皆さま、こんにちは!
今回からは、中学受験で「いまさら聞けないけど、実はよくわかっていないかも…」という内容を説明します。
第1弾として、「そもそも偏差値ってなに?」ということを解説します。
中学受験に限らずですが、受験勉強をしていれば、必ずつきまとってくる「偏差値」。
テストのたびに、偏差値が上がったか下がったかで、一喜一憂してしまうことも多いです。
しかし、本当のところ偏差値がどういったことを表す数字なのかはご存知でしょうか?
また、それがどうやって計算されるものかも理解されているでしょうか?
「なんとなく偏差値が大事と思っているけど、実際はよくわかっていないかも…」という方のために解説します。
今回の解説で目指すのは、偏差値を理解して、必要以上に偏差値に惑わされないようになる、ということです。
偏差値は自分の成績を知る上で、とても参考になる指標です。
偏差値アップを目指して、日々学習をするということは大切です。
一方で、偏差値はとても便利な指標ではありますが、あくまで統計処理をされた数値です。
ですから、どういった処理をされた数字で、それがどういう意味を持っているかを知っている必要があります。
それがわかっていないのに、単に数字が上がった下がっただけを見ていても、あまり意味がありません。
意味がないどころか、見た目の数字にダマされて、正しく情報を受け取れていない可能性すらあります。
そうなると、数字に惑わされて、間違った判断をしてしまうかもしれません。
ですから、偏差値がどういった計算をされて導き出された数字なのか、それをきちんと理解しておきましょう。
偏差値の意味を正しく知って、正しく偏差値と付き合うことを目指すのが今回テーマの目標です。
偏差値についての〇✕問題
では、まず偏差値についての基本的な知識を確認してみましょう。
以下に挙げる5つの文章について、正しいなら〇、間違っているなら×と答えてください。
よくある誤解や勘違いも入れてあります。
どのくらい正しく理解しているかチェックしてみましょう。
①自分の点数が平均点と同じなら、偏差値は50である
②自分の点数が0点のときは、偏差値も必ず0になる
③偏差値は必ず75~25の間におさまる
④偏差値はマイナスになることもある
⑤同じ母集団の2回のテストで、偏差値が下がったなら、全体の中での順位も下がっている
いかがでしょうか?
では、答え合わせです。
正解は、①は〇、②は×、③は×、④は〇、⑤は×です。
順番に説明します。
まず①ですが、これは正しいです。
そもそも、偏差値は平均点をとった人が必ず偏差値50になるように、計算方法を決めています。
ですから、平均点をとった場合は、例外なくその偏差値は50です。
そして平均点よりも高い場合は、偏差値は50以上、平均点より低い場合は、偏差値は50以下になります。
偏差値を見れば、自分の点数が平均点以上だったのか、以下だったのかは、すぐにわかるということです。
これは簡単でしたね。
次に②ですが、これは間違っています。
点数が0点でも、偏差値は0にはなりません。
これも「そんなことはさすがに知っているよ」と思われるかもしれません。
では、偏差値が0になることも計算上はあり得る、ということはご存じでしょうか?
必ず偏差値0になるわけではない、というだけで、偏差値0はあり得るのです。
そうすると③の答えも×だということになりますね。
③は「偏差値は、必ず75~25の間におさまる」と言っていますが、これは間違っています。
ただ、75〜25の範囲におさまることが多いのは事実です。
しかし、「必ず」ではないです。
この辺りは、誤解されていた方もいらっしゃるかもしれないので、ぜひ知っておいてください。
偏差値表が成績表についている場合は、いつもチェックしていれば80台の偏差値も見ることがあるはずです。
では、④が言っている「偏差値はマイナスになることもある」はどうでしょう?
これは正しいです。
さすがにマイナスの偏差値というのは見たことがないですが、極端なケースを考えて計算してみるとあり得ます。
たとえば、100人が受けたテストで、99人が100点なのに、1人だけ0点を取ったとします。
この条件で偏差値を計算してみると、0点の人の偏差値はおよそ-49です!
