第21回 図形の切り分け②~畳の敷き詰め~|受験Dr.が「算数」の偏差値をアップさせる奥義を伝授!

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第21回 図形の切り分け②~畳の敷き詰め~

今後の目次

第21回 図形の切り分け②~畳の敷き詰め~ ← 今週はココ!
第22回 図形の切り分け③~いろいろな形に切る~
第23回 円の転がり

今回は畳を敷き詰める問題です。形の決まったものを決められた場所に何通りの入れ方があるのかを考えます。一つ一つ調べていけば良いのですが、どうやって上手く調べていくのかが問題です。まさに、「②解答にたどり着くまでの作業量が膨大で、効率良い解き方が見つかりにくく難しい。」という難しさです。 今回は、このような畳の敷き詰め問題についてのポイントをご紹介いたします。

ポイントが身につく問題実践講座

問題

1㎝×2㎝の長方形の紙がたくさんあります。
これらを2㎝×3㎝の長方形の上に、重なることもはみ出すこともすきまを作ることもなくならべると、(例)のように3通りの置き方があります。
(例)
3通りの置き方
では、1辺1㎝の正方形16個でできた(図1)の図形の上への置き方は何通りありますか。
(図1)
図1の置き方は何通りか
(2006 算数オリンピックトライアル)

【解くための考え方】
まずは、先ほどの問題を直接お子様に解かせてみてください。

正解はこちら

どうでしたか?正解にたどりつけたでしょうか?
正解できなかった場合、どこまで解き進めることができたのかが重要です。
動かし方はわかってもどうやって全ての動かし方を整理していくかが難しいところです。

今後受験Dr.では、「難問攻略イメージde暗記ポイント」カードを作成する予定です。
今回は、図形の動かし方と組み合わせを考えていくためのポイントを1つご紹介します。

今回使うポイント

【ポイント№37】「図形の調べ上げは特徴のある場所から」

端から順番に入れてみて調べていくのもOKですが、限られた入れ方しかできない場所に注目すると、組み合わせが少なくなり効率的に調べられます。
正方形・長方形などの整った形では、隅から詰めていくのが一般的です。しかし、今回の問題のような図形では隅よりも狭くなっている場所に注目していくと良いです。具体的には下の部分になります。
隅よりも狭くなっている場所に注目

この部分が狭くなっており、またちょうど図形の曲がり角にもなっています。
ここがちょうど長方形の端になるか(図2)、ここを長方形が通るのか(図3)で、並べ方が大きく分けられます。
図2
図2
図3
図3

ここからはそれぞれの場合に分けて考えます。
(ア)図2の場合
まずは左側の2㎝×4㎝の長方形を考えます。
 スムーズに解くため問題にある(例)を使います。
2㎝×3㎝の場合3通りの並べ方がありました。その右横に縦に並べる並べ方が3通りあります。
並べ方3通り

右端が縦になる並べ方はこの3通りだけです。
あとは右端が横2列になる並べ方を考えると、下の2通りあります。
横2列になる並べ方

合わせて5通りになります。
右側の4㎝×2㎝の長方形の並べ方も、左側の長方形と同じ5通りになります(90度回転させたもの)。
したがって、この場合の並べ方は5×5=25通りになります。

(イ)(図3)の場合
まずは、一番左の2㎝×3㎝ですが、これは問題文の(例)と同じなので3通りです。
次に、真ん中の2㎝×2㎝の正方形ですが、縦2枚には並べられませんので、下のような並べ方だけになります。
2cmは横並び

最後に、右側の図形です。
右下の部分には縦向きに並べるしかなく、残った形は2㎝×2㎝の正方形ですから下の2通りあります。
残った形は2通り
したがって、この場合の並べ方は3×1×2=6通りになります。
 場合の数で大切なのは、「全ての組み合わせを調べたので、もう他の組み合わせがない!」と断言できることです。今回は切り分け方で確実に2つの場合に分け、そのあとも重複がないように場合分けしていますので、確実に同じ組み合わせは存在しません。 したがって、2つの並べ方の合計が答えになります。

【正解】

31通り

ポイントを使って開成・筑駒・灘の問題を解こう!

問題

大きな長方形を、2辺の長さが2㎝、3㎝の長方形に余すことなく切り分ける方法について考えます。ただし、まわしたり裏返したりして重なるような方法は、同じものと考えます。次の問いに答えなさい。 (1)大きな長方形が縦6㎝、横7㎝のとき、切り分ける方法は2通りあります。切り分ける線を書き入れなさい。
筑波大付属駒場中の問題図1
(2)大きな長方形が縦6㎝、横12㎝の場合、切り分ける方法は何通りありますか。
筑波大付属駒場中の問題図2
(2012 筑波大附属駒場中  (一部改題))

【解説】

(1)今回はきれいな長方形に並べていきますので、隅から並べていくことを考えます ←ポイント№37
左上に横向き(2㎝が縦、3㎝が横)に並べる場合と、縦向き(3㎝が縦、2㎝が横)に並べる場合とに分けて考えます。

(ア)横向きに並べる場合
横向きに並べる場合

左端の辺を考えると、残り4㎝となっています。ここに長方形を詰める場合、2㎝×2という入れ方しかありえません。したがって、下のように入れることになります。
2cm×2で入れる

