メニュー

投稿日:2017年12月08日

テーマ: 算数

切り開く辺の数の数え方

こんにちは。
算数科のSです。

今回のテーマは立体を展開図にする際の「切り開く辺の数の数え方」です。

立体を展開図にするときには、辺に切り込みを入れなくてはいけません。
その際、いくつの辺に切り込みを入れれば、立体を展開図にできるのでしょうか?

まずはおなじみの立方体から考えてみましょう!

立体 切り開く 1

さて、図1の立方体のどの辺を切り開けば、図2のような展開図ができあがるか見ていきましょう。
下図のように、赤い辺は元々くっついていた辺なので「切り開かれた辺」として数えてよい辺です。
もちろん、元々は1本の辺ですから数える際は「2本で1本」と数えなければなりません。

立体 切り開く 2

立体 切り開く 3

上図より、切り開く辺の数は「7本」ということになります。

さて、答えは出ましたが、今度は「逆の視点」から求めてみましょう。
切り開く辺の数を数えるためには、「切り開かない辺 (くっついたままの辺)」の数を数えて、
立方体の辺の数から引けばよいはずです。

立体 切り開く 4

上図の青い辺は切り開かれない辺で、「5本」あります。
立方体の辺の数は12本ですから、12-5=7本と求めることができますね。
こちらの求め方の方が、簡単なのでおススメです!

では次は正八面体について考えてみましょう。

立体 切り開く 5

先程のように、切り開かれない辺の数を数えて全体の辺の本数から引いてみましょう。

立体 切り開く 6

上図の青い辺が切り開かれなかった辺で「7本」あります。
したがって、12-7=5本 の辺を切り開けばよいことになります。

展開図が描いてあれば、そんなに難しい問題ではないですね。
では、展開図が描いてない場合はどう考えればよいでしょうか?

実は、面の数さえわかれば「切り開かれない辺」の本数は計算で求めることができるのです!

それは、「切り開かれない辺というのは、面と面のある1辺どうしがくっついてできている。
という事実を利用します。

例えば、立方体の面の数は6面ですが、この6面が途切れることなくつながっているということは、
ある面の辺と別の面の辺とがくっついてつながっているということになります。

ということは、面が2枚ならくっつく辺は1本、面が3枚ならくっつく辺は2本…というように
面の数より1つ少ない本数が切り開かれない辺(くっついたままの辺)の本数ということになります。

立体 切り開く 7

したがって、立方体なら 6-1=5 、正八面体なら 8-1=7 と求めることができます。
これを立体の辺の本数から引けばよかったのですが、ここで問題がでてきます。

面の数なら立体の名称からわかるのですが、正十二面体や正二十面体のような複雑な立体の辺の数は
パッとはでてこないのではないでしょうか?

ここで辺の数を計算で求める方法を考えてみましょう。
ただし、正十二面体の面の形は正五角形、正二十面体の面の形は正三角形ということは知っている前提
となりますので、是非覚えておいてくださいね!

さて、正十二面体の面の形は正五角形なので5本の辺をもっています。
その1辺と1辺が重なって(2本で1本の辺になって)正十二角形の1辺になっています。
よって、5×12÷2=30本 が正十二面体の辺の本数となります。
同様に、正二十面体の場合は面の形が正三角形なので、3×20÷2=30本 となります。
正十二面体と正二十面体の辺の本数は一緒になるので覚えていてもいいかもしれませんね。

したがって、正十二面体を展開図にする際に切り開く辺の数は、30-(12-1)=19本

正二十面体を展開図にする際に切り開く辺の数は、30-(20-1)=11本 となります。

これで、どんな立体がきても怖くないですね⁉
ただ、「ちょっと面倒だな…」と思っている方も多いかもしれません。

実はこの切り開く辺の数の問題は「頂点の数-1」で答えが一瞬で求められる裏技があります!

この裏技を説明するにオイラーの多面体定理という頂点の数-辺の数+面の数=2
になる事実を使うことになるのですが、この証明については割愛させていただきます。

ちなみに、正十二面体の頂点は、3つの正五角形が集まって1つの頂点をつくっているので、
5×12÷3=20個の頂点があります。

したがって、正十二面体を展開図にする際に切り開く辺の数は20-1=19と求めることができます。

同様に、正二十面体の頂点は、5つの正三角形が集まって1つの頂点をつくっているので、
3×20÷5=12個の頂点があります。

したがって、正二十面体を展開図にする際に切り開く辺の数は12-1=11本と求めることができます。

頂点の数-1という結果は覚えておいて損はないと思いますが、
なぜこのような結果になるかは皆さんが中学生・高校生になったときに考えてみてください!

それではまたお会いしましょう!
さようなら!

算数ドクター