皆さん、こんにちは。
受験Dr.英語科・社会科講師の白石 聡と申します。
本日は、2024年のノーベル賞についてお話します。
先日の12月10日に行われた授賞式は見ましたでしょうか。
毎年、10月上旬に各賞の受賞者が発表され、ノーベルの命日である12月10日に授賞式が行われています。「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈られるノーベル賞は、対象者が国籍や人種に関係なく選出され、世界最高の権威とも呼ばれています。また、世界的な権威だけでなく、賞金とメダルが授与されています。
では、そんなノーベル賞の始まりとなったきっかけを知っていますでしょうか。
アルフレッド・ノーベルは発明家の父を持ち、自身も幼いころから科学や自然・生物に関する発明に興味を持っていたと言われています。そして34歳の時に完成させたダイナマイトで巨万の富を得ました。しかし、世の中の役に立つように発明したダイナマイトが、戦争で使用され、多くの人の命が失われたことに心を痛め、自らが得た富を今後偉大な功績を成し遂げた人に送るよう遺言を残しました。これがきっかけとなり、1900年にノーベル財団が設立され、物理学や科学、文学に加え世界平和に貢献した人が讃えられる賞が生まれました。
ノーベル賞には以下の6つの賞があります。
ノーベル医学・生理学賞
医学や生物学でもっとも重要な発見をした人に与えられる賞です。
よく取り上げられている受賞者は、1923年に32歳で受賞したカナダのフレデリック・バンティング博士です。最年少での受賞となり、血糖値を調整するインスリンを発見した功績で選出されました。
日本では、これまで5人の受賞がおり、中でも2012年に受賞した山中伸弥教授は、「成熟細胞が初期化され、多能性を獲得し得ることを発見した」として選出されました。iPS細胞という名前で聞いたことがある人もいると思います。
ノーベル物理学賞
「物理学の分野で最も重要な発見または発明をした人物」が選出されます。
相対性理論で有名なアルベルト・アインシュタインも1921年に受賞しています。ですが、その際の受賞理由は相対性理論ではなく、「光電効果の法則の発見」でした。後に、この法則の発見が量子力学の発展に大きく貢献することになります。これまで日本人は12人が受賞しており、2021年には真鍋 淑郎が二酸化炭素の地球温暖化に対する影響予測を発表し物理学賞を受賞しました。
ノーベル化学賞
「最も重要な化学の発見または改良を行った人物」が選出されます。ノーベル化学賞は、スウェーデンのストックホルムにあるスウェーデン王立科学アカデミーによって授与されます。
1911年にはマリー・キュリーが1910年の物理学賞に続きノーベル賞を受賞しています。日本ではキュリー夫人の名前で親しまれ、放射性物質であるラジウムの発見が讃えられています。癌の治療にも活用されているのを覚えておきましょう。日本人では2019年に吉野 彰がリチウムイオン電池を開発しノーベル化学賞を受賞したことが記憶に新しく、身近な存在となっています。これまでに8人の日本人が受賞しています。
ノーベル平和賞
「国家間の友愛、常備軍の廃止または削減、平和会議の開催と促進のために最も多くの、または最も優れた仕事をした人物」が選出されます。第1次・第2次世界大戦の時期には受賞がいませんでした。1993年年には、南アフリカで行われていた人種差別政策であるアパルトヘイト撤廃運動の指導者として、ネルソン・マンデラ氏が選出されました。日本人では佐藤栄作が1974年に受賞しています。「非核三原則」の提唱や韓国と1965年に日韓基本条約を結び、国交を開いたことなど、アジア太平洋地域との関係改善に向けた取り組みが評価され受賞しています。
ノーベル文学賞
「文学の分野で理想的な方向で最も優れた作品を制作した人物」が選出されます。
ノーベル文学賞は、スウェーデンのストックホルムにあるスウェーデン・アカデミーによって授与されます。
日本人ではこれまでに、1968年に川端 康成、1994年に大江 健三郎が選出されています。
川端 康成の代表作「伊豆の踊子」「雪国」「山の音」、大江 健三郎の代表作「万延元年のフットボール」 「新しい人よ眼ざめよ」なども押さえておきましょう。
ノーベル経済学賞
経済学賞は、ノーベルの遺言にはありませんでした。1968年にスウェーデン国立銀行が創立300周年を記念して設立し、経済学の分野で多大な貢献をした人に贈られています。ノーベルが提唱した賞ではないため、賞金も遺産からではなくスウェーデン国立銀行が拠出しています。そのため、厳密にはノーベル賞ではなく「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」と言われています。
これまでに日本人や日本の団体が受賞したことはありません。
そして、今年のノーベル平和賞を受賞したのは、日本の「日本被団協」でした。
広島と長崎の原爆被爆者たちによる、核兵器のない世界を実現しようとする運動や働きが、核兵器が二度と使用されてはならないことを証言してきたとして評価され、選出されました。日本人としては、1974年の佐藤栄作以来、50年ぶりの選出となったことも押さえておきましょう。
今回の内容は以上で終わりです。
それではまた次回お会いしましょう。