皆さんこんにちは。
受験ドクターのパズル大好き講師、澤田重治です。
今回は、実際に中学入試の算数でも出題される「パスカルの三角形」を題材に発想力を鍛えていきます。
ぜひ、遊び感覚でチャレンジしてみてください。
さて、まずはウォーミングアップから。
問題1 以下の図を見て、できるだけ多くの規則性を見つけてください。
皆さんは、このように数字を並べた問題を見たことがありますか?
中学入試でも、極めてよく出題される形です。
規則性の勉強をした人なら、「ある用語」が頭に浮かぶかもしれませんね。
さあ、ただ数字が並んでいるだけですが、この図を見て、いくつの発見ができるでしょうか?
頭を柔らかくして、様々な規則性を発見してください。
これこそパズルの神髄ですから。
↓
↓ 考
↓ え
↓ 中
↓
では、答え合わせです。
まず、分かりやすいところからいきましょう。
「N段目にはN個の数字が並んでいる」 という規則があります。
つまり、上から1段目には1個、2段目には2個、3段目には3個……と
上から何段目かを表す数字と、その段に並んでいる数字の個数が一致しているのです。
これは簡単でしたね。
次は、下の図のように、右端に並んでいる数字の規則です。
これは「三角数」と言って、規則性の問題を解くときには重要な数列ですので、ぜひ覚えておきましょう。
具体的には、
1番目 … 1 = 1
2番目 … 3 = 1+2
3番目 … 6 = 1+2+3
4番目 … 10 = 1+2+3+4
5番目 … 15 = 1+2+3+4+5
というように、N番目ならNまでの整数を、1から順に加えた数になっているのです。
ここでは詳しくは説明しませんが、すべての数字を並べて足し算しなくても、
「等差数列の和の公式」というのを使えば、100番目だって計算で求められます。
N番目の三角数 → (1+N)×N÷2
6年生は、確実に使いこなせるようにしておいてくださいね。
また、実際の入試問題を解くときには、下のような規則も役に立つことがあります。
つまり、どの列であっても、
「右上から左下に向けて斜めに並ぶ数字は、N段目から(N+1)段目にかけてNずつ増える」
という規則です。
逆に、
「左上から右下に向けて斜めに並ぶ数字は、(N-1)段目からN段目にかけてNずつ増える」
という規則もありますので、確認してみてください。
問題2 以下の図を見て、できるだけ多くの規則性を見つけてください。
さて、こちらが今回のブログの本題です。
これは「パスカルの三角形」と呼ばれているのですが、どのような規則で並んでいるか分かりますか?
ちなみに、この三角形の名前にも名が使われている「パスカルさん」は、
圧力の単位に名前が使われている「パスカルさん」と同一人物です。
台風情報などでも、「中心付近の気圧は960ヘクトパスカル……」って言ってるでしょう?
では、こちらも頭を柔らかくして、いろいろな規則性を探してみてください。
↓
↓ 考
↓ え
↓ 中
↓
では、答え合わせです。
まずは、この「パスカルの三角形」の構造に関わる規則から確認します。
「各段の両端の数字は1になっている。」
「両端以外の数字は、左上の数字と右上の数字の和になっている。」
「左右対称に数字が並んでいる。」
というような規則は、すぐに気付きましたよね?
それ以外にも、
「斜めに並ぶ2列目には、自然数(0より大きい整数)の列があらわれている。」
というのも、分かりやすい規則です。
そして、ぜひとも気づいてほしかったのがこの規則です。
「斜めに並ぶ3列目には、『三角数』の列があらわれている。」
さて、ここからはちょっと気づきにくい規則になってきますよ。
「N段目の数字の合計は、2を(N-1)回かけた数字(2(N-1))になっている。」
言葉で書くと分かりにくいですが、各段の数字の合計を求めた次の図を見てみてください。
そして、ものすごくマニアックな規則がこちら。
「斜め下に、桂馬飛びの位置にある数字を足していくと、フィボナッチ数列があらわれる。」
フィボナッチ数列というのは、前2つの数字の合計が次の数字になるという数列です。
単純な数列の問題だけでなく、階段を「1段ずつ」と「1段飛ばし」の組み合わせで上がる場合の数の問題でも使われる規則性の基礎知識ですから覚えておきましょう。
いかがでしたでしょうか。
仮に見つけられなかったとしても、規則性を探すための試行錯誤自体も良い訓練になります。
楽しみながら取り組んでみてください。