皆さま、こんにちは!
さて、今回からは算数の文章題(と少し図形)について、色々と研究してみようと思います。
一見すると別の問題のように見えても、実は問題の本質は一緒ですよ、ということを考えてみたいです。
まずは以下の4つの問題を見てください。
これらの問題は中学受験の問題としては典型題で、すべて基本中の基本です。
①は食塩水の混ぜ合わせ
➁は2つの平均の問題
③は往復の平均の速さ
④は相似の利用
ですね。
6年生のお子様なら、解けない問題はひとつもないと思います。
また、5年生のお子様なら、前期から9月にかけて学んだ内容がほとんどです。
ためしにすべて解けるか確認してみてください。
答えは、①が8%、➁が14才、③が毎時7.5㎞、④が8㎝です。
さて、今回から数回にわたって考えてみたいのは、これらの問題に共通することは何かです。
結論から言えば、これらの問題は本質的にはすべて同じ問題です。
数学的には、どの問題も「加重平均」ということを考えています。
そして、同じ問題であるのならば、すべてが同じ解法で解けるということです。
①と➁については、同じ問題であるとわかる人も多いと思います。
しかし、③や④については、どうでしょうか?
順を追って考えてみましょう。
まずは、基本中の基本である①食塩水の混ぜ合わせの問題からです。
この手の問題の解法は、主に3種類あります。
一つ目は、濃度、食塩水の量、食塩の量をビーカー図などに整理する。
二つ目は、平均の面積図を書いて考える。
三つ目は、てんびん算を利用する。
基本になるのは一つ目の方法です。
特に、食塩水を学び始めた段階では、濃度、食塩水の量、食塩の量をはっきりさせることは基本です。
最初にこれを確認してみましょう。
2つの食塩水に溶けている食塩の量を、それぞれ求めてみます。
6%で100gの食塩水には、100×0.06=6で、6gの食塩が溶けています。
9%で200gの食塩水には、200×0.09=18で、18gの食塩が溶けています。
2つを混ぜ合わせると、合計で300gの食塩水の中に24gの食塩が溶けているということになります。
よって濃度は、24÷300×100=8で、8%ということになります。
以下のように、ビーカー図に整理してみることも大切ですね。
こういった作業は食塩水の問題の基本中の基本なので、しっかりできるにしておきましょう。
これができるようになったら、次にもう少し早くて計算の楽な方法を考えてみます。
それが、二つ目の解法である平均の面積図と、三つ目の解法のてんびん算です。
この2つは、図の書き方が違うだけで、実はやっていることはほとんど変わりません。
ポイントは、食塩の量にまったく触れずに答えが出せるということです。
さらに、食塩水の具体的な量がわからなくても、2つの食塩水の量の比がわかるなら解けるということです。
慣れてくればてんびん算の方が作業も楽で速いので、こちらを身につけてしまうのがお勧めです。
てんびん算は、理科で学習する「てこのつりあい」の考え方とまったく同じです。
てこに2つのおもりをつり下げたときに、支点からおもりまでの距離比と、おもりの重さ比は逆比になります。
もちろん、てこがつりあっているなら、ですよ。
この考え方を、食塩水の混ぜ合わせに利用したのがてんびん算です。
論より証拠、ちょっとやってみましょう。
まずは、以下のように図を書きます。
左右のおもりの重さが、食塩水の重さになります。
さらに、それぞれのおもりの上に、食塩水の濃度を書いておきます。
おもりの重さが100gと200gなので、重さの比は1:2です。
すると、支点に対する二つのおもりの距離比は、逆比で2:1になります。
このとき、6%と9%の差は3%になっています。
これを距離比の2:1で分けると、そのまま2%と1%になります。
支点は、6%の方から見れば2%増えたところ、9%の方から見れば1%減ったところになります。
つまり、8%です。
先ほどビーカー図を書いて求めた答えと、ちゃんと同じになりますね!
食塩の量にはまったく触れていませんが、同じ答えになっていることを確認してください。
てんびん算をマスターすると、食塩水の混ぜ合わせの問題を解くのは非常に速くなります。
しかも、水を加えたり蒸発させたりする問題も、食塩を加える問題も、てんびん算で解くことが可能です。
水の場合は濃度を0%、食塩の場合は濃度を100%とすれば、まったく同じように処理することができます。
さらに、冒頭に紹介した➁~④の問題も、実はすべててんびん算で解くことが可能です。
とても応用範囲が広い便利な方法なのです。
これらについては、次回以降で詳しく解説します。
まずは、きちんとてんびん算が使えるように練習してみてください。
では、また次回お会いしましょう!