皆さんこんにちは。
受験ドクターの澤田重治です。
2017年度入試が終わりました。
毎年のことですが、結果は悲喜こもごも……なかなか諸手を挙げて「大成功」とは言えません。
それは、担当しているお子さんすべてを第一志望校に合格させてあげるのが理想だからです。
しかし、1回限りの試験であるだけに、力を出し切れずに終わってしまう方もいらっしゃいます。
頑張ってきたからこそ、人一倍大きなプレッシャーもかかるのでしょう。
それは、わずか12歳のお子さんに背負わせるには重すぎる負担です。
たとえ多くのお子さんが第一志望校に合格していても、
周囲からは「奇跡的」と言われるような合格を出していても、
ふと目を閉じると、浮かんでくるのは志望校に合格させてあげられなかったお子さんの顔……。
今年もまた、「来年こそは、全員第一志望校合格を!」という強い思いとともに、
悔しい気持ちを噛みしめながらこの時期を迎えています。
さて、そんな次年度以降の受験生のためにも、学校側がどんな生徒をほしがっているか、
受験生のどのような力を試そうとしているのか、私たちは毎年入試問題を分析します。
そう、そこには、学校側が発信する重要なメッセージが入っているからです。
入試問題は、その年の受験生はもちろん、来年以降その学校を目指す生徒も目にするものです。
そう考えると、入試問題にメッセージを込めたくなるのも当然ですよね。
私は理系科目の講師ですから、当然算数・理科の入試問題を中心に分析するのですが、
今年、一番はっきりとした意思を感じたのは駒場東邦中の算数の問題でした。
その問題がこちら。
『今まで算数を学んできた中で,実生活において算数の考え方が活かされて感動したり,
面白いと感じた出来事について簡潔に説明しなさい。』
おそらく、これが書いてあったら正解というようなものはないはずです。
各個人が、どのようなことに感動するかまで採点対象にはできないはずですから、
それらしいことが書かれていれば正解とするのでしょう。
その意味ではサービス問題ですし、入学者を選抜するための問題としては、
あまり重要な問題ではないのかもしれません。
しかし、この問題を出すこと、そして、それに答えさせることには、学校側からすれば、
大きな意味と価値があるのです。
この問題が作られた背景は、おそらく2020年の大学入試改革でしょう。
記述問題や、活用力を重視するという大学入試改革の方針に沿って、
今のうちから実生活の中で活かすこと積極的に考え、
それを自分の言葉で表現できるようにする訓練を始めるべきだという、
学校側から受験生へのメッセージなのだと思います。
だとすると、来年以降の入試問題にも、学習したことを実生活の中で活用することについて
何らかの出題がされる可能性がありますし、今後、記述式の問題が増えてくる可能性もあります。
いずれにしても、「学校側が求める生徒像に近づくこと」が、最も効果的な入試対策です。
学校側が発するメッセージをしっかりと読み取り、
「ぜひうちの学校に入学してください」と言ってもらえるような受験生を目指しましょう!