同様に上の辺を見ると、残り4㎝となっていますので、こちらにも2㎝×2となるような下の入れ方しかないことがわかります。
残り4cmも同様

そうすると、残りの3㎝×4㎝の部分の入れ方も1通りしかないことがわかり、最終的に次の入れ方だけになります。(これをア①とします)
ア①

(ア)縦向きに並べる場合
縦向きに並べる

左端の辺を考えると、残り3㎝となっています。ここに長方形を詰める場合、3㎝×1という入れ方しかありえません。したがって、下のように入れることになります。
3cm×1の入れ方
同様に上の辺を見ると、残り5㎝となっています。こちらには2㎝、3㎝が1枚ずつとなるような下の2通りの入れ方があります。
二通りの入れ方がある
二通りの入れ方がある
それぞれの場合、残りの長さが3㎝のところには縦向きに1枚、4㎝のところには横向きに2枚入れるしかありませんので、次のようになります。(上側をイ①、下側をイ②とします)
上段イ①、下段イ②

そうすると全部で3通り並べ方があることになりますが、問題文に「まわしたり裏返したりして重なるような方法は、同じものと考えます」という注意事項があります。ア①とイ①は180度まわすと重なる並べ方です。したがって、答えはア①とイ②、もしくはイ①とイ②のどちらかを答えればOKです。

答え (1)解説参照

(2)(1)から、縦が6㎝の場合「横向きに3個縦に並べる」;か「縦向きに2個縦に並べる」かのどちらかになることがわかります。
つまり、横12㎝を2㎝の列と3㎝の列でどう組み合わせるか、を考えれば良いことになります。

・全て2㎝の列にする場合
 2+2+2+2+2+2 の1通り

・2㎝が3列と3㎝を2列にする場合
 2+2+2+3+3
 2+2+3+2+3
 2+2+3+3+2
 2+3+2+2+3
 2+3+2+3+2
 2+3+3+2+2
 3+2+2+2+3
 3+2+2+3+2
 3+2+3+2+2
 3+3+2+2+2 
の10通り考えられますが、180度まわしたり、裏返して同じになるものを重複として除くと、

 2+2+2+3+3
 2+2+3+2+3
 2+2+3+3+2
 2+3+2+2+3
 2+3+2+3+2
 3+2+2+2+3 の6通りになります。

・全て3㎝の列にする場合
 3+3+3+3 の1通り

したがって、1+6+1=8通りになります。

答え (2)8通り

前回のチャレンジ問題の答え

問題

縦40㎝、横128㎝の長方形の紙があります。この紙を縦または横の辺に平行に切り、面積が小さい方の紙を捨て、大きい方の紙だけを残します。2枚の紙の面積が同じ場合には、どちらか一方を残します。この操作を1回とかぞえ、残った長方形の紙に対して、同じ操作をくり返し行います。何回かの操作の後、残った紙が正方形になるようにするとき、次の問いに答えなさい。
筑波大中の問題の図1
(1)3回の操作で、1辺の長さがもっとも短い正方形になるようにしました。この正方形の1辺の長さを答えなさい。
(2)13回の操作で、1辺の長さがもっとも短い正方形になるようにしました。このとき、捨てた紙の面積の合計を答えなさい。

(2001 筑波大学附属駒場中学1改題)

【解説】

(1)1辺の長さを最も短くするには、辺の真ん中で切ることになります。そこで、縦と横の辺の真ん中で切った回数とその時の辺の長さを表にしていきます。 テーブル

2回切ったときの長さを考えます。
(ア)「縦向きに2回切る」と、縦40㎝、横32㎝になります。
ここからもう1回切って正方形を作るとすると、縦の長さ32㎝のところで切断すれば良いことがわかります。

(イ)「縦向きに1回横向きに1回切る」と、縦20㎝、横64㎝になります。
ここからもう1回切って正方形を作ることは、64÷2=32となるため不可能です。

(ウ)「横向きに2回切る」と、縦10㎝、横128㎝になります。
こちらも(イ)と同様に、ここからもう1回切って正方形を作ることは不可能です。

したがって、3回切ってできる最も短い正方形の1辺は32㎝です。

答え (1)32㎝

(2)(1)からわかったことは、13回切って正方形にするためには、 12回切ったときに、長いほうの辺の長さが短いほうの辺の長さの2倍より短くなっていないといけない、ということです。 その点に注意して先ほどの表を考えていきます。 (ア)「縦向きに6回横向きに6回切る」と、縦0.625㎝・横2㎝となり、 0.625×2=1.25より横が長いのでダメです。 (イ)「縦向きに7回横向きに5回切る」と、縦1.25㎝、横1㎝となり、 1×2=2より1.25のほうが短く条件を満たします。 したがって、このあと13回目の切断で縦が1㎝となるように切ると、1辺の長さがもっとも短い正方形になります。 最後に残る正方形の1辺の長さは1㎝なので、捨てた紙の面積の合計は、40×128-1×1=5120-1=5119㎠です。

答え (2)5119㎠

ポイントが確認できるチャレンジ問題

問題

2辺の長さが1㎝と2㎝である長方形を、下の図のような2辺の長さが5㎝と4㎝の長方形の上に、重なることもはみ出すこともすきまを作ることもなく並べると、全部で何通りの置き方がありますか。
ただし、まわしたり裏返したりして重なるような並べ方は、同じものと考えます。
受験Dr.オリジナル問題図1

        (受験Dr.オリジナル問題)

※解答解説は次回掲載いたします。