みなさま、こんにちは。
受験ドクター算数科のRS講師です。
再入門シリーズ第二弾は食塩水。
前回に引き続き、今回はてんびん図と面積図を利用した解法を見ていきましょう。
前回は、食塩水の解法の基本は「ビーカー図」にあるというお話でした。
ですが、ビーカー図ではどうしても対応できない食塩水の問題がありますというこ
とで、こちらの問題。
もう一度のせておきましょう。
〈問題〉ビーカーAに濃度5%の食塩水が、ビーカーBに濃度8%の食塩水が入っています。
これらを混ぜたところ、濃度7%の食塩水が300gできました。ビーカーAには何gの食塩
水がありましたか。
ビーカー図はこのようになりましたね。
このビーカー図は、全体の量、食塩の量、どちらからも逆算の式が作れないので、この考え方
では解くことが出来ません。
そこでちがう考え方が必要になります。
基本解法は、食塩の量(具体量)に着目するという考え方でしたが、濃度(割合)そのもの
に着目する方法がてんびん図(もしくは面積図)というわけです。
ここでひとつ思考実験。
10%の食塩水と20%の食塩水を同じ量で混ぜたとき、何%の食塩水になるでしょうか?
10%と20%のちょうど、真ん中の15%の濃度になるような感じがしますね?
実際にどちらも食塩水の量が100gとして計算してみると、
100×0.1=10g、100×0.2=20g、(10+20)÷(100+100)=0.15=15% たしかに
なりますね。
200gや500gで試してみても同じ結果です。
では、100g(10%)と300g(20%)のように、食塩水の量が異なる場合はどうでしょうか。
100×0.1=10、300×0.2=60、(10+60)÷(100+300)=0.175=17.5%。
20%の食塩水の量が多いので、20%に近い濃度になりました。
直感的に「色」を使って考えてみましょう。
10%の食塩水を緑、20%の食塩水を赤で表したとすると、これらを100gずつ混ぜたときの
色は、バーで表されている、緑から赤のちょうど中間=黄色。
100gと300gで混ぜたときの色は、色が赤寄りになって、オレンジ色となります。
これは、食塩水の個々の重さではなく、相対的にどちらが多いか、すなわち食塩の量の比に
よって決まるのです。
つまり、具体的に食塩水の重さが何gかわからなくても、食塩水の量の比があれば、まぜたと
きに何%になるか(何色になるか)を求められるということになります。
100g
400g
10% 17.5% 20% 300g
このとき、食塩水の量の比と、出来上がった食塩水の濃度がバーの長さを分ける位置は、逆
比になっていることに気付くと思います。
これは、1:1なので真ん中ですが、
17.5ー10=7.5、20ー17.5=2.5→7.5:2.5=3:1
この場合、左右の重さと腕の長さを分ける位置は逆比ですね。
この性質は、てんびんや面積図の中にもあらわれます。
だから、食塩水の混ぜ合わせ問題を考える際に面積図やてんびん図を使う事ができるという
わけなのです。
こんなふうに書けばてんびん図ですし・・・・
このように書けば面積図です。
お好きなスタイルで書いていただくと良いのですが、
はっきりいって、てんびん図も面積図も冗長すぎます。
無駄な線が多すぎるのです。
必要なことは、これらの図の緑~赤のバーだけであり、そのバーがどの位置で分割されるか?
です。
そこで、わたしの指導の中では、食塩水の混ぜ合わせ問題ではてんびん図も面積図も書かせ
ません。
これだけです。
てんびんでも面積でもなく、100gと300gの食塩水が、両サイドからつなひきをしているよ
うな図になっているので、わたしはこれを「つなひきの図」と呼んでいます。
あ、もちろんこのカラフルなバーは書きませんよ?(^_^;)
こんな感じでただの線でOKです。味気ないですね(笑
この図は面積図やてんびん図の冗長さを取り除いているのに加えて、てんびんを二段重ねに書
いたりする必要がある図で威力を発揮します。
また、機会があればご紹介したいと思いますが、そろそろ〆に入りましょう。
さて、冒頭の問題の解答ですが、
つなひきの図で片付けてしまいますよ!
5%と7%のあいだが2、
8%と7%のあいだが1なので、
左右の重さは、逆比で1:2です。
あわせて300gの食塩水ができたので、
これを1:2にわけたらおしまい!
300÷3✕1=100g が答えです。
では今回はこのへんで。
( ́Д`)ノ~