皆さんこんにちは。
受験ドクターの科学大好き講師、澤田重治です。
今回も、学習には欠かせない「記憶」というものを科学的に考えるシリーズです。
第6弾となる今回テーマは、「根拠のない自信」です。
親御さんとお話していると、よく、
「うちの子は、何の根拠もなく『ボクは大丈夫!』って思っているみたいなのよね!」
という声を耳にします。
うちの子もそうだわ――と、苦々しい気持ちになられる方もいらっしゃるかと思いますが、
実は、その「根拠のない自信」も、意外と役に立つものなのです。
成績を上げるために一番必要なもの
早いもので、私が塾講師になって25年の月日が流れました。
四半世紀か……と思うと、なんだか感慨深いですが、それだけ年をとったということですね。
さて、その経験から、「成績向上に一番必要なものは何か?」と問われたら、私はきっと、迷わずに「自信」と答えるでしょう。
筋トレと同じで、脳も負荷をかけないと鍛えられません。
つまり、難しい問題にぶつかって、何とか解こうと悩んでいるときに、頭は鍛えられるのです。
しかし、自信のないお子様は、問題を見てものの数秒間で諦めてしまいます。
つまり、その数秒間しか脳が鍛えられていないのです。
一方、自信のあるお子様は、「きっと解けるはずだ!」と思いながらチャレンジしています。
「今はたまたま解き方を思いついてないだけだ」と思っていますので、解けなくてもすぐには諦めません。
そうすると、仮に最後まで解けなくても、悩んでいる間中、ずっと脳が鍛えられ続けるのです。
そして、それが続けば、やがて本当にできるようになっていきます。
人間は「思い込みの動物」である
私には、小中学生の頃とてもお世話になった恩師がいます。
(実は、その先生にあやかって、私はペンネームを「澤田」にしました。)
その先生が、よく「人間は思い込みの動物だ」とおっしゃっていたのを、今でも懐かしく思い出します。
そう。
「できる」と思い込めば実際にできるようになっていきますし、
「できない」と思い込めば、本当にできなくなっていくというのです。
その先生に、私が初めて算数を教えたもらった日、まず指摘されたのが、
「小さい字でチマチ計算するな!」でした。
その時には、何の関係があるのかよく解りませんでしたが、確かに理にかなっています。
人間は、幼い頃から「悲しいから泣く」という行動を繰り返しています。
そうすると、「泣く」という行動と「悲しい」という感情とが一体になるため、たいして悲しくないときでも、
もらい泣きして涙が出てきた途端に悲しい気持ちになることがあるのです。
では、自信があるとき、人間はどのような字を書く傾向があるでしょうか?
もちろん、絶対的な個人差はありますが、自信があるときほど、濃く、大きな文字を書くものです。
逆に、小さくて薄い字を書くのは自信がないときですから、そんな字を書いていると、「不安な心理」が湧いてきてしまいます。
そして、前向きになっているときの方が活発にはたらくという「海馬(かいば/記憶の脳)」の特性を考えても、小さな字でこまごまと書くことにはデメリットしかありません。
自信のある人の態度を真似するだけで、心の中には「自信」が湧き起こってきます。
たとえそこに根拠がなくても、自信があることで脳は活発に活動するようになります。
そして、その「思い込み」は、やがて真実となっていくのです。
根拠のない自信があるために、何も努力をしないというのは困りますが……。
教育は科学です。
学習を、根性論と努力だけで乗り切るのは時代遅れと言えるでしょう。
理科の講師だからこそ持っている科学的視点を、ぜひともお役立ていただければと思います。
次回もお楽しみに!