「サピックスの授業についていけない」とお悩みの方必見
SAPIX 下位生 慶應義塾普通部志望 6年生男子E君の場合
- 慶應義塾普通部志望の6年生。
- SAPIXの個別指導プリバードで国語と算数を受けている。
- 難関校SS特訓の慶應普通部対策をするコースに通っている。
プリバードで国語と算数を受けていますが、過去問の添削はプリバードにしてもらったりSAPIXにしてもらったり、バラバラです。
プリバードでは、自己採点できないような過去問のレクチャーや、サピックスオープンで偏差値40になってしまった国語の見直しなどをしてもらっています。
この学習法はどうでしょうか。
サピックスオープン(合格力判定模試)の国語の偏差値が40になってしまいました。
慶應普通部の過去問では、国語の得点が70点〜80点です。
間に合うか間に合わないかというところはかなりギリギリです。
7割8割というのは一応合格のレベルの点数です。ですので、SAPIXの偏差値を上げる練習は正直意味がないです。まずは過去問に取り組んでいただいて、あとは慶應対策をしてくれる講師のもとでプリントを使った学習をしていくことが重要です。
慶應普通部の場合は、慶應3校(慶應普通部・慶應中等部・慶應湘南藤沢)の中で一番の学力レベルに相当した人が受かるといわれるテストが多いです。
SSでは慶應普通部対策用のプリントを解いています。
過去問は、最近あまり点数がよくないようです。
SAPIXの予想問題ですから、過去問よりも難しく作られている可能性が高いです。過去問で点が取れて、SAPIXのテキストや慶應普通部グレードだと点が取れない理由は、SAPIXの方が難しい問題ばかりやっているからであって、偏差値やプリントの出来が悪いという部分では、あまり問題にしなくてもいいでしょう。
ところが、そうではなく本人の学力レベルでまずい部分があるのなら、過去問で点が取れているからといって安心できるレベルではない可能性があります。
プリバードで国語と算数を受けていますが、過去問の添削はプリバードにしてもらったりSAPIXにしてもらったり、バラバラです。
プリバードでは、自己採点できないような過去問のレクチャーや、サピックスオープンで偏差値40になってしまった国語の見直しなどをしてもらっています。
この学習法はどうでしょうか。
そのやり取りだけを見ていると、場当たり的な学習になりやすいです。過去問についてですが、過去問のできなかったところ以外に、できるところでもあやしい部分のフォローが必要です。
サピックスオープンに関してですが、この模試はSAPIXの中で去年あたりから合不合判定テスト的な位置づけでやっていますが、実質内部テストですので、組分けテストやマンスリーテストをAタイプ(知識の定着度と問題処理能力を見る問題)にしたような問題なんですね。
ですので、Aタイプが得意な子はSAPIX内で見るぶんにはいいですが、Aタイプの学校を目指している子はSAPIX全体からすると割合的に多いです。受ける人数は多いですが、基本的な部分として受験者層の割合は全体から見た場合SAPIXは低いですから、まずそれだけでは正しいデータがわからない可能性があります。
SAPIXは実績数を出していても、多くは上位コースの併願者が合格者数を出している状態です。
たとえば慶應普通部であれば、栄光学園や聖光学院、開成の併願者が受けています。また、早稲田の合格実績も大きいけれども、あれは開成とか麻布が第一志望の二次受験者が多いんですね。純粋にそこを第一志望としている人が、あれだけの人数合格したとは限りません。ですので、慶應普通部に関しては特にそうですが、一度は外部模試を受けたほうがいいと思います。
SAPIXの中で信じてやっていく姿勢は素晴らしいです。ですが、受験はSAPIXだけでやるものではありません。あくまでも、他の塾の志望者も含めてのレベル別の点数で分けられてしまう。そうしたときに、SAPIXがそんなに得意ではない部分を、四谷大塚の合不合判定テストや、神奈川だと日能研は非常に力を持っていますので、外部模試を受けてリサーチをしておくべきかと思います。
