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投稿日:2023年06月30日

テーマ: その他

【よくあるお悩み】ミスを減らすには?①

皆さま、こんにちは!

さて、今回からはご家庭からのよくあるお悩みについて考えてみたいと思います。
私は、担当しているご家庭やご入会前のご家庭からの学習相談などで、日々ご相談やご質問を受けています。
多くのご家庭とお話しているわけですが、その中で共通して出てくるお悩みがいくつかあります。
そういったよくあるお悩みについて、あらためて考えてみようという企画です。

「考えてみよう」としてあるように、必ずしも明確な答えを提示するものではないです。
そもそも多くの方が悩まれているような問題は、なかなか明確な答えが出せない問題です。
ですから、「これをやれば解決!」というような安易なことは、私にも言えません。
ただ、何が問題の本質なのか、考えるべきポイントは何なのかということは提示できるかなと思います。
では、さっそく今回のテーマに行ってみましょう。

 

【究極のお悩みであり永遠のテーマ】

今回は第1弾として、「ミスを減らすにはどうしたらいいですか?」というお悩みについて考えてみます。
これは本当にご相談の多い内容で、ある意味究極のお悩みです。
ミスを減らす良い方法があるなら、私もだれかに教えて欲しいくらいです。
勉強に限らず、スポーツとか楽器の演奏とかゲームとか、どんな分野であってもミスはつきものです。
トッププロ同士の対戦競技なら、先にミスをした方が負けるというようなシビアな勝負をしています。
その分野のプロとして活動されている方々は、日々ミスをなくすための地道な努力を重ねているものでしょう。

入試の試験本番でも、ミスの少ない方がより合格に近づくというのは間違いないです。
その試験を受けている受験者は、実力が近いもの同士であることがほとんどです。
模試の結果などを見て、合格の可能性が一定以上あるお子さんたちがその学校を受けているからです。
実力に大きな差がない以上、本番でのミスの数が勝敗を分けることになるのは当たり前です。
ですから、ミスを減らすということを真剣に考えることは非常に大切です。
どんなことをしていても、最後に行きつく永遠のテーマが「ミスを減らす」ということです。
それだけに、簡単に解決できるものでもないのが悩みの尽きない理由でしょう。

「ほとんどがミスで点数を落としていて本当にもったいないです」という声はよく聞かれます。
しかし、では「ミスを減らしなさい!」と口酸っぱく言ったところで、ミスが減るものでもないのが悩みどころです。
当の本人は「ミスだから大丈夫」と一向に気にしていないということもあるでしょう。
はたから見ている大人にして見れば、「どこが大丈夫なんだよ!」と、とても歯がゆい気持ちになります。
自分自身のミスを減らすのも大変なのに、お子さんとは言え、他人のミスを減らさせるのはもっと大変です。
とは言え、「ミスも含めて実力なんだよ」というような意識づけは、もちろんしておいた方が良いでしょう。

 

【ミスってそもそも何?】

しかし、ここであらためて考えておきたいのは、そもそもミスって何なのか?ということです。
一言にミスと言っても、様々なタイプのミスがあるのではないでしょうか?
計算ミスもあれば、問題の読み間違いのようなミスもあれば、判断のミスということもあるでしょう。
取り返しのつかない致命的なミスもあれば、あまり気にする必要のない些細なミスもあるでしょう。
また、ミスが起こる原因についてはどうでしょうか?
単純な実力不足から来るミスもあれば、油断から来るミスもあれば、疲労から来るミスもあるでしょう。
私自身もそうですが、「本番に弱い」タイプは、ストレスやプレッシャーがミスを生んでいることが多い気がします。
積極的なチャレンジが生んだミスもあれば、行動を躊躇した消極的なミスというのもあるのではないでしょうか。
こう考えると、一概にミスと言ってもそれが起こる状況も原因も様々です。
そうなってくると、当然そのミスに対する対処法や解決法も変わってきます。
たとえば、疲労によるミスなのであれば、休息するというのがおそらく一番正しい解決法です。
それなのに、これは練習不足が原因だと誤った判断をして、もっと練習させるのはおそらく逆効果でしょう。
そうなるとこれは、大人や指導者側の判断ミスということになりますね。

