こんにちは。
受験Dr.の科学大好き講師、澤田重治です。
段々と入試が近づいてきて、第一志望校だけでなく、
併願校や練習受験校についても
最終決定をしようとしている方が多い時期かもしれませんね。
今回は、そんな方にぜひとも知っておいていただきたい、
受験直前期特有の心理についてお話したいと思います。
ゴールが見えると人はやる気になる
ここから入試まで、残り2ヶ月間でのお子さんの学力の伸び方は、
これまでの2ヶ月間とは全く異なります。
今、過去問演習で合格点に届かなくても、すぐには諦めないでください。
残り時間が少なくなったことで尻に火が付く……ということもありますが、
そうでなくても、人間はゴールに近づくとやる気が増してくる動物なのです。
たとえば、いつもならすぐに休みたがる勉強嫌いの子どもが宿題をしているとします。
この子に、あと1問で今日の宿題が終わるというタイミングで
「ご飯にしましょう」 などと声を掛けると、
「ちょっとだけ待って!」 と言って、宿題をやり続けることがあります。
もちろん、これは、急に勉強が好きになったわけではありません。
ゴールが見えてきたことで、「早く終わらせてしまいたい」 という気持ちの方が、
「勉強を避けたい」 という気持ちを上回ったのです。
この心理は、入試という大きなものが対象であっても同様にはたらきます。
「入試はまだまだ先だから、頑張り続けていたら身がもたない」
というような気持ちで力をセーブしていた子も、
残り期間が少なくなったことで「完遂したい」という欲求が高まり、
精一杯取り組むようになります。
ちなみに、「締切効果」とも言えるこの現象は、日々の学習や仕事にも応用できます。
行うべき課題を細分化し、小さなゴールを増やしてあげることで、
何度もゴールが近づくことになり、その度にやる気の増大が起こるのです。
「その日」が近づくと不安が大きくなる
一見、先ほどの話とは矛盾するように感じるかもしれませんが、
人は何か不安を感じるようなことをするとき、
その対象に近づくほど、不安心理が大きくなるということが知られています。
そして、この現象は、入試においても起こります。
十分に合格が見込める学校であるはずなのに、
入試日が近づいてくると、根拠もなく自信がなくなってくるのです。
不安心理が大きくなることで、
越えなければならない壁が必要以上に大きく見えてしまうのです。
これは、とび箱を跳ぶときに似ているように思います。
高いとび箱を跳ぼうとするとき、
助走してとび箱に近づいてくると、
どんどんとび箱が大きく見えるようになりますね。
すでに跳び越えた経験がある子は、
それでも跳べるはずだと信じて加速できるのですが、
とび箱が苦手な子は大きさに威圧されて、
直前で走るのをやめてしまうこともあります。
入試の場面でこれが原因の失敗を避けるためには、
模試や過去問演習、練習受験などを利用した
十分なイメージトレーニングが必要です。
また、一緒に受験校を考えている親御さんにも、
直前期の不安心理の増大は起こります。
慎重に検討することはとても大切ですが、
根拠なく 「合格できないのではないか」 などと考えて、
希望の学校を諦めてしまうことのないように気を付けてください。
次回も中学受験に役立つ科学の話をしていきます。
どうぞお楽しみに!