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東京大学 本郷キャンパスでの講演の動画を公開(テキスト版-算数2)

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【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(2)

さて、今こういうさくらちゃんみたいに、「他の教科も頑張っている」「一生懸命やることはやっているのに算数が苦手になってしまう」というような子供ですね。その原因を常時探って参りましたけど、その次ですね。じゃあ、大手塾とどういう風に付き合っていくか。まぁ大手塾のメリットというのは、これはさっと飛ばしまして、大手塾でそういう子が陥りやすい罠というところですね。

もう一番の例は、取捨選択が出来ない。最初に手を広げ過ぎないというお話をしましたけれども、大手塾に行って言われた宿題をきっちりこなしている時点で既にもう、手を広げ過ぎて取捨選択が出来てない状態になります。他にカリキュラム上、一度穴が出来ると後戻り出来ないという話ですね。どこの塾でも、「大丈夫ですよ。スパイラル方式で2回転3回転同じ分野勉強しますからと、今分からなくても次に出てきた時に頑張ってやりましょう」とおっしゃられますけども、それはまず無理です。

1回目に出てきた時にそこで理解しておかないと、2回目というのはもっと難しい形で出てくるわけですから、1回目は分かっている状態と、それを前提として2回目が出てくるわけですから。まぁ1回目。今分からなくても3か月後、半年後分かるだろうと。今分からないのに半年後に分かる動機がないですから、それはもう穴にならないようにし続けるしかないんですけども、いっぱい穴になったら後戻り出来ない。

他にも質問があって、先生も忙しいですからこなしきれないとか、担当講師がころころ変わっちゃうとか、そういう罠を見出すこと、いくらでもあります。うちの子はちゃんと言われることをしっかりやってるんだから、そのうち成績は上がってくるだろうし、頑張っていれば報われる。一生懸命やってないのは論外ですけども、一生懸命やっていても、はまり込む落とし穴というのは本当にあるんだと。しかも、多くの子は結構はまっているんだというところを、まず理解して頂きたいと思います。うちの子だけではない、ということですね。じゃあそういう大手塾と上手く付き合っていって活用していこうという方法はないのかと。

【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(2)

ちょっと次のページ。矢印が薄くなっていますけども、もうこれは今まで申し上げたその3つを徹底的にやるしかないんですが、まぁ1個目はもう取捨選択。苦手になっている時点で、何度も申し上げますが、手を広げ過ぎてますから、問題をカットしていく。捨てるという意識をどうしたらいいか。穴が開いた瞬間にもう戻るしかないです。後々何とかなるというのはありませんので、穴が開いたら即穴埋めの択に戻っていくという気を持つと。

もっと言いますと、一番良いのは穴が開かないようにするというのがベストです。苦手な教科なのに、穴が開かない。そんな方法があるのかと言われれば、もう私もずっと長年家庭教師・個別指導やっておりますけども、一番良いのは予習スタイルである、という事に尽きます。いや、日能研でもSAPIXでも予習は禁止してるじゃないですかと。

四谷に至っては予習シリーズと言いますけれども、あの予習シリーズを読んで予習している人なんてほとんどいないじゃないですか?とおっしゃります。ところが実際どこの塾でも、上位4分の1、5分の1にずっと定着しているような子っていうのは、何らかの形で予習しています。その授業の教材を使っているか使ってないかは別として、授業に行って「先生その話、本当に初めて聞きました。」っていうのは殆どないんですよ。上位生徒では。

何らかの形で予習をしている。こういう子たちの予習っていうのは、先取り授業的に先取り的な意味でも予習になりますけども、授業の穴を開けないための予習。苦手な子にとって、穴を開けないための予習の仕方っていうのがあるんです。そういう予習もあるんです。来週やる授業の、別に次から次までやれという話ではなくて、根本的な考え方。来週、平均っていうものを勉強するけれども、こういう所に気を付けて授業を受けてきなさいよという最初の基本的な根本概念の導入を行っておくと、相当苦手なことも授業の穴にはなりにくいんです。

実際、「予習良いんですか?」と思われるかもしれませんが、どこの中学に行こうが、高校の方が、中学生になればちゃんと予習してこいと言われて予習して、ある程度知識を正当にして授業を受けて、復習するっていうのはそれは授業を受ける者として当然の心構えですし、それが一番授業にとっては有効なんです。

【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(2)

ところが、多くの塾が何故予習を禁止しているかといえば、まぁ子供がちょこちょこっと予習して授業になったら、「先生!僕、それもう知ってる!」みたいな、そういう中途半端な予習をして欲しくない、というだけの意味なんですね。中途半端でない適切な予習なら確実に授業のプラスになります。そういう意味では、うちの子はちょっと算数苦手になりそうだ、穴になりそうだというのであれば、予習スタイルに切り替えることによって、劇的に変化することが多いです。

