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投稿日:2021年12月14日

テーマ: 算数

【文章題】値の「重み」を感じてみよう!

皆さま、こんにちは!
さて、前回は算数の食塩水の問題で、てんびん算が色々なタイプの問題に使えるということを紹介しました。
今回は、食塩水以外の問題にもてんびん算が使えるということを考えてみます。
まずは、次の問題を考えてみてください。

大人が2人、子どもが4人います。大人の平均年齢は28才、
子どもの平均年齢は7才です。大人と
子どもを合わせた全員の平均年齢は何歳ですか?

平均についての、基本問題ですね。
こういう問題で絶対にやってはいけないのは、平均の平均をとる、ということです。
大人の平均28才と子どもの平均7才を、(28+7)÷2=17.5として、全員の平均としてはダメです。
全員の平均を求めたければ、(全員の合計)÷(全員の人数)という計算をする必要があります。

大人2人と子ども4人なので、合計人数は6人とすぐにわかりますね。
では、全員の年令の合計はどうでしょう?
平均というのは合計を人数でわった値なので、逆に平均に人数をかければ合計に戻ります。
大人は、平均年令が28才で2人ですから、合計は28×2=56で、56才です。
子どもは、平均年令が7才で4人ですから、合計は7×4=28で、28才です。
ですから、全員の年令の合計は、56+28=84で、84才とわかります。
これを合計人数の6人でわります。
よって、84÷6=14で、全員の平均年令は14才となります。

さてここで、正しく求めた平均の値と、先ほど平均と平均を足して2で割った値を比べてみてください。
17.5という値は、28と7という値の単純な平均(真ん中)ですが、正しい平均は14です。
このとき、14という数字が、単純な真ん中の17.5から7の方に近づいているということがわかりますか?
「子どもの人数の方が多いんだから、7の方に近づくのは当たり前じゃないの?」
そう感じられた方は、平均という値の意味を正しく理解されています!
大人2人の平均である28よりも、子ども4人の平均である7の方が、値として「重い」ということです。
ですから、全体の平均は「重い」7という値の方に「引っ張られる」のです。

こういった考え方を、数学的には「加重平均」と呼びます。
重さを加えた平均ということですが、正確には、それぞれの値に「重み」を加えた平均、というイメージです。
なんとなくで構わないので、以下のようなイメージを頭に思い浮かべてみてください。
2021_1214_blog2

前回までに解説した食塩水の混ぜ合わせの問題も、実は加重平均を考えています。
例えば、3%で200gの食塩水と、8%で300gの食塩水を混ぜるとします。
すると、6%の食塩水が500gできます(これはもう解けますよね?)。
このとき、6という値は、3よりも8の方に近いですが、これは当たり前ですね。
200gよりも300gの方が、実際の重さとしても、濃度の値に対する「重み」としても、重いからです。
よって、3%と8%の間でも、より重い8%の方に近い6%が答えになるのです。
そして、これらを直感的な図として処理しているのがてんびん算なのです。
先ほど、挙げた加重平均のイメージ図も、てんびん算の図と似ていると思いませんでしたか?
ということで、今回の平均の問題も、てんびん算で処理できるのです!
さっそくやってみましょう。

今回は、大人と子どもの人数を、おもりの重さとしててんびんにひっかけます。
そして、おもりの上にそれぞれの平均年令を書いておいてください。
こんな感じです。
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大人と子どもの人数の比は、2:4=1:2なので、逆比の2:1の点がつりあいのとれるポイントになります。
そして、28と7の差は21なので、これを2:1で比例配分します。
すると、14と7になりますね?
よって、28-14=14、あるいは7+7=14で、ふたつの平均は14才ということになります。

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合計人数から求めた最初の答えと、ちゃんと同じになりましたね!

このように、てんびん算は平均の問題でも利用ができるのです。
食塩水の問題をてんびん算で考えると、溶けている食塩の量を考えなくて良かったですよね?
それと同じで、平均の問題をてんびん算で考えると、合計を考えなくて良いのです。
また、食塩水の問題では、ふたつの食塩水の具体量がわからなくても、比さえわかればOKでした。
これも同様に、平均の問題でも具体的な人数や個数がわからなくても、比さえわかればOKなのです。
つまり、このふたつの問題は、ぱっと見は違って見えても、本質的にはまったく同じ問題なのです。
どちらも「加重平均」を考えている、という意味では、何の違いもないということです。
ですから、同様の解法や考え方を利用できるのです。

算数の特殊算を勉強していると、どうしても「○○算」という分類に意識が向くようになります。
「これは○○算だから、こういう風に図を書いて…」といった思考になりがちです。
もちろん、これ自体はオーソドックスな考え方で、体系的な学習をする際にはこういった意識は大切です。
しかし、もっと問題を抽象化してとらえられると、「○○算」というくくりにとらわれる必要はなくなります
より高次のレベルで体系化できる、という感じでしょうか?
そういう頭の使い方ができるようになると、覚えることを減らすことができます。
よりシンプルに問題を捉えられるようになるので、ムダな作業を減らすこともできます。
ただでさえ、学習内容が膨大にある中学受験の勉強なので、できるだけ効率的に学習したいですよね。

中学受験の算数の文章題では、「加重平均」に関する問題がわりと出題されます。
10/15のブログの冒頭で紹介した4題は、その代表的なものです。
次回はさらに違ったタイプの「加重平均」の問題を解説してみます。
ぱっと見は違う問題に見えても、本質的には同じことをやっている、ということをさらに体験しましょう。

では、また次回お会いしましょう!

算数ドクター