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投稿日:2021年05月10日

テーマ: 算数

【平面図形】分数をうまく使いこなそう!

皆さま、こんにちは!

ここまで数回にわたって、平面図形の主に「相似と面積比」について扱ってきました。
今回もその続きなのですが、今回は図形そのものというより、少し数字の取り扱いについて書きます。
テーマは、タイトルにあるように、「分数をうまく使いこなそう!」です。

中学受験の指導では、できるだけ分数は避けて、整数で処理する工夫が大切とされることが多いです。
自分で数字を設定しなくてはいけないときは、公倍数を意識して設定するのが基本であったりします。
これはこれで大切な感覚で、ぜひ身につけておきたいものです。
しかし、一方で、あまりに分数の処理を避けるのもどうかと思います。
うまく分数を利用できるようにした方が、素早くスムーズに処理できることもあります。
個人的には、分数の利用を積極的にした方が、メリットが大きいのではないかと考えています。
今回は、ふたつの処理の仕方を比較しながら、そのメリット・デメリットについて考えてみましょう。

まずは、以下のような問題を考えてみましょう。
2021_0510_blog1

以前に似た問題を扱ったことがありますね。
いわゆる「三角形分割」という問題です。
そのときは、あえて分かりやすい数字に設定してあったのですが、今回は変えてあります。
考え方は以前に解説したものと変わりません。
基本は「高さ一定の双子山」です。
2021_0510_blog2

今回は、どういう風に数字を処理して答えにたどり着いたか、を特に意識してください。
お子さんがどのような処理をしているか、ぜひ確認してみてください。

どうでしょうか?
3つの三角形の面積比が問われているわけですが、「双子山」を基本に考えれば難しい問題ではないです。
こういった際に、例えば面積全体を「24」という大きさに設定するという考え方があります。
「24」がどこから出てきたかというと、3:5の合計8と、2:1の合計3の最小公倍数です。
このように数を設定すると、すべての三角形の面積がきれいに整数で表されます。
論より証拠、ちょっとやってみましょう。

まず、全体の面積が24だとすると、三角形ABDと三角形ADCの面積は、それぞれ9と15になります。
底辺比が3:5なので、9と15に分けたということです。
次に、15と決まった三角形ADCを、今度は三角形ADEと三角形EDCに分けてみます。
底辺比は2:1ですので、それぞれ面積は10と5になりますね?
すると、以下の図のように、3つの三角形の面積は定まったことになります。
2021_0510_blog3

したがって、答えは9:10:5となります。

以上のように処理ができると、確かに整数だけで処理ができますし、とても鮮やかにも感じます。
しかし、そもそも「24」という数字に設定できるのか?という大きな問題が残ります。
同じ形であれば良いのですが、少し形が変わったり、もっと複雑な形になったりしたときはどうでしょう?
多くの問題にも通用する、汎用性の高いやり方を身につけた方が効率は良いですよね?

では次に、以下のようにも考えてみましょう。
今度はより素直に数字を扱ってみますが、その代わりに途中で分数が登場します。
まず、三角形ABDと三角形ADCの面積をそれぞれ3と5とします。
底辺比が3:5なのでそのままですが、こちらの方が自然ですね?
次に、三角形ADEと三角形EDCですが、先ほど三角形ADCを5としたので、それを2:1に分けます。
このときに、比例配分という考え方を使いましょう。
2:1に分けたいなら、全体は3なので、全体の値を2/3、1/3にした値がそれぞれの面積になります。
つまり、三角形ABDは5×2/3=10/3、三角形EDCは5×1/3=5/3ということです。
少し分数の表記がわかりにくいかもしれませんが、下の図を見てご確認ください。
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比を解答するときは最も簡単な整数比にするというのが、算数でのお約束です。
3:10/3:5/3なら、すべてを3倍すれば良いですね(分母を3で通分すると考えても良いです)。
すると、先ほどと同じ、9:10:5という答えにたどり着きました。
ちゃんと同じ答えになりましたね?

このような処理の仕方は、途中で分数が出てくるので、少し難しく感じるかもしれません。
しかし、こういった処理ができるメリットは大きいです。
なぜなら、分数さえ怖がらなければ、面積はどう設定しても構わないからです。
最後に整数比に直しさえすれば良いだけです。
例えば、三角形ABDの面積を1と設定しても、同じ解答にたどり着きます。
汎用性の高い処理という意味では、最初に説明したやり方よりも優れていると言っていいでしょう。

数字の処理や計算については、いつでも速く正確に答えにたどり着けるなら、それで良いです。
自分なりの処理の仕方を身につけていけば、絶対にこれでないとダメ、というようなことはないのです。
ただ、中学受験で小学生の指導をしていると、ときどき極度に分数を嫌うお子さんに出くわします。
もちろん気持ちはわかります。
分数がたくさん出てくるのは、ちょっと面倒に感じます。
私だってそうです。
しかし、そういったお子さんには、分数には分数の良いところがあるよ、と知ってもらいたいです。
あまりに嫌って避けているばかりだと、向こうも力を貸してくれることはありません。
なんだか人間関係みたいですね?
しかし、そういうことは勉強に関してもあると、私はいつも感じています。
色々なやり方を身につけて、必要なときにいつでも利用できるようにしておきたいですね。
食わず嫌いで終わらずに、様々な方法にトライしてみましょう。
応用力や対応力を養うのにも、そういった柔軟な姿勢が大切です。

それでは、今日はここまでです。
また次回お会いしましょう!

算数ドクター