こんにちは。
受験Dr.社会科・英語科講師の白石 聡と申します。
4月に入り、学年が1つ上がった皆さんは期待に胸を膨らませていることと思います。
反対に、新学年の学習に不安を覚えている人もいるかもしれません。中には、これまでに習ったものの復習に、時間を割かなければいけないという不安を持っている人もいると思います。
そんな皆さんに今回は、歴史の年号を覚える際のポイントについてお話致します。
新5年生は、地理の範囲から歴史の範囲に入り、これから100個以上、志望校によってはもっと多くの年号を覚えなければいけません。
新6年生は、5年生の1年間で学習した歴史の年号を忘れないように、1年間しっかりと復習しなければなりません。
多くの塾では、年号の暗記を推奨し、「覚えるべき年号プリント」といったものを配布しています。
中には、年号を覚えるよりも、出来事の因果関係を覚えることが大事だという先生もいます。
直接、年号を答えさせる入試問題が少ないことからも、これは間違いありません。
ですが、解答時間が短い中で、資料・グラフ・リード文を処理しなければいけない中学受験において、年号を覚えていることがどれほど有利になるかは、説明する必要が無いかと思います。
つまり、因果関係をおさえた上で、年号暗記が身についている受験生が一番強いといわざるを得ません。
まず、大前提として、年号の暗記の仕方は様々で、自分に合った覚え方をするのが一番です。
・語呂合わせを作って覚えてみる
・等間隔で起きた出来事をおさえる*
・カテゴリー別に書き出して覚える
*一定の年数ごとに起きた出来事を、まとめて覚えることです。1894年(日清戦争)、1904年(日露戦争)、1914年(第一次世界大戦)のように10年ごとに起きていることをおさえることが有名ですね。
でも自分にあった覚え方が分からないという人も多いと思います。
また、覚えたけれども短期記憶になってしまう方もよくお聞きします。
そんな受験生に押さえてほしいのが、時代の区切りをしっかりと把握した上で年号を押さえていくという事です。
目の前にいきなり数字を出された際に、何時代か言い当てることは可能でしょうか。
例えば、743年、1560年、1917年。
答えを見る前に、日本の時代区分を見てみましょう。
旧石器時代から数えると、日本は
旧石器→縄文→弥生→古墳→(飛鳥)→奈良→平安→鎌倉→室町→安土桃山(戦国)→江戸→明治→大正→昭和→平成→令和
の16個に分かれます。
ではそれぞれの時代はいつから、いつまでなのでしょうか。
・旧石器→ ~紀元前1万4000年
・縄文→ 紀元前1万4000年~紀元前4世紀
・弥生→ 紀元前4世紀~紀元後3世紀中頃
・古墳→ 3世紀中頃~7世紀頃
・(飛鳥)→ 592年~710年
・奈良→ 710年~794年
・平安→ 794年~1185年
・鎌倉→ 1185年~1333年
・室町→ 1336年~1573年 (1333年~1335年:南北朝前の建武の新政)
・安土桃山→ 1573年~1603年
・江戸→ 1603年~1868年
・明治→ 1868年~1912年
・大正→ 1912年~1926年
・昭和→ 1926年~1989年
・平成→ 1989年~2019年
・令和→ 2019年~
では、先ほどの答えを見ていきましょう。
743年 答え:奈良時代
743年の出来事を覚えている人であれば、聖武天皇が定めた墾田永年私財法や、東大寺の大仏建立の詔がすぐに思いつき、東大寺と言えば奈良!奈良時代と答えることができたと思います。
しかし、年号を覚えていなくても、710年平城京への遷都から794年平安京への遷都までが奈良時代であることを押さえておけば、すぐに答えることができます。
1560年 答え:室町時代(戦国時代)
1560年は織田信長が今川義元を桶狭間の戦いで破った、重要な出来事です。その為すぐに戦国時代と答える人が多いのではないでしょうか。ここで注意なのが、戦国時代という時代が、いつからいつまでなのかという事です。上の表でも戦国時代は書かれていません。実は、戦国時代は室町時代後期に起きた、応仁の乱(1467年)から、室町幕府が滅亡するまで(1573年)という考え方、豊臣秀吉が北条氏を滅ぼした時まで(1590年)という考え方、徳川家康が江戸幕府を開くまで(1603年)までという考え方の3つがあります。後ろの二つの考え方では、戦国時代は室町時代・安土桃山時代と重なり合っていたという事が分かります。問題の中で、1560年が含まれる時代に起きた出来事を答える際は、室町時代の事なのか、戦国時代の事なのか注意が必要です。
1917年 答え:大正時代
1917年はロシア革命の年です。この翌年、社会主義国の成立を恐れ、日本を含む国々が軍隊を派遣したこと(日本ではシベリア出兵という言い方をします。)を覚えていますでしょうか。世界の出来事まで年号を押さえておく必要があります。この出来事をきっかけに、米騒動(1918年)が巻き起こり、当時の寺内内閣は総辞職します。ここで重要なのが、明治時代以降、天皇の死から次の天皇の即位までを1つの元号とする制度、一世一元制度が採用されていたという事です。明治と昭和時代では、天皇が直接かかわる制度や出来事がありますが、大正天皇は体が弱く、1912年~1926年の14年間という短い期間だったという事を押さえましょう。大正時代の押さえておきたい出来事の最初は1914年の第一次世界大戦、最後は1925年の加藤高明内閣の男子普通選挙法と治安維持法です。
いかがでしたでしょうか。
歴史を順番に学習している時は、なんとなく理解しているつもりでも、試験のように全範囲になると出来事の感覚が薄れ、不安になってしまう事はよくあります。
ただ年号と出来事を覚えているだけではいけないのだと少しでも感じていただければと思います。
この機会にぜひ、各時代の境目を確認してみてくださいね。
それではまた次回お会いしましょう。