みなさん、こんにちは。受験ドクターの桑田陽一です。
前回は、先の東京大学の入試問題から、中学受験生にもチャレンジできる一問をご紹介しました。
今回は、解説編をお届けします。
まずは、問題の再確認から。
2017 東京大学 前期日程 数学 文科 大問2(改)
正六角形ABCDEFがあります。点Pは辺AB上を、点Qは辺CD上を動く点です。PQを2:1に分ける点をRとします。点PとQがそれぞれAB上とCD上を自由に動くとき、点Rが通る部分の面積は、正六角形ABCDEFの面積の何倍ですか?
2/25に実施された東京大学の入試問題を、中学受験生にも挑戦できる形に書き換えたのが、前回ご紹介した、こちらの問題でした。
考えてみてくれた受験生もいたでしょうか?
では早速、解説に入ります。
中学入試ではあまりありませんが、大学入試の図形問題では図が与えられていないこともよくあります。
図を描くところから始めましょう。
何はともあれ、まずは、正六角形ABCDEFを。
P、Qの2点が動く問題ですが、両方を一度に動かしては混乱してしまいます。まずは、PをAの位置に固定し、QのみをD→Cと動かしてみましょう。
Rは、PQを2:1に分ける点なので、図の赤い線のように動きます。CDに平行に動いていることに注意しておきましょう。
次は、QをCの位置に固定したまま、Pの方をA→Bと動かします。
またもや、正六角形の辺に平行に動きました。
今度は、PをBに止めておいて、QをC→Dと戻してみます。
Rは、再びCDに平行に動きました。
最後に、QをDに固定して、PをB→Aと戻します。
このように動いて…、
正六角形の中に、小さな平行四辺形ができました。点Rの動く範囲はこの図形です。
(厳密には、点Rがこの内部も「くまなく」動くことを確かめる必要がありますが、話が煩雑になるので、ここでは省略します。疑問に思った受験生のみなさんは、お気軽にお問い合わせくださいね)
さて、ここからは中学受験生にもおなじみの(?)面積比の問題ですね。
さまざまな解法が考えられますが…。
左右の図で、それぞれ青い三角形の相似比を考えて、正六角形の辺と平行四辺形の辺の比が図のように求まります。
すると…、
正六角形の半分にあたる青い台形と、求める平行四辺形の辺の比が、上の図のように分かりました。
平行四辺形の面積=①×②=2とすると、青い台形の面積=(③+⑥)×③÷2=13.5と表わせ、正六角形の面積はこの2倍ですから13.5×2=27。
いかがでしたか?
図形は得意なつもりだったけど、何だかよく分からなかったという君。
あまり気にする必要はありません。
前回も触れたとおり、中学受験算数としては相当な難問です。
その上、この解説では、記事が長くなりすぎるのを避けるために、省略して不親切になっている部分もあります。力がついて、再びチャレンジしてみたいと思ったときには、ぜひ取り組んでみてください。
「解けました!」という君。
素晴らしい!自信を持って、今後も難問に挑戦してください。
そして「もっと良い方法で解いたよ」という君がいたら、ぜひ内緒で教えてくださいね(笑)。
ともかく、みなさん東京大学の入試問題を楽しんでいただけましたか?
今回は、ここまで。