皆さんこんにちは。
受験ドクターの科学大好き講師、澤田重治です。
早いもので、暦はもう11月に入りました。
入試本番まであとちょうど3ヶ月、そろそろロングスパートに入りたいところですね。
そこで、今回のブログでは、限られた時間を効率よく使えるよう、脳の機能を最大限に引き出すコツを二つほど紹介します。
ぜひ、皆さんの学習にお役立てください。
暗記は「隙間時間」にこそすべき?!
「私は暗記が苦手だから、長い時間をかけないと覚えられない」――なんて、思っていませんか?
もしかすると、長時間まじめに勉強をしていることが、覚えられない原因かもしれませんよ。
実は、人間の脳はあまり勤勉ではないらしく、長い時間働き続けなければならないと思うと、無意識のうちにエネルギーをセーブするという性質を持っているのです。
だから、長時間勉強をし続けていると、いえ、しようと思っただけでも、学習の効率は下がってしまうのです。
では、どうしたら効率よく学習できるのでしょうか?
正解は、「制限時間を設ける」です。
この理論を知っていたわけではなく、ただの偶然なのですが、中学生の頃の私は、英単語や漢字を覚えるときに、自分で制限時間を設けて取り組んでいました。
飽きっぽい性格なので、自分の脳が長時間の学習には耐えられないと知っていたのかもしれませんね。(笑)
実際には、「5分間で何個の漢字を覚えられるか」というようなゲームにしてしまい、自らの記録を更新すべく、何回も挑戦していました。
もしかしたら、時間が細切れになる分、同じ時間机に向かっていても、実際に学習している時間は短かったかもしれません。
しかし、学習の成果というのは、単純に時間に比例するわけではないのです。
私の場合も、時間をしぼったことによって一気に集中が深まり、成果を上げることができていました。
ただし、私が当時実践していた「5分」という時間は、学習するにはさすがに短すぎます。
経験上、覚えるときの制限時間は10~15分が適当な気がします。
その10分が長く感じてしまうくらい集中することに不慣れな子であれば、まずは5分間の制限時間から始めて、少しずつ制限時間を延ばしていくと良いかもしれません。
なぜリビング学習が良いのか?
人間のからだが、覚醒や戦闘などを司る「交感神経」と、休息や消化などを司る「副交感神経」とのバランスで調整されていることはご存知でしょうか。
では、「記憶」を促進するのはどちらだと思いますか?――正解は「交感神経」です。
一見心を落ち着け、集中しやすくなりそうな「静寂」は、副交感神経を刺激してしまうため、脳の休息を招く結果となってしまうのです。
つまり、記憶の脳を活性化するなら、静寂よりも、適度な騒音がある方が良いということですね。
一時期、「モーツァルトを聞くと記憶力が高まる」などという話がありましたが、モーツァルトが良いのではなく、適度な騒音(モーツァルトには失礼な言い方ですね……)が鍵なのかもしれません。
また、人間は五感からの刺激を受けることで記憶の脳が活性化することが分かっています。
様々なものを記憶するときに、その環境から受けた刺激(匂いや音など)も一緒に記憶されるのですが、それらの刺激が、アウトプットするためのきっかけになるのです。
リビングで学習していると、家族が見ているテレビの音や、お母さんが料理をしているいい香りなど、様々な刺激がありますね。
これらの刺激が一緒に記憶されることで、長期記憶になりやすい傾向もあるのだそうです。
もちろん、あまりにも騒々しくて、まったく集中できない環境も考えものですが……本当に集中力のある子は、家の前で道路工事をしていても集中できるものです。
その感覚は、好きなことをしているときであれば、誰だって経験があるのではないでしょうか。
つまり、集中ができないのは、環境のせいではない可能性の方が高いのです。
お子様が勉強に集中できるよう、お父さんが野球中継のテレビの音を小さくして――などという涙ぐましい気遣いは、意外にもお子様の学習効率を下げているのかもしれませんね。
もっとも、お子様を応援したいという気持ちは伝わるのでしょうが……。
教育は科学です。
学習を、根性論と努力だけで乗り切るのは時代遅れと言えるでしょう。
理科の講師だからこそ持っている科学的視点を、ぜひともお役立ていただければと思います。
次回もお楽しみに!