皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。
先日、私が指導しているお子様のご家庭より、以前に書いた理科実験ブログをお褒めいただいたので、今回は、久しぶりに「家でもできる理科実験」のシリーズで書いてみようと思います。
突然ですが、下の写真をご覧ください。
ペットボトルに切れ込みを入れて、ティーバッグで水出し緑茶を作ってみたのですが……。
この写真の不自然さに、お気づきになったでしょうか?
そう、切れ込みよりも、水面の位置の方が高いですよね。
では、改めて質問です。
なぜ、この実験では、水があふれ出てこないのでしょうか?
これはトリック写真などの類ではなく、れっきとした科学なのですが――何が起きているか分かりますか?
ということで、誰でも簡単にできる、不思議な不思議な実験をご紹介していきます!
まずは、もう少し受け入れやすいところから話していきましょう。
こちらは、切れ込みを入れる前のペットボトルに水を入れてふたを閉め、
千枚通しで穴を開けた様子です。
きっと、千枚通しが刺さっている間は、
千枚通しがそのまま穴をふさいでいるので、水が出てこないと思われるでしょうね。
では、その千枚通しを抜いてみます。
お分かりでしょうか?
そうなんです。千枚通しを抜いても、水は出てこないのです。
穴が開いているのに水がもれてこない……とても不思議ですよね?
水がもれてこない理由は、簡単に言うと、
「空気(大気圧)が穴を押さえているから」ということになります。
空気が穴にふたをして、水が出てこないように押さえているのです。
実は、私たちが意識していないだけで、大気圧の力はとても大きいのです。
なんと、1気圧(通常の気圧)は、水圧に換算すると、水深約10mにも相当します!
だから、開けた穴から少しだけ抜けた水の分だけ、ペットボトル上部の内圧が下がると、
たかだが水深数cm程度の水圧ではおぎなえず、外からはたらく大気圧とつり合うのです。
ですから、ペットボトルのフタを少しゆるめてみると、
水面にも同じように大気圧がはたらくようになりますので、
水圧の分だけ内側の力の方が大きくなって水が出るようになります。
もっと身近な例を挙げれば、ジュースにさしたストローの上部を指でふさぎ、
そのまま引き上げても、中に入ったジュースがこぼれずに持ち上がりますよね?
あれと同じことが起きているのです。
さて、ではそれを踏まえて、冒頭でご紹介した実験の話を思い出してみてください。
先ほどの写真では、わざとふたの部分を写していなかったのですが……
全体像はこのようになります。
しっかりとふたが閉まっていることが分かりますね?
穴が大きくなっても、根本原理は変わりません。
やはりこれも、空気が「見えないふた」をしていたのですね。
この原理を使用して、水そうの中に手を入れて魚に餌付けできるように展示してある
水族館が、全国には数多くあります。
機会があれば、実際に見に行ってみると良いのではないでしょうか。
最後に、自分でもやってみたい! という人のために、作り方を簡単にご紹介しておきます。
親子で一緒に実験してみると、きっと楽しいと思いますよ。
<作り方>
① フタのある、丈(じょう)夫(ぶ)なペットボトルを準備しましょう。このとき、フタはしっかりと閉めておいてください。
➜ 最近増えている、小さくしぼれるようなペットボトルではうまくいきません。できるだけ変形しない、丈夫なペットボトルを用意してください。
② ペットボトルの側面に、円周の3分の1程度を目安に、水平な切れ目を入れます。
➜ カッターで手などを切らないよう、十分に注意してください。
③ 切れ目の上側の部分を、正面から押し込んでへこませます。
➜ 右図の横から見た様子を参考にしてください。
④ 水を入れるときは、フタを開けずに、ペットボトルを横向きにして切り口から入れてください。
実際に自分の目で見ると、原理が分かっていても不思議な感じがすると思います。
百聞は一見にしかず――これだから実験はやめられないですよね!
次回もお楽しみに!