日能研 最下位クラス 4年生男子Y君の場合
【生徒の現状・相談内容】
・日能研では一番下のクラス
・偏差値は国語算数で50~55くらい
・塾は楽しい
・テストの復習、見直しを一切せず丸付けだけで満足している
・遊ぶことで頭がいっぱい
・宿題をやってないことに対する後ろめたさがあるので、こなすが雑になってしまう
・やってしまえばいいという感覚で授業もちゃんと聞かない
・国語の成績は良いが、算数の方が好き
・算数はケアレスミスがすごく多い
・家庭教師に変えようと考えている
・おとなしいタイプ、分からなくても言えない
・受験をします、と選んだのはY君本人
・勉強をしなくちゃいけないのは分かっているが、遊びたいという葛藤がある
・全く勉強が嫌いではない
・負けず嫌いではなく、淡々と勉強をする
【M講師のアドバイス・お悩み解決Q&A】
Q
駒場東邦中学校が第一志望とした時に、週1回で全部の教科を見てくださいと言われたら無理でしょうか?
A
今、駒場東邦が第一と考える必要はないです。なぜかというと、駒場東邦はどのような問題を出すかというと算数を見ても非常に難易度が高く数学的な思考を求められるからです。そのような問題を解ける子はどのくらいいるのか、また駒場東邦を受験するのかというと平均点を見れば明らかに皆解けていません。
駒場東邦は理系の学校ですが、理系の学校であるがゆえに算数は難しすぎてしまいます。どこで勝負が決まるのかは大概国語です。駒場東邦の国語は何が出るかというと、歴代の物語文で選択問題が大体4割、記述が6割です。国語が苦手な子でも比較的御三家の国語の中では解きやすいです。そうした考え方をしていくと、日能研やSAPIXでも早稲田アカデミーでも理科、社会に力を入れていくのは6年以降です。
国語、算数について何故これだけ長い時間が必要なのかというと、添削に時間がかかるという事と最終的に応用問題でも対応できる解き方を学ぶからです。数学的な解き方が出来ない子でも受かるという事は、中学受験ではないような算数のレベルをしっかりマスターしていけば十分合格できるということです。
皆さん御三家というとハードルが高く感じて基礎なんかやっていたら間に合わないんじゃないかという考えがあるのですが、そもそもそんな勉強はないですし、やはり基礎をしっかりやっていく子が結果的には受かります。
逆に応用ばっかりやっていく子は、勘違いが入り算ミスが多かったり、国語であればちゃんと文章の読み取りが出来ない、文の繋がりが読めないのです。そういうところから最終的にはテクニックに頼らざるをえないのです。しかし、そこを外してくるのがレベルの高い学校ですので、そういう時に全く太刀打ちできなくなります。そうして最後には藁をもつかむ思いでいろんな塾に行くのです。そうなると本末転倒です。
私(岡野先生)がネットで中学受験のデータやブログを見た中ですごく的を得ていると感じた子がいます。その子は算数がすごく出来る子で、その勉強スタイルは例題や基本レベルの問題をじっくり考えて解くのです。丁寧に解いてなぜこの答えになるのだろうということを時間をかけてやっていくのです。後は演習問題で量的なものでしっかり身に付けていけば十分対応できます。結果その子は筑波大学付属駒場中学校に受かりました。
何が言いたいのかというと、算数や国語はそういうベースを作っていく科目であり、それがないと全く対応出来ないのです。
例えば開成や駒場東邦対策の塾でどんなに大規模な校舎であってもその学校に受かるのは全員ではありません。校舎によっては何百人いても一人も受からないし、実績をあげた教師も人事異動があり、ずっとそこにいるとは限りません。
5年生はベースを作る年だと思います。もし、つまずきを感じているようならば、まずもう一度原点に戻って算数の入り口から勉強していかなければなりません。また計算ミスが多ければ多いほど難関校に活きます。
【M講師のアドバイス・お悩み解決Q&A】
Q
一年間受け身で授業を聞いていて、時間を無駄にしたように感じます。もう少しレベルを上げるようにして、勉強したものをすべて吸収したいのです。そういう体制を取っていくにはどうしたらいいでしょうか?
