初めまして皆さま!
受験ドクター算数科のRS講師と申します。
今回から私もブログの記事を担当させて頂く事になりました。
末永くお付き合いいただければ幸いです。
さて、汗ばむような陽気のこの頃、
新しい学年での生活もそろそろ軌道に乗り始めた頃合いでしょうか?
初めての記事となる今回は、5年生の鬼門となる「割合」について取り上げたいと思います。
いわゆる4年生過程から少しずつ算数という科目は難しくなっていきます。
そして、決定的に明暗を分ける単元が5年生でやってきます。それが「割合」です。
塾の勉強でも、学校の勉強でもこの「割合」の単元でつまずいてしまうと、
その子の算数・数学人生は暗雲立ちこめる茨の道となってしまうでしょう!
大げさ?いえいえ、決して大げさではありません。
なぜなら、割合の学習以降、算数のほとんど全てに横断的に貫かれている考え方が「割合(比)」だからです。
そもそも割合で子どもがつまずきやすい理由は何なのでしょうか?
それは、割合が算数のなかで初めて「抽象的な数量」を扱う単元だからです。
それまで「りんご10個とみかん5個の代金~」や
「たて10㎝、横20㎝の長方形~」など、
子どもの頭のなかで「具体的にイメージ」できる数量のみを扱ってきました。
割合はそのように具体的にイメージできる数量ではありません。
「B君の身長は、A君の身長の9割です」の
「9割」そのものには、具体的に表される数量は存在しません。
いきなり、「9割だよ!」と言われても、「え?なんの?」というふうになりますよね?
多くの子どもは、中学1~2年頃になるといつの間にか“感覚的”に理解できるようになるので、
大人にとっては自然と理解されているものなのですが、
これは子どもにとっては、自然に任していて身につく感覚ではないのです。
そして、中学受験算数は割合と比を駆使する問題のオンパレードです。
自然に任せていては中学受験には間に合いません。
5年生からの算数を有利に進めて行くには、
この割合の「根本原理」をきちんと早めに理解することが、
非常に重要だということがおわかり頂けますでしょうか。
さて、割合の全てをここで語ろうと思うと、テキストがものすごく長くなってしまいそうなので、
今回は割合攻略の最初の肝になる考え方をご紹介するに留めておきましょう。
上述したように、割合は「抽象的な数量」なわけですが、
ここでいう抽象性とはなんなのでしょうか?
割合とはズバリ、2つの具体的数量(たとえばA君とB君)があるときに、その間に存在する、
「Aから見たBの大きさや、Bから見たAの大きさ」を表す相対値のことです。
この相対値には、具体的な「もの」を表す役割はありません。
ものの「大きさの関係」という、関係性そのものを表す数字、それが割合の抽象性の正体です。
大きさの関係を語る場合、ものを見る“方向”を決定してあげないと行けません。
例えば、A君160㎝、B君140㎝の場合、
A君から見れば、B君は小さいし、B君から見ればA君は大きい。
このとき、見る方向の矢印の根もとに当たる部分が、
3用法で習う「もとになる量」ということになります。
もしA君をもとにするならば、B君は小さいので、当然割合は小さい数量を表す数字となります。
それは、140/160かもしれませんし、7/8かもしれませんし、0.875かもしれない。
なんだっていいんです。どの表し方もB君が小さいということがわかりますよね?
ですが、8/7と書いていたら、B君のほうが小さいのに、おかしいよね?ということです。
というように、割合は大きさを表しているだけですので、
どのような数字で比べてもいいわけなんですが、
ある程度表し方に一定のルールがないと混乱してしまうことになります。
あるひとの頭の中で「3」という数字が基準にあると、
その人が発する「2」という数字は小さい大きさということになります。
これではいけない。
そこで、「もとになる量は1以外では表さないようにしよう」というルールがあるわけです。
もとの大きさが自動的に1と表されることで、分母を省いても=もとになる量を省略していても、1より大きいか小さいかに着目するだけで、大きさのイメージが掴めるようになります。
上の表の0.875という数値を求めるもっとも手軽な方法は、140を160で割り算すればよいということになります。
かくして割合の3用法その1
「割合=くらべられる量÷もとになる量」という式が登場するわけですね。
さて、めでたく3用法の式の1つ目が出てきたところで、今回は終わりにしたいと思いますが、
割合を学習するにあたっては、上記のことが理解できるように最初はじっくりと時間をかけてあげることが大事です。
これを曖昧にしたままに割合の3用法などの公式を丸暗記で乗り切ろうとするから、どんどん泥沼にハマっていってしまいます・・・(^_^;)
さて、次回は割合の第二用法、第三用法に焦点をあててお話いたしましょう。
それではまた。