みなさん、こんにちは。 算数科のS. Y.です。
6月5日、6年生対象に第2回志望校判定サピックスオープンが実施されました。
今回は、サピックスオープン(算数)の講評と、ぜひ復習しておいてほしい問題をピックアップしてまいりますので、家庭学習にお役立てください。
1.Aタイプ
平均点は68.6点、正答率を見ていくと、全20問中、80%以上が2問、60%台が1問、50%台が7問、40%台が2問、30%台が4問、20%台が2問、10%台が2問と、難問の出題はなかったと言えるでしょう。
ただ今回は、時間的に厳しい構成と思われます。正解するだけではなく、効率よく解くことが重要でしたので、この点を意識しながら復習しましょう。
大問2(4) 食塩水のやり取りですが、混ぜ合わせの計算が2回でやや難しいです。演習量の差が、
そのまま正解と不正解の差につながったと思われます。
大問3(2) アとイに同じ面積を加えて、三角形と台形の面積の差で考えます。
類題を学習していますので、不正解であった場合、復習する際にその問題が解けるよう
になるだけではなく、本質を理解することを心がけましょう。
大問3(3) 水の体積を求めるのではなく、「正面から見た水の入っていない部分の面積」に注目し
ましょう。水の入っていない高さは3cmですので、7×3=6× となります。
大問3(4) 1cmの正方形の回転した体積を①として、体積比を利用して求めるようにしましょう。
大問4 表と裏を一つひとつ確認するため、時間がかかったり、数え間違えたりしたと思います。
大問5(1) 10円玉と50円玉について、合計の重さ比と、1枚あたりの重さの比から、枚数の比を
求めます。
大問5(2) (1)より、枚数比が4:3より、合計金額の比も4:3としないように。合計金額の比
は10×4:50×3となります。
(1)(2)ともに、実際の数値と同じように比を扱うことができるか、比を用いる意味の本質的
な理解度が問われ、差がついた問題でした。
大問6 図形の折り返しを題材にした、面積比の問題です。「分野別特訓プリント」で類題を扱ってい
ますので、正解率も高かったと思われます。
大問7 何度も往復する出会いの旅人算です。2回目以降は、1回目に出会うまでの倍の距離を進むと
いう基本事項が理解できていれば正解できたでしょう。
先に述べたように、手も足も出ない難問の出題はありませんでしたが、大問5~7を中心に、これまで学習したことの本質が理解できているかどうかが、高得点への条件でした。
算数が得意な生徒にとっては、易しいと感じるテストで、今回のテストで100点以上得点できると、難関校を突破するための学力が備わっていると言えるでしょう。
9月から12月まで月1回実施される「合格力判定サピックスオープン」では、今回のAタイプのような「難関校に合格できるレベル」の学力が備わっているかどうかによって、得点差がつく問題が多数出題される傾向にあります。
今回のAタイプで得点が伸び悩んだ生徒は、ただ授業で扱った問題を復習するのではなく、「どのような条件がそろっているから、次にどのように考えるのか」というプロセスをていねいに学習する習慣をつけて、夏期講習にのぞみましょう。
2.Bタイプ
平均点は51.9点、得点率にすると34%です。前回のBタイプは67.7点でしたので、非常に難しかったと言えるでしょう。
正答率も、全15問中、80%以上が1問、70%台が1問、60%台が2問、50%台はなく、40%台が2問、30%台が1問、20%台が1問、10%台が2問、10%以下が4問でした。
大問1 (1)①~③は調べて解答することができます。
(2)操作の回数と合計の値に関する規則を見つけます。
(3)(4)箱の中のボールの数が、1個か2をかけ合わせた数(2、4、8、16、32・・・)のみであることを(1)から発見しないと、手のつけようのない問題だったと思います。
大問2 (1)~(3)の各問が誘導にはなっておらず、思いつくまま書き出して先に進むと良かった
でしょう。
大問3 (2)(3)は、答えを整数にするためにはどこに÷を入れるかがポイントです。
(3)では、与えられた答えを作るために、どの2数をつなげるかも重要ですが、理屈よりも
ひらめきや感覚、つまり当てはまったかどうかの問題だったと言えます
今回のBタイプは、終了後から「難しかった」という声が多かったです。
どの問題も、算数がBタイプに分類される学校では出題される形式の問題ですが、それらの学校でも5~6題の中の1題です。
そのような問題だけを出題すると、全体構成として難度の高いものとなってしまいます。
また、今回も途中式が全く考慮されなかった点も、低得点の原因といえるでしょう。
3.最後に
今回の志望校判定サピッスクオープンでは、Bタイプの成績を気にする必要はないでしょう。
先に述べたように、Bタイプに分類される学校でも、このような問題はごく一部ですので、今回のテストで得点が伸び悩んだ=Bタイプの適性が無いとは言えないからです。
一方、Aタイプの偏差値がマンスリーテストの偏差値よりも低い場合、今後の実力テストや模擬試験、過去問演習などで、思ったよりも点数が取れないという事態に陥るかもしれません。
これまで学習してきたことを色々な形で活用できるように、サピックス教材以外の問題を解くことが必要となります。
7月に入ると、今年度の様々な中学校の入試問題が掲載された「有名中学入試問題集」を購入します。決して難関校の問題ばかり解く必要はありません。標準問題を中心に出題される中学校の問題を解いて、身に付けた学力を活用する練習を積んでください。