こんにちは。
受験Dr.の科学大好き講師、澤田重治です。
一生懸命勉強して、学力がつき、模試や過去問でも点がとれている……
何も問題はなさそうに見えますが、それでも安心できない要素が入試にはあります。
それは、「実力を出し切れるかどうか」ということです。
もちろん、ケアレスミスも力を出し切れない要因の一つではありますが、
ケアレスミスがなくても実力を発揮しきれないということがあります。
試験会場ならではの緊張感、プレッシャー、気負い…・・
これらの妨害を乗り越えなければ、真に実力を発揮することはできないのです。
では、入試本番で力を出し切るためには、どのような準備をしておけばよいのでしょうか?
多少の緊張感はミスを防ぐ良い薬
中学入試は、多くのお子さんにとって、人生で初めて立ち向かう大きな壁です。
試験会場に入れば、ご両親にも先生にも助けを求めることはできません。
未知の難敵に対して、一人で立ち向かわなければならないのです。
そう考えれば、緊張して当然ですよね。
以前、某企業がキャッチコピーにしていましたが、
本気で努力して目指してきたからこそ緊張もするのです。
緊張は、努力の証とも言えるでしょう。
そして、適度な緊張感は慎重さを生み、ケアレスミスを防ぐ良い薬となりますから、
決して悪いことばかりではありません。
しかし、過度な緊張となると話は別です。
どんなに良い薬でも、過剰摂取すれば害となるのです。
スポーツやマンガに学ぶ「ルーティン」の効用
では、本気で努力をしてきた入試では、なぜ緊張してしまうのでしょうか。
一言で言うなら、それが「特別なテスト」だからです。
今まで受けてきた模試や過去問演習とは違い、
このテストの結果で合否が決まるのです。
何年間もの努力が報われるかどうかが決まるのです。
人間は「思い込みの動物」と言われるほど、
頭で考えたことが体にも影響をします。
「特別だ」と思うことで、人は自らにプレッシャーをかけ、
そのプレッシャーで頭が真っ白になってしまいます。
心の影響はやはり大きいですね。
そんなプレッシャーに打ち勝つために、
スポーツの世界でも多くの選手が力を出し切るための工夫をしています。
様々な競技がありますから、その形式にはそれぞれ違いがありますが、
共通して見られるものに「ルーティン」があります。
イチロー選手が打席に立ったときの決まった動きなどは有名ですね。
ゴルファーも皆、ボールの前に立つときの決まった手順を持っています。
そしてこのル-ティンは、試合当日だけではなく、普段の練習のときから実施しています。
いつも通りの動作で、いつも通りの集中力のスイッチを入れているのです。
そういえば、お子さんたちが大好きな、某「鬼を滅するマンガ」の中でも、
すぐに大きな力を出す方法として「反復動作」という言葉で登場していました。
知っているお子さんには、その言葉の方が刺さるかもしれません。
私がよくおすすめしているのは、
「学習を始める前に1杯の水を飲む」というルーティンです。
水分が不足すると脳の活動も低下するらしいので生理学的にも理にかなっています。
試験当日でも、水を飲むくらいは簡単にできますから、
いつも通りのルーティンで集中力を高めてはいかがでしょうか。
「いつも通り」を変えるには3週間かかる
入試本番を「特別な試験」にしない工夫は他にもあります。
例えば、普段の学習の際に、解答を雑な字で書くお子さんがいるとします。
そのお子さんに「入試本番の解答用紙にもその字で書くの?」と尋ねると、
大抵は「本番はもっと丁寧に書くから大丈夫」という答えが返ってきます。
しかし、入試本番だけ丁寧に書くということは、
解答を書くたびに自分自身に対して、
「これは特別な試験なんだ」と言い聞かせているようなものなのです。
人間は、自分の言葉や、頭の中で考えたことでも暗示にかかりますから、
これでは、力なんて出せるはずがありません。
つまり、丁寧な字で答えを書くことも「いつも通り」にしておく必要があるのです。
もちろん、それ以外のことも、できるだけ入試当日と同じにしておいた方が良いでしょう。
その新しい習慣作りは、ぜひ今日から始めてください。
新しい習慣を作るには3週間かかると言われていますから、
入試本番に間に合わせるためにはそろそろタイムリミットです。
お子さんが少しでも「平常心」に近い条件で入試に臨めるように祈っております。
次回も中学受験に役立つ科学の話をしていきます。
どうぞお楽しみに!