みなさん、こんにちは。受験ドクターで算数と社会の講師をしておりますM. Y.です。
前回に引き続きは「社会の効果的な学習方法」の第2弾として「地図・統計資料・歴史資料などの視覚的な知識」についてお話しをします。
例えば、次の入試問題をみてください。これは2013年に洗足学園中で出題された問題の一部です。
上のグラフは、貿易港に関する問題で、グラフの種類や貿易港に多少の違いこそありますが、毎年必ず、複数の学校が出題するグラフの1つです。もちろん、塾で使用するテキストにも必ず掲載されているグラフです。
このグラフの出典ともいうべきものは何か。上の問題に「日本国勢図会2013/14年版」より作成と書いてあります。塾のテキストにあるグラフにも多くはこの「日本国勢図会」から引用されています。つまり、入試問題の統計資料は多くがこの「日本国勢図会」を多く利用しています。
ということは!この本を購入して全部覚えればいいのか!となりますね。
残念ながら、この本、500ページくらいありまして、図表・グラフが所狭しと並んでいます。とてもとても全部を覚えるのは難しいです。しかもさらに残念なことに、他にも「世界国勢図会」「日本のすがた」「データブック オブ ザ ワールド」など他にもさまざまな出典はあります。
ちょっと話がずれました。今回は、統計資料の読み取りの効果的な学習方法でしたね。
右のずら~と並んだ統計をご覧ください。
先ほどの入試問題を解くためには、この統計資料が頭に入っていなくてはいけません。
実はこの統計資料の見分けを15分で完璧にできるようになるんです。私も個別指導で社会を担当しています。そして、この統計資料の暗記のお手伝いをしますが、15分で覚えて、しかも忘れなくなっている生徒が続出です。
ポイントは分類とインパクトです。
ちょっとだけやってみましょうか。
まず、7カ所の貿易港がのっていますが、
まずは、乗り物で2つに分けてみましょう。
そうですね。船の港と飛行機の港、つまり空港に分けられます。
空港の方が少ないから、空港からやりましょうか。
まず、この図表の「集積回路」に注目しましょう。
「成田国際空港」「関西国際空港」「大阪港」にそれぞれありますね。
しかし、よく見ると、成田国際空港と関西国際空港は、輸出品にも輸入品にもどちらにも「集積回路」が入っています。つまり、「輸出品・輸入品の両方に集積回路が入っていれば、空港決定!」といえます。これがポイントの1個目の「分類」です。
あとは、その空港が、成田国際空港なのか関西国際空港なのかを見分けられればいいわけです。
その見分けをどうしましょう。2個目のポイントの「インパクト」です。インパクトの強いことばをみつけましょう。他のところにあまりないことば、興味があることばなどなど。そうすると、成田国際空港に「金」なんてことばありますね。「金」はここしかないですね。これでいきましょう。成田国際空港には「金」がある。これでじゅうぶんです。
あ!しかも、世の中に「成金」なんてことばありますね。もともとは歴史用語だったんですけど。成田国際空港、金→成田、金→成金。。。のように、寒いギャグのように暗記してもいいですね。これもある意味インパクト(笑)
このように、輸出品・輸入品の両方に「集積回路」があれば、成田国際空港か、関西国際空港。さらに、「金」が入っていれば、成田国際空港、なければ、関西国際空港としっかり分類できるわけです。意外と簡単でしょ。
さて、これで空は制覇しました。次は船の港ですね。
まずは「分類」ですね。注目するべきは「自動車」「自動車部品」です。その両方がのっている港はどこですか?
「名古屋港」と「横浜港」ですね。ここでもっている知識を確認。自動車について。
自動車工業のさかんなのは、愛知県豊田市、中京工業地帯、TOYOTA自動車、こんなキーワードがでてくれば、、、、、、そうそう。愛知県の県庁所在地は名古屋市だから、豊田市でつくられた自動車が名古屋港から輸出されていくのか。さすが、世界のTOYOTA。という感じです。
そうすれば、自動車・自動車部品の輸出が多い。だいたい合わせて40%くらい。そんな貿易港は名古屋港だ、となるわけです。ついでに、25%くらいなら横浜港か、とセットにしておけば完璧です。
さて、まだ7この貿易港のうち、4つだけしか、見分けをしていませんが、先ほどの問題を見てみましょう。もう、問題が解けるようになっています。
問題文に「千葉、横浜、成田国際空港、名古屋のいずれかの貿易港の輸出品目の割合を示しています。」とありますから、わかりやすいものからやっていきましょう。
①は「集積回路」があって、「金」もあります。だから、成田国際空港
③は「自動車」「自動車部品」が約40%だから、名古屋港。
②は「自動車」「自動車部品」が約25%だから、横浜港。
ということは、③は残った千葉港なんだ。とわかります。
千葉港は覚えるべき資料に入っていませんでしたが、消去法で判断がつきました。
今は横浜港を答えればいいので、答えは②とわかります。
あっさり答えがでましたね。
このように、統計資料は、完璧に覚えなくても、先に述べたように「分類」と「インパクト」をつかって、うまく特徴をとらえることによって、しっかりと区別がつくようになります。他にもたくさんの統計資料がありますが、ほとんどすべて、この方法で大丈夫です。特徴のとらえ方や覚え方などは自分流でかまいません。自分なりに、いろいろ特徴をとらえるトレーニングをしてみてくださいね。
え?7つの貿易港のうち、4つしかまだ言ってない?そうでしたね。残り3つもしっかり分類できますよ。
「東京港」「大阪港」「神戸港」。
神戸港は、そこにしかことばが多いですからインパクトでいけそうですね。
東京港と大阪港はそうですね。う~ん、「魚と貝」に注目しましょうか。「さかなとかい」→「さかな とかい」→「さかな 都会」。あ!都会!。都会ってあるから東京だ。つまり、魚と貝があったら東京港だ。と寒い感じで、覚えてもいいですね。
いかがでしたか。今回は統計資料の読み取りのコツについてお話ししました。次回は③ 文章・図表・グラフに対し分析する力・思考する力 (記述する力)についてのお話をします。
記述問題が書けないと思っている人は必見ですよ。おそらく「書けない」のではなく、「書こうとしていなかった」「難しいものだと思ってた」ということに気がついてくれるはずです。
では、また次回。ごきげんよう。
*入試問題の割合の数値と、図表の数値の誤差は、入試問題は「日本国勢図会2013/14年版」からの引用で、図表は「日本国勢図会2015/16年版」より作成したもののためです。