皆さま、こんにちは!
「ミスを減らすにはどうしたらいいですか?」というお悩みについて、4回にわたって考えてきました。
今回は、そのまとめをして、いったんこのテーマを終えたいと思います。
第1回にも書いたように、「ミスを減らす」というのは、誰もが悩む、答えのない永遠のテーマです。
これまでも、これから先も、私自身ずっと考え続けることになると思います。
また、新しいことに気がついたら、このブログで紹介しようと思います。
ミスを減らすための基本
今回は、これまでの4回で書いてこなかった、基本的なことを確認しようと思います。
ミスが多いという場合は、まずは以下のような点を確認してください。
①設問文に対して、線引きなどのチェックを行っているか?
ミスが少ないお子さんは、設問文に対してのチェックを丁寧にしていることが多いです。
算数であれば、長さや速さなど、重要な情報に線を引いたり〇をつけたりして、強調します。
大切なことは「強調する」ということで、自分自身に対して「ここ重要だよ!」と意識づけをするのです。
「ただし、〇〇とする」などの、問題に条件をつけている文章もとても重要です。
以前に私が指導していた女の子は、いつも設問文の重要な箇所に対して、ぐりぐり〇をつけていました。
このお子さんは女子の難関中学に合格しましたが、そういった地味な作業がとても大切です。
最も強調してチェックしておくべきなのは、「その問題に対して、何をしろと言われているのか?」です。
求めるものは、面積なのか、角度なのか、速さなのか、時間なのか。
理科や社会であれば、答えを「選べ」と言われているのか、「書け」と言われているのか。
「適切なものを選べ」なのか、「不適切なものを選べ」なのか。
国語であれば、抜き出しなのか、自分で考えて書くのか。
抜き出しだとして、「一文を抜け」なのか、「部分を抜け」なのか。
「〇〇字」ぴったりで抜くのか、「〇〇字以内」というような幅が許されているのか。
問われていることは、「なぜ?」「どういうこと?」「何?」「どのような?」のどれなのか。
こういったことに、必ず線引きをしたり〇をつけたりしてください。
問題を解いていて、「解けた!」と思ったときが一番危険です。
答えが出たと思ったら、「で、何を求めろと言われてたんだっけ?」と、確認するクセを持ちましょう。
あわせて、自分が見落としている情報はないか、大きな勘違いをしていないか、一度チェックしましょう。
そのさいに、自分が線を引いたり〇をつけたりしたあとが役に立ちます。
もちろん、限られた時間の中でのテストなので、すぐに次の問題に行きたくなる気持ちはわかります。
しかし、次の問題が同じように解ける保証はありません。
解けたと感じている問題を、確実に点数にすることの方が、全体の得点アップには重要です。
②わかったことをメモしたり書き出したりしているか?
頭の中だけで処理をしようとすると、どうしてもミスが増えます。
ですから、できるだけ紙に書き出して、目で見てわかるような形にして確認することが大切です。
計算であれば、ある程度の暗算は必要ですが、重要な式はしっかり書いておくべきです。
表を作ったり、図にしてみたり、グラフにしてみたり、という作業も大切です。
特に、算数の速さの問題は、お絵描きをして、状況をビジュアル的に整理してみる力が求められます。
図にしてみると、「なんだ、それだけか!」と気がつくことも多いです。
また、求めたものに、きちんと単位をつけてメモするということも非常に大切です。
自分がいま求めたものは、速さなのか、時間なのか、距離なのか、単位をつけることで明確化します。
こういったことは、例えば理科の浮力の問題などでも重要です。
浮力の問題は、「重さ」「体積」「密度」など、ごっちゃになりやすい複数の要素が絡むからです。
浮力ができない、という相談は多いのですが、そういったお子さんは単位をおろそかにしていることが多いです。
計算式の中に、単位を書き込んでしまってもいいので、とにかく単位を大事にしましょう。
簡単な問題であれば、そんなことをきちんと書かなくても解けたりします。
しかし、簡単な問題のときこそ、正しく書いて考えるという習慣をつけて欲しいです。
難しくなったら書けばいい、と思いたくなりますが、そんなに都合よくはいかないのです。
問題を解くという作業は、正しいクセをつけるための作業です。
簡単な問題の段階から、もっと難しい問題を解くためのクセをつけるように練習しましょう。
小学生のお子さんの場合、「賢い人はなんでも頭の中だけでやっている」と勘違いされていることが多いです。
しかし、実際にはそんなことはありません。
正確でミスがない人ほど、書いて考えるという地味で丁寧な作業を怠りません。
受験Dr.の先生たちも「書きなさい」「メモしなさい」ということを、強調した指導をしています。
小学生のお子さんは、細かいことを面倒くさがるところが往々にしてあります。
すぐには直らないかもしれませんが、書いて考えることの大切さを口酸っぱく言い続けてください。
全4回のまとめ
以上の2点が、最低限気を付けて欲しいポイントです。
そんなことは当然やっている、それでもミスが減らない、という場合は、以前のブログを参考にしてください。
4回のなかで、どのようなことをお伝えしたかったのか、ざっとポイントを整理してお伝えします。
第1回【ミスの分析をしよう】
まず、「ミス」と簡単に片づけずに、どういったタイプの問題での、どのような失敗なのか、分析しましょう。
そして、次に同じような状況になったときに、どうすればよいのかを考えておきましょう。
小学生のお子さんには、なかなかそのような自己分析は難しったりします。
その場合は、お父様・お母様が失敗を整理して、お子様にアドバイスをするようにしてください。
第2回【実力アップがミスを減らす】
「ミス」は、余裕のない状況で生まれることが多いです。
余裕を作るためには、全体的な実力アップが必要です。
「ミスを減らす」ということに意識が向きがちですが、それ以上にできることを増やす方が大切であったりします。
「ミス」についてあまりうるさく言い過ぎると、逆効果になってしまうこともあるので気をつけてください。
第3回【基本に立ち戻ることも大切】
勉強量を増やし、難易度の高い問題にチャレンジしていると、逆に調子を崩すということがあり得ます。
たくさんの知識や解法を頭に詰め込んだ結果、問題に対して何を使えばよいか、迷うようになります。
また、問題を難しくとらえすぎてしまい、シンプルな解法が見えなくなってしまうようなことも起きます。
これは、実力アップを考えた場合は、誰もが必ず通らなければならない道です。
スランプのような状態に陥って、うまく力が発揮できなくなったときは、基本的な練習に立ち戻ってみましょう。
真っすぐに飛んできた球を、真っすぐに打ち返す、そんな基礎練習に戻った方がよい状況もあります。
第4回【心身ともに健康に】
睡眠不足や、疲れ切った状態では、頭も回らず、自分の力をフルに発揮できません。
テストにおいて自分の実力をフルに発揮するためには、心身ともに健康な状態を保つように気をつけましょう。
結果がおもわしくないとき、「もっと勉強させなければ」と思うのは当然ですが、逆効果になる可能性もあります。
あえて休ませる、別のことをさせてみる、という視点も、持っておいて損はないです。
詳しい内容は、それぞれの回のブログをお読みになってください。
ぱっと見では、何が問題なのかわからないということもよくあります。
ご家庭で工夫されてみて、それでもどうにもならないという場合は、プロの先生に頼むことも検討してください。
今回のテーマについては以上になります。
次回からは、また違ったご家庭のお悩みについて考えてみます。
では、また次回お会いしましょう!