皆さん、こんにちは。
算数科の吉岡英慈です。
算数の主要単元のひとつに、規則性という単元があります。
そして規則性といえば、代表格はやはり数列。
数列にはいくつか種類がありますが、その中でも中学受験の入試問題で出題されるのは
「等差数列」がほとんどです。
割合や比の理解がなくても取り組めるため、4年生のカリキュラムから扱われています。
しかし、比較的易しいにも関わらず、きちんと正答できる受験生が多くありません。
数字の変化だけを追いかける抽象的な作業に、「イメージできない」「なぜか答えが少しずれる」
といった感想を多く聞きます。
今回は、これから等差数列を学習する4年生はもちろん、
5・6年生も、今さらきけない等差数列の根本原理をイメージする3つのステップをご紹介します。
図形問題で導入する
4年生のテキストで初めて登場する等差数列。
5.9.13.17.21…
見慣れない数字が並んでいます。
いくつずつ増えている?という質問に4ずつ増えているところまではすぐわかるのですが
10番目の数がいくつと聞かれると、イメージするのが難しくなります。
等差数列は数字だけで考えると、ややこしい。
そこで、step1。テープを使って導入します。
問題1
幅5cmのテープを、のりしろを1cmにして横につないでいきます。
5枚つなぐと、長さは何cmになりますか。
通常、図形と規則性の問題は、等差数列を学習した後に登場する単元です。
等差数列と図形が絡んで難しそう、と思われるかもしれませんが
等差数列はよくわからなかったが、この単元は理解できたというパターンも少なくありません。
これは、等差数列を学習しておいたからできたのではなく、図形という題材がイメージしやすいため
等差数列が理解できた、ととらえるべきでしょう。
1枚ずつつなげる絵を描き、のりしろを省いた4cmずつ長くなることを理解させます。
テープを使って等差数列がイメージできたら、step2。
等差数列を足し算の式で見せる
等差数列の□番目の求め方の公式は有名ですが、いきなり公式を与えるのはNG。
足し算の式を見せることで、差を集めてから最初の数に加えることを理解させましょう。
テープ1枚 5cm
テープ2枚 5+4cm
テープ3枚 5+4+4cm
テープ4枚 5+4+4+4cm
テープ5枚 5+4+4+4+4cm=5+4×4=21枚
5枚のときは4cmのテープが4回しか足されないことに注目させてください。
ここまでくればあと一歩、step3。
等差数列の公式に誘導する
問題2
幅5cmのテープを、のりしろを1cmにして横につないでいきます。
10枚つなぐと、長さは何cmになりますか。
設問の条件を10枚とし、足し算をすべて書かずに、掛け算をつかって処理させます。
5+4+4+…+4=5+4×9=41cm
10枚なので、4cmのテープは9回しか足さないことが理解できていれば、OK。
公式として、等差数列の□番目を求める際は、
最初の数+差×(□-1)
と公式が求まりますね。
ここまで丁寧にやることで、等差数列の根本原理をきちんとイメージすることができるようになります。
等差数列は導入が命
等差数列のわかりにくさは、数字だけが羅列され、抽象的になってしまう点にあります。
お子様がつまづいたとき、つい数列で教えてしまいがちですが
本当に根本原理が理解できているかどうか、テープを使って確認してみてはいかがでしょうか。