ミスというのは非常に便利で、ある意味とても都合の良い言葉です。
ミスと一言言うだけで、その失敗の本質を覆い隠してしまうようなところがあります。
そのため、本来は同列に扱うべきでないような事象を、まるで同じことのように片付けてしまうこともできます。
ですから、ミスと言う言葉をあまり安易に使わない方が良いのではないかというのが、私の考えです。
使うとしても、どんなシチュエーションで、何が原因で起こった、どんなタイプのミスなのかをはっきりすべきです。
そういうことをしておかないと、次に起こる同様のミスも防げないことになります。

そもそもミスが少ない人というのは、自分がいつどこでどのようなミスをしたかをよく覚えているものです。
機械やコンピューターではないので、ミスをしない人間というのはいません。
どんなにミスが少なく見える人も、どこかで必ずミスはしているはずです。
しかし、そのミスを覚えておいて、同じミスを繰り返さないというのが、ミスが少なくなっていく重要なポイントです。
人によっては自分のミスをメモしておいたり、日記につけたりというようなこともしているかもしれません。
つまり、ミスの分析をして、次に同じような状況になったときにどうすれば良いかを考えておくということです。
こう書くと当たり前のように聞こえるかもしれませんが、しかしこれが小学生の一番苦手なことなのです。

 

【小学生はまだ「子ども」】

自分のミスと向き合うのは、つらいしあまり楽しい作業ではありません。
ミスを覚えておくというのも積極的にしたいものではなく、はやく忘れてしまいたいというのが人情でしょう。
「大人」であれば、それではダメだと理屈で分かるのですが、小学生は「子ども」なのでそうはならないのです。
そもそも「子ども」は理屈では動きませんから、言葉で説明しても、「なるほど、そうだ!」とはならないです。
また、自分のことを客観視してコントロールすることができればいいですが、それもできないのが「子ども」です。

これが中学生や高校生であれば少し違います。
自分が過去にしたミスをきちんと覚えていて、同じミスを繰り返さないように気を付けられるようになってきます。
また、自分の実力や自分の置かれた状況などを客観的にとらえて、自分の取るべき行動を選べたりします。
もちろん小学生のなかにも、このような「大人」な行動ができるお子さんは存在します。
しかし、それは相当に精神年齢が高いお子さんで、少数派なのは間違いないです。
そしてそれは、お子さんの成長の仕方が一緒でない以上、仕方のないことです。
理屈で動かない以上、「こうすればこうなる」というような、単純な因果関係で考えることは危険です。
中学受験はまだ「子ども」な小学生がしていることなのだ、ということを「大人」は考えておくべきです。

では、どうしたら良いか?
まず、お子さんができないミスの分析を代わりにしてあげてください。
どこでどんなミスをしがちなのかをチェックしてあげて、その分析をお子さんと共有するのが第一歩です。
ただし、それを共有したところで、そのミスがすぐになることはまずありません。
また、それをあまり強く突き付けてもストレスやプレッシャーを与えすぎて逆効果になることもあります。
「こういうところでこういうミスをしがちだから、次は気を付けようね」くらいで良いと思います。

次に、そのミスの原因を突き止めて、そのミスを防ぐためにはどうしたら良いかを考えてあげてください。
もちろん「そこがわからないから困ってるんだよ!」ということもあると思います。
そういうことであれば、それは経験のある人に解決法を聞いてみるというのもひとつの手です。
あるいは、そのあたりのことがよくわかっているプロの先生に指導をお任せするということも、もちろんありです。
具体的な解決法については、次回のブログで私もいくつか挙げてみようと思います。
ただし、この場合も、その解決法をお子さんがすぐに取り入れられるかというのは、また別の問題です。
とにかく、お子さんがまだ「子ども」だという前提で、うまく誘導してあげるように考え、伝えてあげてください。
そして、それをお子さんすぐにうまくできなくても、小学生だから当たり前だよね、と考えてあげてください。
中学受験の場合は、どうしても親や先生という「大人」の手助けが必要だということを忘れないようにしましょう。

 
ということで、今回は「ミスを減らす」ということについて考えてみました。
今回は①ですので、次回以降に話は続きます。
次回は、いくつか代表的な事例を挙げて、それぞれにどんな解決法があるかを考えてみます。
私が現場で遭遇した具体的な事例を使って、それに対してどう指導しているかをご説明します。

では、また次回お会いしましょう!

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