A
大手塾を離れるのが怖い場合は定期講習をうまく使うということもできます。
要するに時間との闘いでもありますしお子様の発達段階との闘いでもあります。中学受験ひとつ考えても、Y君のレベルをはるかに超えた難題を解いてくとか、論理的思考が重要だから、それをやれというのはそもそも論理的思考がない子には難しいです。ですからその子のペースの合わせてやってあげなければいけないのです。
家庭教師や個別だと見えない部分があります。それが気になるなら例えば四谷大塚の月例テストやクラス分けテストなどは公開で受けることが出来ますので、そこで自分の実力をデータとして見ることが出来ます。クラス分けテストは四谷生も受けていますし、早稲アカ生も栄光ゼミナールも受けていますのである程度の目安になるとおもいます。
またSAPIXで志望校診断予備テストといって上位校舎向けの志望校判定もあります。
Q
最低でも週に2日は塾に通うべきですか?
A
最低は2日だと思います。やはり、中学受験は4科目の平均点を見ればわかると思いますが、御三家であったとしても理科社会は国語などと同じ配点というのは少ないわけです。ある程度のレベルになってくると一瞬で差はつきません。やはり差がつくのは国語、算数です。
そういったときに国語、算数の基本が出来てないで6年生の後半から大手塾に通って一気に授業を受けたとしても間に合わないですから、まずは5年生の段階で国語と算数を固めておくことが必要です。
【M講師のアドバイス・お悩み解決Q&A】
Q
やりっぱなしで計画してないのにただ塾に通っているのが悪循環になっていると感じ不安です。
A
宣伝になるようで申し訳ありませんが、例えば個別ドクターに通っている子は四谷大塚のテストを受けます。テストは午前中に終わりますので午後授業がある子はそれをそのまま持ってきます。
そのテストをもう一回解き直しをさせて、解説をして行きます。午前中受けたものをその日の午後でプロが解説します。そこで、分析もしますし膨大なフィードバックもありますのでそういう意味では役に立つと思います。
しかし集団塾はあくまでもテストで終わってしまいます。カリキュラムをこなさせるためのテストであり、後はレベルを知るためのテストであり、それはあまり意味がない状態まで追い込んでいるわけです。
カリキュラムというのはAとBとCをやったらまたAに戻るという言わばスパイラルなのです。
例えばその日にやったものをその日中にある程度理解するための復習、そして1週間後もしくは1か月後にしっかりとその復習をしていくというのがベースにならなければいけません。
ところが大手塾のカリキュラムは、あくまでもすべての単元を終わらせようということになるとやっていられないわけです。だから忘れたころにAがやってくるのですが広くみると確かにスパイラルとなるわけです。結局スパイラルというのも、問題の作成者からの心理からすると「一回やったから難易度を上げてみよう」と思うわけです。確かにAという内容ですが脚色が加わっているわけです。
ですからやりっぱなしなのではないかという不安はこの先大手塾に通って6年生になっても解消されないで、大きくなる可能性が高いと思います。
例えば、その子が割合でつまずいても次のカリキュラムに進むのではなく、もう一回戻って違った問題を解いてみる勉強のほうが身に付きます。そして四谷のテストなどをうまく利用していくのです。
【M講師のアドバイス・お悩み解決Q&A】
Q
4年生の時点で2科目から入って間に合うのでしょうか?
