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投稿日:2024年12月10日

テーマ: 国語

中学受験 国語 抜き出し問題は、答えの見当をつけて解く

みなさん、こんにちは。
受験Dr.の佐倉です。

気付けばもう12月。
受験勉強に勤しんでいることだと思います。
インフルエンザも流行っているので、食事と睡眠は十分とって健康を保ってくださいね。

さて、生徒のテスト結果を見ると、選択肢も記述も埋まっているのに抜き出し問題だけは空欄ばかり、ということがしばしばあります。
抜き出し問題。答えを本文から探すだけ、と言えば簡単ですが、広い本文の中から答えを探すのは、砂の中から針を探すようなものです。
本文の頭から終わりまで読んで闇雲に答えを探しても、答えを見つけるより先にテストが終了してしまうかもしれません。
見つかりそうもなければ、一度諦めて次の問題に進むことをおすすめします。

ですが、それで抜き出しを全て空欄にしてしまうのも問題です。
今回は、抜き出し問題の解き方について、少しだけですが手がかりをお伝えします。

抜き出し問題の中にも様々ありますが、本日は、「空欄にあてはまる言葉を本文の中から探して」抜き出すときついてお話しします。

空欄にあてはまる言葉と言っても、空欄が本文にあったりまとめた一文の中にあったりと、出題のされ方は様々です。
空欄が本文にある場合は、前後の文脈を把握することが大切です。

ただし、いずれにせよ、まずは必ず、何について書かれている文なのかを確認してください。空欄の含んだ文は、初めから終わりまで全て読むこと。

次に、その空欄にどのような言葉が入るか、見当をつけます。これが、抜き出し問題を解くための重要なポイントです。
指定字数が短い場合はワンフレーズ、長い場合は修飾部分も必要になるか、主語と述語のセットになる可能性があります。
このとき、空欄のすぐ下に続く言葉に注目してください。そこに何が書かれているかによって、解答の終わりのかたちを推測できます。
例えば、「ということ」であれば動詞、形容詞、形容動詞の終止形、「ている」であれば動詞の連用形になります。
設問に「漢字二字で」「一語で」等の指定があった場合は必要ありませんが、そうでなければ、空欄の後に続く言葉はヒントにしましょう。

それができたら、その予想した言葉と同じ意味で使われている言葉を、本文の中から探していきます。
探すときには、二つのことに気をつけてください。
一つ目は、推測したのと同じ言葉だけではなく、同じ意味で使われている別の言葉も一緒に探すこと。
利き手を「お箸を持つ方の手」と言うことがありますよね。これは表現が異なるだけで、同じものを指します。同じ言葉でなくても、同じものを指している言葉であれば、答えになる可能性が高いのです。
二つ目は、本文の中でもだいたいどの位置に書かれているのか、範囲を絞って探すこと。
答えが書かれていない場所を何度丁寧に読んでも、答えは見つかりません。

本文から答えになりそうな言葉を見つけたら、最後に、指定の条件に合うように字数を数えます。
先ほど推測した、空欄に入る言葉の終わり方と同じかたちになるところを抜き出す部分の終わりとし、上に向かって字数を数えましょう。上から数えていくと、開始時点が誤っていたときの数え直しで時間をロスしてしまいます。

 

では、実際の問題を見ながら、改めて確認しましょう。
実践女子2024年度2月1日午後の問題です。

 

 貧困者の救済を担当していたのは内務省という官庁でした。一八七三年に設置されたこの省は、現在でいえば総務省や国土交通省、厚生労働省、警察庁をあわせたような、広い範囲の国内行政を管轄する官庁でした。

 設置まもない一八七四年六月、内務省は、政府の最高意思決定機関である太政官(現在でいえば内閣に相当します)に、恤救規則制定の提案をおこないます。しかし、内務省の当初の考えは、この規則は内務省の内部の規則にとどめ、一般に知らされるものにはしないというものでした。困窮者の救助について、各地の府県から個別に問い合わせがあった際に、この規則に照らして内務省が判断する、という手続きが考えられていたのです。これには大蔵省(現在の財務省に相当)が異論をとなえ、太政官はこの規則を、各地の府県に明示するという決定を下します。この結果出されたのが、恤救規則なのです。

 内務省の当初の考えと異なって、規則は秘密にされたわけではありません。しかし、規則の存在が周知されたのはあくまで府県までです。

(松沢 裕作『生きづらい明治社会-不安と競争の時代』)

 
傍線部について、次の文に言い換えたときに空欄にあてはまる言葉を、二十五字以上、三十字以内で抜き出しなさいという問題です。
「恤救規則」を    という考え。

恤救規則とは、明治時代に、現在の生活保護法の役割を果たしていた法令です。

空欄の前に「『恤救規則』を」とあるので、恤救規則が関係する言葉が入ります。
本文の傍線部を含んだ一文を見ると、「当初の考えと異なって、規則は秘密にされたわけではありません」とありますから、当初は秘密にするつもりだったのだとわかります。

空欄の後ろが「という」と続いているので、答えの最後の言葉は終止形ですね。
また、空欄に入るのは「秘密にする」と同じ意味で使われている言葉です。

では、本文のどのあたりに書かれているかというと、内務省と恤救規則の両方が話題に出てくる第二段落目の可能性が高いです。
二行目に「当初の考えでは」とありますし、その文の終わりには「一般に知らされるものにはしない」とあります。「秘密にする」と表現は違いますが、どちらも「公にしない」という意味で使われています。

抜き出す部分の文字数は、下から数えます。「という」の上、「しない」の「い」から上に向かって数えると、「内部省の」までで二十九字になります。
よって、答えは、「内部省の内部~にはしない」の部分となります。

 

抜き出し問題は、探すための手がかりがわかれば、時間内に答えを導き出せます。
どのような言葉が空欄に入るかを推測し、答えを探しましょう。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

国語ドクター