皆さんこんにちは。
算数科の吉岡英慈です。
さて、前回のブログでは消去算の活用法について解説いたしました。
今回は、入試問題での消去算の応用と、消去算の正体を暴きます。
<入試問題での消去算>
割合と比の文章題だけでなく、つるかめ算までも解けてしまう消去算ですが、
実際の入試での活用法を見てみましょう。
坂の途中に学校、太郎の家、次郎の家、花子の家があります。太郎の家は学校より坂の上に、次郎の家は学校より坂の下にあります。
学校から太郎の家に行き、すぐにもどって学校の前を通り次郎の家にいくと65分かかります。学校から次郎の家に行き、すぐにもどって学校の前を通り太郎の家に行くと90分かかります。坂を下る速さは上る速さの2倍です。
学校から太郎の家までいくと( ア )分かかり、学校から次郎の家まで行くと( イ )分かかります。
<速さの問題で消去算?>
速さの問題でも消去算が使える場合があります。
この問題を読んだだけで消去算だ!と気づく必要はありません。
作図をし、条件を整理していくうちに消去算だと見抜きましょう。
まずは線分図で整理します。
「学校から太郎の家に行き、すぐにもどって学校の前を通り次郎の家にいくと65分」
「学校から次郎の家に行き、すぐにもどって学校の前を通り太郎の家に行くと90分」
2つの条件をそれぞれ図にすると
速さの問題の必須解法、距離が等しいところでは、速さの比と時間の比が逆比であることから
黄色く囲んだ部分の上り(青)と下り(赤)の速さの比が1:2、上り下りにかかる時間の比は逆比の2:1となります。
ただし、学校から太郎の家までと、次郎から学校までの距離は異なりますので
時間は○と□を使って書き分けます。
さらに学校から次郎の家へ向かう時間、学校から太郎の家へ向かう時間もうまります。
さて、全ての移動の時間が比で表わせましたので、式を立ててみましょう。
整理すると
はい!消去算に持ち込むことができました。
あとは解くだけですね。
このように、難関校の入試問題では、問題を読んですぐに消去算とわかるものは
あまり出題されません。
むしろ、条件を整理していくうちに、消去算で解けると気づくような仕掛けになっています。
普段から比を見つけたら①と書き込むことを習慣にしましょう!
<消去算の正体とは・・・>
5年生の「マルイチ算」は○を活用する計算法。○は、文字式、x(エックス)の代用品でした。
6年生の「消去算」では○に加えて△や□が登場しました。
つまりxに加えてyやzが登場したことになります。
数学好きのお父さま、お母さまはもうおわかりかと思います。
消去算の正体は、「連立方程式」です。
代入法、消去法という2通りの解法で中学生を苦しめる連立方程式が、
中学受験ではあたりまえのように登場しています。
5年生にはマルイチ算、6年生には消去算が大切である理由は、
一次方程式が解けて、連立方程式がつかいこなせれば、「中学受験の割合と比の文章題の大部分が解けるから」です。
お父さま、お母さまも、算数を教えるときに、数学を使えば解けるのになぁ。という場面があると思います。
そんな時は、xを①として考え、連立方程式は消去算として教えてあげれば良かったのです。