ちなみに、100点の人の偏差値はおよそ51です。
99人が100点で、1人だけ0点なら、平均点は99点なので、100点をとっても偏差値はほぼ50ですね。
もちろん、こんな極端なケースはあり得ないですが、計算上はマイナスになることもあると知っておいてください。
では、最後に⑤ですが、これは間違っています。
これも、もしかしたら勘違いしている方がいらっしゃるかもしれません。
「偏差値は、全体の中での自分の相対的な位置を知る数値」とよく言われます。
この説明自体は間違っていないです。
それなら、「偏差値が下がったら、順位も下がっているんじゃないの?」と思われるかもしれません。
「相対的な位置」と言われると、それは「順位」と同じようなものにも感じられるからです。
それでも、偏差値が下がったからと言って、順位が下がっているとは限りません。
もちろん、そうなるケースもありますが、「必ず」ではないです。
たとえば、先ほどの④の説明で出てきた極端なケースを考えてみればすぐにわかります。
100点満点のテストで100点をとったのなら、順位は確実に1位です。
しかし、極端な場合だったので、このときの偏差値はほぼ50でした。
では、この後に次のテストがあったとして、また100点を取ったとすると、やはり順位は1位です。
しかし、今度はもう少し標準的な内容のテストで、偏差値は70と出るかもしれません。
そうすると、偏差値は上がっていますが、順位は変わっていません。
もし、このテストの順番が逆だったら、偏差値は70から50に下がっているのに、順位は1位のままとなります。
つまり、偏差値の上下と順位の上下は必ずしも一致するわけではない、ということです。
いかがでしょうか?
こう考えてみると、少し偏差値というもののイメージが変わってきませんか?
先ほど、「偏差値は全体の中での自分の相対的な位置を知る数値」と書きました。
しかし、より正確には「そのテストでの自分の点数の価値を表す数値」と表現する方がよいと思います。
簡単に言えば、「そのテストでの自分の点数のすごさ(ひどさ)」ということです。
先ほどの例でもわかるように、100点と言っても、すごい100点とすごくない100点があるということです。
みんなも同じように100点をとっているなら、自分の100点は特にすごいものではないです。
しかし、ほとんどの人が30点〜40点しかとれていないのに、自分だけ100点ならその点数はすごいです。
ですから、偏差値70と出たら、「今回のテストでのあなたの点数は、とてもすごいです」と言っているのです。
逆に偏差値50と出たら、「今回のテストでのあなたの点数は、すごくもひどくもないです」と言っているのです。
偏差値という数字が示しているのは、これだけです。
そして、それはあくまで「今回のテストでの」という条件がついていることに注意してください。
偏差値の計算方法
ここまで説明してきたことは、偏差値の計算方法を知っていればわかることです。
では、偏差値はどのように計算しているのでしょうか?
偏差値は以下の計算式によって決まります。
この計算式を見てわかることは、偏差値を求めるために必要な情報は赤字で書いた3つだということです。
①自分の点数、②平均点、③標準偏差の3つですね。
この3つの数字がわかるなら、あとは計算式通りに処理すれば、自分でも偏差値は求められます。
自分の点数と平均点は、成績表を見ればわかります。
ただ、標準偏差というのは、テスト全体のデータから計算するもので、自力で求めることは普通できません。
テストによっては、標準偏差が成績表に載っていることもあるので、わかる場合は試しに計算してみてください。
上の式通りに計算すれば、成績表に載っている自分の偏差値と同じ数字が求められるはずです。
ここで「そもそも標準偏差って何?」となりますよね。
まったくその通りで、「標準偏差」というものが一体どういうものかわからないと、偏差値の意味もわかりません。
しかし、この「標準偏差」というものの意味を説明するのは、それだけでかなりの時間がかかります。
ということで、詳しくは次回以降で説明します。
今回は、偏差値についての知識や抱いていたイメージが、正しかったかどうかが確認できればOKです。
では、また次回お会いしましょう!