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投稿日:2018年03月17日

テーマ: 算数

「場合の数の攻略法」その2…順列と組み合わせの違いをしっかり理解しよう

皆さんこんにちは。
受験ドクター算数科のRS講師です。

前回に引き続き、今日は場合の数の攻略法第二弾です。

第一弾では、樹形図の正しい書き方をお伝えしました。
( http://www.chugakujuken.com/koushi_blog/shibata/20180223.html )
実は攻略法のひとつとして、ひたすら樹形図だけで攻める!という方法もありなんです。(ただし入試レベルは通用しません^^;)
正しい樹形図をかけるように訓練していくと、順列と組み合わせの違いは「なんとなく」理解出来るようになってくるので、そのうち計算式も同じく何となく分かってきます。
ごちゃごちゃややこしいことは嫌いだ!٩(๑`ȏ´๑)۶という人は樹形図を突き詰めていくのもOKだと思います。
まあ、それで終わってしまうとプロの技を見せる場面がなくなってしまいますので話を進めましょう(笑

今回のお話は、「順列」と「組み合わせ」です。
順列とは「並べる」こと。
組み合わせとは、読んで字の如く「組み合わせる」ことです。
やはり、この違いを根本からしっかりと理解をしておくことは場合の数の学習においては非常に重要です。

違いは何でしょうか。
簡単な例で説明してみましょう。

ここに2人の人、A君とB君がいるとしましょう。
「並べ方(順列)」の場合は先頭が誰か、その次の人が誰かということを考えるワケですから、
(A、B)と並べるか(B、A)と並べるかで異なりますね。
つまり2通りの並べ方があります。

一方「組み合わせ」は、どのように並んでいるかは問題にしません。
どのような“チーム”になっているか、その中身が問題なわけです。
したがって、A君とB君の2人の場合、組み合わせ方は(A、B)の1通りだけです。

この例はごくごく簡単だと思います。
並べ方が(A、B)、(B、A)の2通りに対して、組み合わせは(A、B)の1通り。
これは、組み合わせの(A、B)は「並べ方の(A、B)(B、A)の(B、A)を除外したもの」と言うことができます。

少し増やして考えてみましょう。
A君、B君、C君の3人の場合はどうでしょうか。
3人の並べ方は、(A、B、C)(A、C、B)(B、C、A)(B、A、C)(C、A、B)(C、A、B)という6通りが考えられますね。
一方、3人の組み合わせは、(A、B、C)の1通りだけです。
すなわち、赤字の(A、B、C)以外の並べ方が除外されていると考えることが出来ます。

ここで、赤字以外を除外する方法は引き算をするのではありません。
6通りある並べ方のうち、最初に書いた(A、B、C)だけを対象としたいので、
6通り÷6通り=1通り つまり、“並べ替えの場合の数そのもので割り算”をすれば、最初に書いた(A、B、C)の組みだけが残ります。

さらに増やして、実際的な問題を考えてみましょう

(問題)A、B、C、D、Eの5人について、
①この中から3人を並べる方法は何通りあるか
②この中から3人を組み合わせる方法は何通りあるか。

① 樹形図は下の図のように書くことができます。
D、Eのところは、上と同じで省略できるので、「”」と書くと良いです。
この図の根っこはAですが、B、C、D、Eも同様に書くことができます。
つまり、根っこがA~Eの5通り、それが4つに枝別れし、その次の枝は3つに枝別れしますので、最終的な枝の本数は、5✕4✕3=60 → 並べ方(順列)は60通りです。

順列と組み合わせ

ここでは、上の樹形図をひとつ書いただけですが、このような単純な問題ならわざわざ樹形図を書くまでもないという人も多いでしょう。しかし上で書いたように樹形図は繰り返しの要素があれば、それをかけ算によって処理することができるということを理解出来ているかどうかが重要なのです。

② さて、では組み合わせはどうなるでしょうか。
①で60通りと求めたことを利用して考えます。
60通りの並べ方のうち、A、B、Cの3つだけが並べられているものについて考えます。
A、B、Cの3文字は、(A、B、C)(A、C、B)(B、C、A)(B、A、C)(C、A、B)(C、B、A)の6パターンの並べ替えが出来ます。(さきほどの問題でやったものと同じですね)

この中で、組み合わせとして有効なのは、最初の(A、B、C)だけでした。
ここではどのような3文字を選んで並べた場合も、並べ替えはすべて6通りずつあり、有効なのは最初の1つめだけです。
つまり、6通りあるうちの1つだけしか有効ではないわけですから、60÷6=10通りの有効な組み合わせを作る事ができるということになります。 → 10通り

〈まとめ〉
ここまでの話から、順列と組み合わせは密接に結びついていることが分かったと思います。
算数や数学のテキストなどでは、
N個のものからR個選んで並べる:N✕(N-1)✕(N―2)✕…✕(N―R+1)
N個のものからR個組み合わせる:N✕(N-1)✕(N―2)✕…✕(N―R+1)
÷{R✕(R―1)✕…✕2✕1}
なんて書かれていたりしますが、この数式が分かりづらい!^^;
でも、こう書くしか無いので、仕方ないよということになってしまうのですが、数式嫌いの人のために、これは封印しておきましょう。

言葉的にまとめると、
N個からR個選んで並べる:
→ Nから始めて順番に1ずつ数字を減らしながら、R個かけ算をする

N個からR個組み合わせる:
→ ①まず同じ数字で順列を計算する。②その答えを割り算する。(Rが3だったら3個の並べ替え(3✕2✕1=6)、4だったら4個の並べ替え(4✕3✕2✕1=24)で割り算する。

というような感じで覚えてしまいましょう。
あ、もちろん理屈が分からなくなったら、最初にもどって何度も根本原理を確認しながら復習しましょう。

では、次回は順列と組み合わせの判断が微妙になるケースについて、判断のコツなどをお話していきたいと思います。
今回はこのへんで。

算数ドクター