皆さんこんにちは。
算数科の吉岡英慈です。
立体図形と一言にいっても様々なタイプの問題がありますが、中でも立体切断は相似の考え方を応用する、受験算数で最も難しいジャンルのひとつです。
近年、レベルの高い立体切断の問題の裾野が広がり、様々な学校で出題されるようになりました。
今回は、立体図形にまずは親しむために、色々な図形を切断し、体積の比を考える練習をしてみましょう。
算数侍、立体斬りっ!
<円すい斬り>
まずは円すいでござる。
底面と並行、真一文字にスパッ。
上から2 : 3の位置で斬りました。
では、上下の立体の体積比を求めてみましょう。
元々の大きな円すいと、上の小さな円すいの相似比は
2 : (2+3) = 2 : 5
体積比は2×2×2 : 5×5×5 = 8 : 125
上の円すいと、下の円すい台の体積比は
8 : 125 – 8 = 8 : 117と求まりました。
すい体の切断では、相似を利用するのが基本。
いささか簡単でした。
またつまらぬものを斬ってしまった…。
<三角すい斜め斬り>
次はレベルをあげて実戦モードに突入です。
いや、突入でござる。
突入で候…。ござ候?
ええい。とにかく、ご免っ。
スパッ。
今回は袈裟にバッサリ。
さて、上下の立体の体積比を求めてみましょう。
相似ではありませんが、元の大きな三角すいと、上の小さな三角すいを比較します。
ここでポイントになるのが
三角すいの体積比は3つの辺の比をかければOK。
小さな三角すい:大きな三角すい:は、3×4×1 : 5×5×3 = 12 : 75 = 4 : 25
上の立体:下の立体は、4 : 21
となります。
平面図形で三角形の中に三角形が入っているパターンと対応させて覚えておきましょう。
<正四角すい斜め斬り>
三角すいの斜め斬り、そこそこ斬りごたえはあったが、まだまだ拙者の相手ではないでござる。
むっ。物陰に不逞者。
ええい!
ズバッ。
げげっ!正四角すいを袈裟斬り。
これは…やっかいなことになった。
さて、少し面倒なのが正四角すい(底面が正方形の四角すい)を斜めに切断した場合です。
上下の立体の体積比を考えます。
三角すいのときと同様、辺をかけて体積比としてよいかというと
そう簡単にはいきません。
三角すいの場合、2辺をかけて底面積比、3辺をかけて体積比となりましたが、四角すいでは4辺かけても体積比にはならないのです。
少しレベルの高い切断になりますが、解き方を覚えておいて損はありません。
こんなときは正四角すいにとどめの一撃を加えます。
対角線にそって真向唐竹割り!
パカッ!
左右に分けてよーくみてみると…
なんと、どちらも三角すいになっている!
これでさきほどの三角すいの切断の考え方が活用できます。
まずは左の三角すい。
小さい三角すい:大きい三角すい = 3×4×1 : 5×5×6 = 12 : 150 = 2 : 25
次に右の三角すい。
小さい三角すい:大きい三角すい =1×4×1 : 6×5×2 = 4 : 60 = 1 : 15
大きい三角すいは等しいので、25と15の最小公倍数の75とします。
左の小さい三角すい:右の小さい三角すい:大きい三角すい×2 = 6 : 5 : 75×2
正四角すいを袈裟斬りで切断してできた上の図形と下の図形の体積比は11 : 150−11 = 11 : 139
正四角すいの切断もクリアできました。
うむ。最後はなかなかの強敵でござった。
一撃必殺で仕留められない場合は、二の太刀を加えば勝機あり。
今回は、ここまで。
算数侍、次回は立方体斬りに挑戦します。
お楽しみに。