みなさん、こんにちは。
受験Dr.の佐倉です。

夏期講習も終わりが近づいてきましたが、体調はいかがでしょうか。
受験は体力勝負でもあります。熱中症に気をつけて、食事と睡眠は十分とってくださいね。

 

さて、国語の記述問題では、字数指定に頭を抱えることも多いのではないでしょうか。

解答の文字数が足りず、要らないとわかっているところに「、」をつけたり同じ言葉を繰り返したり。
反対に解答欄に収まらないときには、必要な「、」を消して調整したことがある人もいるのではないでしょうか。

しかし、指定の字数は、過不足なく記述したときには解答が収まるように決められているもの。
自分の解答の文字数が明らかに足りないときやはみ出してしまうときは、記述内容を見直す必要があります。

指定字数は解答のヒントです。
自分の解答が余剰なのか不足しているのか、判断するための基準にしてください。
「〇〇字以内で」と書かれているときは、最低でも八割を埋めるようにしましょう。九割程度あれば、模範解答に近い解答だと思います。

尚、中学受験では原則、かぎ括弧や句読点は一字とカウントします。
行の最後のマスが文字で埋まっていて、閉じかぎ括弧や句読点を続けて書きたい場合でも、次の行の初めのひとマスを使ってください。

 

自分の解答の文字数が足りない場合、説明が不足している証拠です。
もう一度問題と自分の解答を見比べて、書き足すべき部分を探してください。

そして、自分の解答が指定字数を超えてしまう場合。
すべきことは、次の2つです。

１　　不要な部分を消す。
２　　別の短い言葉に言い換える。

 

問題を解きながら実践していきましょう。

2018年に高輪中学校で出題された問題です。

傍線部について、どのような点についてこういえるのか。音楽の例に則して六十字以内で記述する問題です。

解答は、「たとえば音楽。」から傍線部の前までをまとめたものになります。
なるべくもとの文章のかたちを残し、指示語にも注意してまとめます。

ヒトが「心地よい」と感じることのできるメロディや和音は比較的パターンが限られており、人工知能が機械的に作り出した、ヒトが「心地よい」と感じることのできるメロディや和音の限られたパターンに基づいた「ヒトの心のツボ」を突いた曲に簡単に喜ぶ点。

約百二十字です。
これでは指定字数の二倍の字数なので、ここから、六十字以内に減らしていきましょう。

 

では、まずは①不要な部分を消していきます。

設問で示されている条件や、問われている内容と無関係なものの説明は、解答欄には必要ありません。問題では「ヒト」について聞いているので、「人工知能が作り出した」ことは書かなくて良いです。
「比較的」も、比べる対象を解答に含んでいないため、必要ありません。
どちらも解答から消してください。

また、今回は解答に含まれていませんが、具体的に説明する「～ように」や、打ち消して強調する「AではなくB」の「Aではなく」の部分も必要ありません。
設問で指示されていない限り、解答が指定字数に収まらない場合は、思い切って消してください。

そして、解答の中で重複している内容も不要です。
重複している内容は、二回以上出てくる言葉を探すと見つけやすくなります。

今回は、「ヒト」「『心地よい』」「パターン」「限られ」「曲」ですね。
解答をまとめる際、もとの文に含まれていた「そうした」を一文前の言葉に置き換えているので、その部分が重複しています。
単純に重複部分を消して、齟齬のないように文をつなげられることがありますが、今回は、そうすると文の意味が通りません。

ではどうしたら良いのかというと、別の言葉に置き換えましょう。
こちらが、二つ目のステップです。

 

②別の言葉に言い換えるとき、二つのことを確認します。
短い抽象的な言葉に置き換えられる部分はないかということと、単純に短い言葉に変えられる部分はないかということです。

先ほど話した、重複部分の言い換えからやっていきましょう。こちらは短い抽象的な言葉に置き換えます。
内容が重複しており、言い換えたい部分はここです。

ヒトが「心地よい」と感じることのできるメロディや和音の限られたパターンに基づいた「ヒトの心のツボ」を突いた曲

抽象的な言葉を自分で考えるのは難しいので、ぜひ本文を頼ってください。同じ意味で使われている別の表現を、本文の中から探していきます。

すると、傍線部の少し前に「曲」という言葉が出てきます。「ヒトの快感ルールに則って曲を作ってやろう。」という部分です。

まさしく同じ意味で使われている別の表現ですね。
これを使って言い換えると、解答は以下のようになります。

ヒトが「心地よい」と感じることのできるメロディや和音はパターンが限られており、ヒトの快感ルールに則って作られた曲に簡単に喜ぶ点。

解答は六十四字になりました。あと少しです。

 

最後に、短い言葉に置き換えられる部分を見ていきましょう。
「感じることのできる」は「感じる」に変えても文の意味が通るので、変えてしまいます。

ヒトが「心地よい」と感じるメロディや和音はパターンが限られており、ヒトの快感ルールに則って作られた曲に簡単に喜ぶ点。

五十八字になりました。これで解答欄に収まります。

 

指定された字数は、解答の見当をつけるヒントになります。
字数の指定は無理やりにでも守らなければいけない条件ではなく、解答の内容を取捨選択するための手がかりとして考えてみてください。

一気に正しい答えを書こうとすると、手が止まってしまいます。
ひとつひとつすべきことを確認して、解答を整えていきましょう。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。