みなさん、こんにちは。 算数科のS. Y.です。
大手塾に通っている5年生は、割合の学習に入るころですね。
割合は中学受験で最も重要な単元であるため、どの講師もその重要性を繰り返し訴えていることでしょう。
実際に「比と割合」の理解度・活用度が、今後の算数の成績を大きく左右することは確かですが、難しく考える必要はありません。
1.割合は、何の何倍かを読み取ることができると大丈夫
一般的に、割合を学習するとき、
くらべる量=もとにする量×割合
もとにする量=くらべる量÷割合
割合=くらべる量÷もとにする量
まず、割合の3用法と呼ばれる、この3つの式を覚える。そのために、文章を読んで「もとにする量」「くらべる量」「割合」にあたる数値を見つける練習をすることからはじめる教材が多いです。
ところが、割合を学習し始めたばかりの多くの生徒からは、「割り算なのか、かけ算なのか悩む」という声を聞きます。
原因の一つとして、これまでの割り算では、とりあえず「大きな数÷小さな数」を計算すれば正解できたため、「小さな数÷大きな数」ということに自信が持てないのでしょう。
そのような生徒さんには、「100円の2倍は200円である」ことからスタートし、「割合=何倍か」だけを考えましょう。これが理解できていれば、割合は難しくありません。
では、「100の0.25は[ ]です」の場合はどう考えるでしょうか。
割合が1より小さくなっただけで、ハードルが高くなってしまう生徒は多いのですが、実は1より小さい場合には「倍」が省略されてしまうだけです。
つまり、「100の0.25(倍)は[ ]です」と「倍」を付け加えるだけで正解できるでしょう。
これさえ知ってしまえば、もう恐くありません。
「[ ]の0.25は100です」と出てきても、「[ ]の0.25(倍)は100です」と考えましょう。
[ ]×0.25=100として、100÷0.25=400と逆算すればよいわけです。
苦労せず3用法が使いこなせると何の問題もないわけですが、「割り算なのか、かけ算なのか悩む」場合には、まず、「何の何倍がいくつになるか」という形をマスターしましょう。
2.もとになる量が変化する
もう一つ難しい点として、一つの問題の中で、もとになる量が変化することが挙げられます。
「原価の4割増しの定価をつけましたが、売れないので、定価の2割引きで売りました。実際に売った値段は原価の何倍ですか」という問題です。
この問題では、1.2倍という誤答が多いです。
「4割増し=0.4を足す」、「2割引き=0.2を引く」と誤って理解していると、定価が1.4倍はスムーズに求められるのですが、売った値段を1.4-0.2=1.2としてしまうのです。
原価=①とする、割合のまま計算する方法が難しい場合は、原価=100円として考えていきましょう。定価を考えるとき、もとになる量は原価の100円ですから、100×(1+0.4)=140円となります。ここまでは、大半の生徒さんが理解できると思います。
次に「定価の2割引き」を計算するのですが、ここで、もとになる量が定価の140円に変わることが難しくしている要因です。原価と定価の関係では原価がもとになる量ですが、定価と売値の関係では定価がもとになる量であることを理解しましょう。
売値は140×(1-0.2)=112円ですので、原価の112÷100=1.12倍と分かります。
そして、「4割増し」は1+0.4=1.4(倍)、「2割引き」は1-0.2=0.8(倍)であり、足し算や引き算で求めることはできないことを確認しておくと良いでしょう。
割合の問題では原価=①とおいて考えていく方法が一般的ですが、100円など計算しやすい実際の数値を当てはめると、理解が易しくなると思います。
「原価の4割増しの定価をつけましたが、売れないので、定価の2割引きで売りました。すると、利益は240円になりました。この品物の原価を求めなさい」という問題になったときはどうするか。
原価=100円で考えると、売値=112円でした。このとき112-100=12円の利益です。
実際の利益は240円で、240÷12=20(倍)ですから、100×12=1200が原価と分かります。
これは、仕事算などの文章題でも有効な手法ですので、ぜひ活用してみてください。