みなさん、こんにちは。
受験ドクターの坂井智則です。
今回も整数の数え方のお話です。
連続 第4弾です。
前回は2022年度入試から麻布中で出題された大問3の(1)(2)までのお話でした。
今回はその続き。(3)のお話をします。
(3)は少し難しいですが、いろいろな考え方に触れてください。
効率の良い解き方もありますが、それだけを暗記するような学習では、初見の問題に対応することは難しいでしょう。5年生、6年生は今のうちに手を動かし、しっかり考える時間をもってください。それが皆さんの糧になり、初見の問題でも効率よく解けるための解法の着眼点に気づくことにつながるはずです。
(1)(2)も含めてこんな問題でした。
次の条件に当てはまる4桁(けた)の整数を考えます。
条件:1つの数字を3個,別の数字を1個並べて作られる。
例えば,2022はこの条件に当てはまっています。
(1) 条件に当てはまる4桁の整数のうち、どの桁の数字も0でないものはいくつありますか。
(2) 条件に当てはまる整数は全部でいくつありますか。
(3) 条件に当てはまる4桁の整数のうち、3の倍数であるものはいくつありますか。
今回は(3)からのお話になります。
冒頭にも述べましたが、複数の解法を考えてみると良いでしょう。【別解】もぜひ読み進めてください。
(3)の考え方
「0を含まない場合」 と 「0を含む場合」に
場合分けして考える方法
【0を含まない場合】
整数が3の倍数であるためには、
各位の数の和が3の倍数でなければならない。
右の図の赤線で囲まれた3個使う数字の合計は
3の倍数だから左端の数字は3の倍数である。
したがって、左端の数は、3, 6, 9ということになる。
左端の数が3のとき、赤線で囲まれた3個使う数字は
1~9のうち3以外の8種類の数字が考えられる。
また、3個使う数字と1個使う数字の並べ方が4通り
あるので、 8×4=32個
左端の数が6, 9のときも同様なので
32×3=96個
【0を含む場合】
0を1個含む場合、□=1~9の数字が入るので9通り。
0の位置により並べ方が3通りあるので
9×3=27通り の整数が考えられる。
よって27個(ア)
0を3個含む場合、4桁の整数が3の倍数であるためには
□=3, 6, 9 の3通りが考えられる。
よって3個(イ)
0を含む場合は、27+3=30個
したがって、条件に当てはまる4桁の整数のうち、
3の倍数であるものは
96+36=126個 126個
【別解1】
3個使う数字と1個使う数字の位置を場合分けして
考える方法
右の図のⅰ)~ⅳ)に場合分けして考えていきます。
ⅰ)において、a+a+aは3の倍数になるので
□には0以外の3, 6, 9のいずれかが入ることになる。
□=3のとき
aには0~9のうち、3以外の数字が入るので9個
□=6のとき
aには0~9のうち、6以外の数字が入るので9個
□=9のとき
aには0~9のうち、9以外の数字が入るので9個
よって、ⅰ)の場合、9×3=27個
ⅱ)~ⅳ)のいずれも、a+a+aは3の倍数になるので
□には0, 3, 6, 9のいずれかが入ることになる。
また、aは1~9までの数字のうち、□に入る数字以外の
数字が入る。
□=0のとき
aには1~9が入るので9個
□=3のとき
aには1~9のうち、0と3以外の数字が入るので8個
□=6のとき
aには1~9のうち、0と6以外の数字が入るので8個
□=9のとき
aには1~9のうち、0と9以外の数字が入るので8個
9+8×3=33個
よって、ⅱ)~ⅳ)のとき、 33×3=99個
したがって、 27+99=126個 126個
【別解2】
全部書き出す方法
3の倍数であるためには、各位の数の和が3の倍数であることが必要です。
4桁の整数が3の倍数であるための○と△の組合せを考えていきます。
(△,○,○,○)の組合せを書き出し、○と△の位置を並べ替えてできる整数の数を数えます。
千の位に0を位置することができないことに注意しましょう。
各位の数の和が3の場合 ➡4通り
(0,1,1,1)⇒3通り
(3,0,0,0)⇒1通り
各位の数の和が6の場合 ➡8通り
(0,2,2,2)⇒3通り
(3,1,1,1)⇒4通り
(6,0,0,0)⇒1通り
各位の数の和が9の場合 ➡12通り
(0,3,3,3)⇒3通り
(3,2,2,2)⇒4通り
(6,1,1,1)⇒4通り
(9,0,0,0)⇒1通り
各位の数の和が12の場合 ➡11通り
(0,4,4,4)⇒3通り
(3,3,3,3)⇒×
(6,2,2,2)⇒4通り
(9,1,1,1)4通り
各位の数の和が15の場合 ➡15通り
(0,5,5,5)⇒3通り
(3,4,4,4)⇒4通り
(6,3,3,3)⇒4通り
(9,2,2,2)⇒4通り
各位の数の和が18の場合 ➡15通り
(0,6,6,6)⇒3通り
(3,5,5,5)⇒4通り
(6,4,4,4)⇒4通り
(9,3,3,3)⇒4通り
各位の数の和が21の場合 ➡15通り
(0,7,7,7)⇒3通り
(3,6,6,6)⇒4通り
(6,5,5,5)⇒4通り
(9,4,4,4)⇒4通り
各位の数の和が24の場合 ➡11通り
(0,8,8,8)⇒3通り
(3,7,7,7)⇒4通り
(6,6,6,6)⇒×
(9,5,5,5)⇒4通り
各位の数の和が27の場合 ➡15通り
(0,9,9,9)⇒3通り
(3,8,8,8)⇒4通り
(6,7,7,7)⇒4通り
(9,6,6,6)⇒4通り
各位の数の和が30の場合 ➡12通り
(3,9,9,9)⇒4通り
(6,8,8,8)⇒4通り
(9,7,7,7)⇒4通り
各位の数の和が33の場合 ➡8通り
(6,9,9,9)⇒4通り
(9,8,8,8)⇒4通り
各位の数の和が36の場合
(9,9,9,9)⇒×
したがって、4+8+12+11+15+15+15+11+15+12+8= 126通り 126個
どうでしたか。3通りのアプローチで説明しました。
今この時期は、効率のよい解法だけを暗記するのではなく、いろいろな解法でじっくり取り組んでみてください。問題によってどんな方法が最も効率が良い解法なのかは変わってきます。柔軟に対応できる力をつけるためにも複数の解法に触れるような学習をしていきましょう。
それでは、みなさん
またお会いしましょう。