A
4年生から4科目をやるところは結局興味、関心を引かせるものを中心に授業をします、だから受験という色を出さずに授業をしますのであまり成果はでません。
まず国語算数が安定してくると、あとで理科、社会に時間を割くことが出来ます。結局、理科社会は追い込みの科目ですから6年生からでも間に合う科目です。まずは、国語と算数をしっかり固めない限り理科社会に時間が割けないのです。
ただ全くやってないと不安だから定期講習で4科目やり、確認していけばいいと思います。また市販でもいい教材がたくさんあります(塾で教えるシリーズ、コアプラスなど)。ですからテストを受けずにそれをこつこつ覚えながら定期講習をやっていでもいいと思います。
徐々に増やしていくというのが基本です。
Q
最初に国語算数を週1回ずつで固めていっていいのでしょうか?
A
そうです。それをまず4年生の頃に定着をさせて、ベースが固まってきたら(テストを受けても数字が安定してきたたら)理科社会、特に理科を夏休みの夏期講習で勉強すればいいとおもいます。
4年生ですと後2年あるわけですから、あまり焦らず、その2年をうまく活用するためにどうするかを考えるべきです。まずは自分のレベルを上げていき、学習に割く割合が安定してきたら理科社会に取り掛かればいいのです。
理科社会の点数が良くても国語算数の成績が上がらなければ困ってしまいます。
【M講師のアドバイス・お悩み解決Q&A】
Q
ケアレスミスがとても多いのですがどうすればよいでしょうか?
A
Y君の性格ですと、ケアレスミスをあまり反省しないので一生治りません。でもそれが致命的になるミスなのだという事を自覚したら治ります。やはり丁寧にやる癖をつけてから暗算をやるべきです。見ず知らずの大人から言われると説得力があり改善されると思います。
Q
理科、社会は差がつかないのでほうっておくわけにはいかないという思いがあり、皆やっているので焦ってしまいます。
A
それは集団心理です。
理科社会は暗記がほとんどです。覚えなきゃならないものって切羽詰まったときこそ覚えられます。
みなさん初めから4科目やらなきゃいけないという考えがあるからパンクしてしまうのです。中学受験の土台は国語算数だから、まずそこを固めて少しずつ理科社会も力を入れていき、最終的には6年生の入試を受ける頃にバランス良くなっていればいいのです。
今あまり勉強が定着してないという不安があるなら、まずお子様の学力レベルを上げて大手塾の学力テストなどでデータ分析をします。そして情報を得ながら自分のペースで進めていくと不要な競争をしなくて済むし、劣等感を抱かなくてよくなるのです。
勉強嫌いになってしまう事が私は一番怖いのです。つまり、中学高校入ったら勉強を全くしなくなると私立に行かせた意味がなくなります。ですから算数国語でまずは「自分にも出来ることがこんなにあるのだ」と自信をつけ、それだけでは内弁慶になるので学力テストなどを受けバランスよく勉強していけば良いのです。
【M講師のアドバイス・お悩み解決Q&A】
Q
完全に集団塾(日能研)をやめてこちらの家庭教師一本で受験をする場合、教材はどのようなのを進めていけば良いでしょうか?
A
それは体験授業の時に質問して頂ければ早いのですが、「教材は○○をやります、理由は~です。」としっかり言える先生は信頼できると思います。
Q
例えば今後もこちらの家庭教師にお願いした場合は、それとは別にお電話して相談することも可能でしょうか?
A
はい可能です。
それでもし気に入った先生がいたらそれだけ取ることも出来ますし、そこはこれからの話なのでまずは家庭教師の方にお願いしていいと思います。
家庭教師なのですが、今『レギュラープロ』と『ドクタープロ』と『スーパープロ』の3つがあるのですが、Y君は『スーパープロ』がバランスよく出来るとおもいます。
『ドクタープロ』はベテラン教師です。
『スーパープロ』は『ドクタープロ』と比べて経験値が適わないですが、将来有望とされている家庭教師で男の子の経験がありますので遜色はないと思います。
なかなか自分のことを言い出せない子、淡々勉強をする子は個別指導をお勧めします。
最終的には受験は続けたものが勝つので、続けるやり方が人それぞれ違うだけです。