを自然と思い出してしまう、という意味です。→自発
c.食べることができるようになった、ということです。→可能
d.蚊から、刺すという動作をされてしまったということですね。→受け身
2.ない
「ない」は、二通りです。
ひとつは、形容詞という独立した単語の、「ない」。
もうひとつは、助動詞という、他の語にくっついて意味を付け加える「ない」です。
B. 私はその事件については何も知らない。
この二つの文を使ってご説明します。
見分け方は二通り!
①文節で切ってみる
日本語を 意味の わかる 程度に ばらばらに 切った ものが 文節です。
(上の文は文節ごとにスペースを入れて区切ってみました)
名詞などの自立語(単体で意味の分かる単語、と思っていただければ大体大丈夫です)は、
各文節に一つずつになるように区切るのがルールです。
B. 私は その 事件に 関しては 何も 知らない。
Bを「知ら ない」にすることはできません。
これはBを、実際にそこで切って発音してみると分かりやすいのですが、
「知ら ない」は、「なんかそこは切らないほうが…」となるのではないでしょうか。
これがA(形容詞)とB(形容詞)の違いです。
②打消しの助動詞「~ぬ・ず」に置き換えてみる
文節を切る練習をしていない小学生にはむしろこちらのほうが分かりやすいかもしれません。
Bの「ない」は、打消しの意味をもつ助動詞ですので、同じ打消しの助動詞である「~ぬ・ず」に
置き換えることができるのです。
B. 私は その 事件に 関しては 何も 知らぬ。
先程とは対照的に、今度はAが明らかに不自然になります。
Bは、文の続き方次第ではありますが、「知らず」としても問題なく理解できますね。
この識別方法は、個人的には比較的オススメで、よくお子様にもお伝えしているものです。
「お金が ぬ」とか「おもしろく ぬ」とか、例文が妙なことになるので、
授業で披露すれば多少のウケもとることができます(笑)。
ただし!このやり方では注意しなければならないことがあります。
「する」と、「勉強する」「努力する」などの動詞に関しては、
「しない」→「せぬ」「せず」
と、「する」にあたる語そのものを変える必要があるという点です。
「する」は唯一の「サ行変格活用」の動詞であるため、
活用(後ろに合わせて形を変えること)のパターンが異なっており、
そのためにこのようなことが起きてしまいます。
というわけで今回も、文法ネタをお届けいたしました。
あまり人気のない単元ではあるようですが、
普段使っている言葉のしくみが分かるのは楽しいですよ~♪
それではまた!