こんにちは。
算数科のSです。
今回のテーマは「正方形を分けて別の形をつくる」です。
正方形をいくつかの図形に切り分け、それを組み合わせて、別の形を作り出すという問題です。
例えば、下の図1の正方形を対角線で2つの三角形に分け、その組み合わせ方を変えると
大きな直角二等辺三角形ができます。
このように正方形から別の形をつくってみましょう。
単なる紙遊びと思われるかもしれませんが、そこには図形を見るうえでの大切な視点が含まれています。
その視点はきっと皆さまの受験勉強にもお役に立つはずです!
それではさっそく問題を見てみましょう。
下の図のように、正方形を3つの部分㋐㋑㋒に分け、これらを2つ以上組み合わせることで
①台形 ②平行四辺形 ③長方形 を作り出してください。
まずは、「① 台形」をつくってみましょう。
ちなみに、㋐と㋒の組み合わせは最初から台形になっていますので除外します。
実際に㋐㋑㋒の図形が手元にあるわけではないので手あたり次第やってみるというわけにもいきません。
頭の中で組み合わせるのも限界がありますから、図を書き足しながら考えてみましょう。
図を書き足すといっても、やみくもにやっては効率が悪いですよね。
では、「手掛かり」はどこにあるのでしょうか?
それは、「同じ長さ」と「和が90°になる2つの角」です。
まず、「同じ長さ」から見てみましょう。
㋐㋑㋒の図形で間違いなく同じ長さと言える部分に印をいれてみます。
正方形の1辺である下図の赤線部分は間違いなく同じ長さですね。
もう1つ、㋐と㋒の接していた青線部分も同じ長さです。
このような同じ長さの部分は、組み合わせるとピッタリとくっつきます。
裏返してもピッタリくっつくので、いくつかの組み合わせ方ができそうですね。
このように同じ長さに着目して組み合わせてみるというのが1つの手法です。
では、もう1つの「和が90°になる2つの角」について見てみましょう。
下の図のように、●と×の印を入れてみました。
●と×の角をたすと90°になりますね。
この事実を頼りに、組み合わせ方を考えてみると新たな発見があるはずです!
さて、それでは「① 台形」の問題に戻りましょう。
赤線部分が同じ長さだということを利用して、㋐と㋑を組み合わせてみましょう。
加えて、角度の印も書いておきます。
●と×を合わせた角は90°ですから、下図の緑の2本の線は平行になることがわかります。
ということで、㋐と㋑を組み合わせると台形になることがわかるのです!
実は、これで終わりではありません。
もう1つ、台形になる組み合わせがあるのですが、お気づきですか?
「もう㋐と㋑はやったし、㋐と㋒はだめなら、㋑と㋒かな・・・」
論より証拠、㋑と㋒を組み合わせてみましょう。
さて、これは本当に台形なのでしょうか?
下図のオレンジの線と●を見てください。
このような位置関係にある角のことを錯角(さっかく)と言います。
平行線の錯角は等しいという性質がありますので、この図形も台形になるのです。
結果的に台形を作れたとしても、その理由まできちんと理解しておいてくださいね!
それでは「② 平行四辺形」にチャレンジしてみましょう。
先程、㋐㋑㋒のうち2つを組み合わせる方法は全て試しました。
結果は台形でしたので、平行四辺形を作るなら3つのパーツを組み合わせるしかなさそうです。
①台形を作る際に組み合わせた2つのパーツに、残りのパーツをつけるという手法を取ってみましょう。
上の図のように㋑㋒を組み合わせた台形に、㋐をつけてみてもただの四角形にしかなりません。
それでは、㋐㋑の組み合わせに㋒をつけてみましょう。
平行四辺形のように見えますが、果たしてそうなのでしょうか。
確かめてみましょう。
2組の向かい合う辺が平行になっていれば、間違いなく平行四辺形と言えます。
では、平行ということをどのように証明すればよいでしょうか?
前半で㋑と㋒を組み合わせた台形が登場しましたが、その際に「平行線の錯角」について触れました。
錯覚や同位角が等しければ平行ということができるので、ここでも錯覚・同位角に着目してみましょう。
上図のように、同位角と錯覚が等しいので、向かい合う辺はそれぞれ平行になることがわかります。
したがって、この組み合わせが平行四辺形になります。
それでは、最後に「③ 長方形」を考えてみましょう。
さすがにかなりの数の組み合わせを試したので、もうないのではと思いたくなるところですが、
答えの一歩手前まで実はもう出していたのにお気づきでしたか?
先程求めた平行四辺形の図ですが、㋒の位置を変えるだけで長方形ができます。
いかがでしたか?
頭の中だけで考えるには難しいと思うので、そういうときにたくさん図を書いてイメージしましょう。
それではまたの機会にお会いしましょう。
さようなら。