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投稿日:2019年11月08日

テーマ: 算数

【場合の数】「言い換え」てみよう!

皆さま、こんにちは!
秋も深まり、少しずつ冬の訪れを感じる季節になりました。
季節の変わり目。
風邪などひかないように気を付けましょう。

さて、前回は「組合せ」の計算はこんな問題にも利用できるよ!というお話でした。
大切なことは、問題を「言い換える」ということで、次回はこれについて詳しく、と予告しました。
ということで、今回は「言い換え」について考えてみます。
ちなみに、この「言い換え」という言葉は、算数や数学の一般的な用語ではありません。
私が個人的にそういう表現をしているだけです。
問題を捉えなおすとか、違った視点で考えてみるとか、そういった言い方をしても構いません。
こういうのも、一種の「言い換え」ですね。
自分のわかりやすい言葉でイメージしてみてくださって大丈夫です。

では、さっそく次の問題を考えてみてください。

黒石3個と白石4個を横一列に並べる並べ方は何通りですか?

基本的な問題ですが、実は苦戦されるお子さんがわりと多い問題でもあります。
「えーと、並べ方だから…」と素直に「順列」を考え始めてしまうと、失敗してしまう可能性があります。
少し前に、6年生の生徒にこれを解かせてみたところ、やはり「順列」を考え始めて苦戦していました。
もちろん、この問題を「順列」として考えることはできます。
きちんと考えれば、それでも答えは出るのですが、ここは次のように「言い換え」てみましょう。

黒石3個と白石4個を横一列に並べる並べ方は何通りですか?
                   ↓
7個の白石を横一列に並べたとき、そのうちの3個を黒石に変える方法は何通りですか?

どうですか?
こう「言い換え」てみると、これが「並べ方」の問題ではなく「選び方」の問題に見えてきませんか?
7か所の選択肢のうち、黒石にする3か所を選べばいいということです。
つまり、7個のものから3個を選ぶ「組合せ」です。
ですから、7×6×5÷(3×2×1)で、答えは35通りとわかります。

これがもし、

7個のものから3個を選ぶ選び方は何通りですか?

という問題だったら、大抵のお子さんはすぐに35通りと答えられるはずです。
しかし、

黒石3個と白石4個を横一列に並べる並べ方は何通りですか?

と問われると、これがさっきと同じ問題だとはなかなか気づかないかもしれません。
このあたりが、作問者の立場としては、腕が問われる部分なのです。
作問者は問題を「言い換え」ることで、わざと問題の本質をわかりづらくしているのです。
問題文を読むときは、作問者がどんな「言い換え」をしているのか、をつねに意識する必要があります。
さらに言うなら、作問者がわざとミスリードしようとしている可能性を考えていないといけません。
わかりますか?
作問者が仕掛けた「言い換え」を、謎を解くようにして「言い換え」し返すのです。
暗号の解読みたいですね?
こうなってくると、作問者との知恵比べです。
お子さんによっては、「ずるーい!」と感じる部分かもしれません。
しかし、こういった作問者との知恵比べを楽しむガッツが、難関中学を狙うなら必要です。

ポイントは、やっていることは同じなんだ、という単純な事実をまずは知ることです。
それを知るためには、色々な問題を解いてみた経験がどうしても必要です。
ちょっとした表現を変えるだけで、問題が解きやすくも解きにくくもなるんだー、という経験を積むのです。
ワナを見破れるようになるためには、たくさんワナにかかった経験が必要だ、と言えるかもしれません。

ちなみに、この問題をあくまで「順列」として考えるなら、どのようにすればよいでしょう?
先に計算式だけを結論的に書くなら、
7×6×5×4×3×2×1÷(4×3×2×1)÷(3×2×1)=35
ということになります。
ちゃんと35通りになっていますね?
この計算が何をしているのかというと、以前のブログでもお伝えした「ダブりを消す」という手法です。

もし、この問題を「順列」として考えたいのなら、まずはすべての白石と黒石を区別しないといけません。
白石①、白石②、白石③…、
といった感じです。
すると、7つのものの「並べ方」なので、7×6×5×4×3×2×1と計算することになります。
しかし、これをこのまま答えにするわけにはいきません。
なぜかと言うと、白石の4個も黒石の3個も、実際にはそれぞれを区別して見ることができないからです。
そうすると、白石4個の並べ方、つまり4×3×2×1の分だけダブってカウントしていることになります。
同様に、黒石3個についても、3×2×1の分だけダブってカウントしています。
ということで、それぞれで全体を割り算すると、ダブりが消えて正しい答えが求まるのです。

今日の本題とは逸れるので、最後の部分はかなり端折って解説しましたが、理解できたでしょうか?
「ダブりを消す」という手法については、以前のブログに詳しく書きましたので、そちらも参考にしてください。
同じ問題でも、視点によって色々な解き方があるんだ、ということを実感して頂ければいいと思います。

様々なテクニックを身につけて、それを適切に使い分けできるようになると、さらにレベルアップできます。
頑張ってみてください!
それでは、今日はここまでです。
また次回、お会いしましょう。

算数ドクター