実際私も、毎年SAPIXの生徒、日能研の生徒何人も見ていますけども、やはり予習をすることによって授業の理解や定着が上がり、且つ結局復習の時間も短縮できて、その分また翌週予習出来て授業中も私はだいたい基本的な所を理解しているなという姿勢で授業を受けられますから、授業のストレスも少ないと。相当予習の効果というのは出てくるという事になります。

ここまでお話して、まぁ取捨選択は分かったと。穴が開いたら戻るのは分かったと。予習が良いのもある程度分かった。でも、「それ誰がやるんですか?」っていう話になります。親御さんも忙しい中そんなの「問題の取捨選択なんて私、出来ません。」という方も多いとはもちろん思います。ほとんど。結局まず第一は、通っていらっしゃる大手塾の先生に、この問題の優先順位を付けて下さいとかそういう話になるわけですけども、既に塾のカリキュラム、塾のペースに上手く乗れてる人はいいですけども、そうでないのであればやはり家庭教師なり、個別指導なりの先生に一度ご相談されてみるというところで、改善点があるのか。その改善点を相談するだけでも、志にはなるかとは思います。最終的には、問題を上手く取捨選択が出来て、予習スタイルに持っていけるというのがベストであるという風に考えています。

さて、今ここまでお話しまして、まぁそういう算数の勉強の学習方法論みたいなものを中心にお話してきましたけども、今日いらっしゃったお母さんの中には、「うちは6年生であと4か月しかないんですけれども、どうすればいいですか?」って「その話は分かるけども、今からどうすればいいんですか?」でもこれは、今までの話と大きく変わるわけではありません。むしろ予習のところははぶりにしても、取捨選択というところを強化するしかないんです。

【算数】「算数との上手な付き合い方」~テキスト~(2)

次のページですね。取捨選択を強化する。今までは解くべき問題を、まぁ今のところ解かなくてもいいかな、とかそんなに重要ではないから、というような取捨選択でしたけども、ここからの4か月はもう無駄を省くことしか考えてはいけません。解くべき問題と、解いてはいけない問題が存在します。解いたほうが良い問題とか解かなくても良い問題っていうのは、もう存在しない時期になってきます。

その一例がよく学校別対策だ、これは大いに取捨選択された講座だと思いきや、例えばある塾の学校別講座。SSというコースを設けますけれども、ある校舎では女子学院・慶應中等部・豊島岡コースみたいな、その3つをくっつけちゃいましたか…というような、コース設定もあったりします。学校別と絞りこんで見えたコースでも取捨選択をしきれてないということなんですね。取捨選択をもっと押し進めないといけない。

そもそも、オプションコースは取るべきなのか。いや、もっと押し進んでいって平日のレギュラー授業すら取るべきなのか。いや、行くべきなのかとか。その公開模試は受けるべきなのかどうかとか。もう限界までいるか・いらないかというのを、はっきりと選別していくというのがこの時期からの勉強法。「いや、もうあと4か月しかないから、とにかく苦手な分野を手当たり次第やろう。」ではなくて、その分野をやるかどうかも含めて選別していかないといけないという話になっていきます。

まぁ、このさくらちゃんが女子学院志望ということですので女子学院の話をしますと、じゃあ時間内に解くことを意識するとか、特殊な解答を用意しても形式にならないといけないとか、今一番図形が弱いな…すぐに1週間以内にプラスワン問題集で手当てしましょうとか、具体的なこと言いますとそれは切りがないですが、今日は女子学院対策の話ではございませんので、もし「うちの子ここの学校受けるんですけども…」というのであれば、後程いらっしゃって頂ければご相談させて頂きたいと思います。

さぁ、最後のページ。すみません、長くなりまして。まぁ算数が好きで本当に算数ばっかりやってると。3度の飯より算数が好きだというのであれば、どんどんやらせればいいだけです。ただし、「他の教科が結構良いんだけども、算数が苦手だ。」もしくは、「今はまだ良いけれども苦手になりそうだ、うちの子は。」っていうのであれば、ここの所を常に意識しながら勉強する。塾から与えられたものを全部こなしてる段階で既に手を広げ過ぎているんだと。ここから取捨選択していかないといけないんだというのが、まず第1点です。

2点目は、今は分野ごとに勉強しているしパターンごとに勉強しているけども、大切なのはその背後にある根本原理だし、根本原理同士が後々は結びついてくる。後々には分野ごとの垣根っていうのは自動的に取り払われるんだということを意識しながら、普段から勉強していくと。これだけで、算数に対する心理的な負担も無くなりますし、その分他教科にも回せる。算数自体がぐーんと得意になるかどうかは、また別の方法論ですけども、少なくとも算数を不得意教科にはしないという方向性で持っていけると思います、はい。私の話は、さくらちゃんを中心に算数を苦手にしない方法としてお話申し上げました。ご清聴ありがとうございました。

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