その中で、慶應普通部の受験者がSAPIX校舎の中で非常に多ければいいのですが、たとえば神奈川でも少し千葉寄りや埼玉寄りだとあまり受けない方が多いです。そうすると、数的には少なくなる可能性があります。
あとは、今言った外部模試を受けることによって、外部の慶應普通部を狙っている方のレベルを知ることができるので、SAPIXの偏差値とはまた違った見方が出てくるかと思います。
過去問はできているのですが、SAPIXの偏差値はとても低いです。
その差は一体何なのでしょう。
お話を聞いたうえで、私が分析するに、短文は得意だけど長文は苦手だと思うんですね。
慶應普通部の場合、基本的に短い文章をどれだけ正確に把握し、記述をさっさと書き、選択や抜き出しをやり、ある程度標準的な問題なので、処理能力で大体高得点を取って、その高得点での争いというイメージが強いです。
慶應中等部もそうですし、慶應湘南藤沢もそうです。
SAPIXの合格判定ではない普通のテストと慶應普通部の違いを大きく言えば、
SAPIXの場合、
・大型な記述があるということ。
・長文であるということ。
が、かなり前面に出てくるテストですので、選択問題も聖光学院のように非常に長い選択肢を出します。これは慶應普通部とはまったく違いますよね。
実質、慶應の過去問が解けるということは、短文であれば処理できるのだと思います。
逆に長文になると、スピードがない、読みきれない、設問で読み取りミスが多くなるといったことが考えられます。
もっと突き詰めて考えると、長文が苦手な理由は「文章を2度読み3度読みしてしまう」。つまり理解できないと解けないという状況になる可能性が高いということなんですね。
40分というのはハードですが、SAPIXの長文は、おそらく慶應普通部と比べると2倍か3倍だと思います。
長文の場合何が大変かと言うと、結局場面が複数あったり、段落が複数あったりするので、丁寧に読んでいられません。
必要な情報と必要じゃない情報をわけながら、ある程度の骨格、文章の言いたいことや、心情変化をとらえていく訓練が必要です。しかし、短い文章の場合はそういうことを意識しなくても、抜き出し問題ひとつにしても長い場所から探さなくていいわけです。
慶應普通部の場合、傍線付近の読解は非常に重要で、逆に言うと全体記述が出ません。部分の読み取り、細部の読み取りが中心の学校ですので、裏を返せば、傍線付近の読解をしっかりやっていけば解答が見えてきます。あとは知識問題ですので、非常にお子さまとしてはやりやすいのです。
ただ、言いかえれば、それは慶應普通部だけで通用すると言っても過言ではありません。たとえばSAPIXのテストの直しをしているときには「この文章をどう読めば10分、7分、8分で読めるのか」ということと、あとは、設問からどうやって解答にたどり着いたかの手順をきちんと教えてもらうことです。
選択肢にはだいたい2つのタイプがあります。
1つは大体同じような言葉から始まって、ちょっとした違いで分けて行くタイプ。2つめは、4つが全く意味の違う選択肢で、本当に読解で分けていかなければいけないタイプです。SAPIXの場合は2つめのタイプが多いですね。
そうしたときに「どこを根拠としてどういうふうにカットして、最終的にこれが傍線部と一致するからこれ」という論理的な手順をきちんと教えてもらい、それをもう一度自分の頭で、または復習の際に自力でやってみることです。
やはり、自分でやらないと最終的には力になりません。
プリバードでは、どのように指導してもらうのがいいでしょうか。
なぜ、他の学習塾で模試を受けさせたほうがいいのですか。
プリバードの解説はすごく丁寧だと思うのですが、言いかえれば甘えてしまうところがあります。自分の頭で考えなくなってしまうので、結果的に「だいたいこういうことか」とは分かるけれども「じゃあどうすれば解けるようになるの?」という部分がぬけ落ちてしまうと、国語は致命的になるんですね。
その理由は簡単で「初めて見る文章を解かないといけないから」です。
ですので、そういったことも含めて、私がアドバイスできるとすれば、国語の問題の論理的な手順による解き方、あとは慶應普通部の問題で点が取れているのであれば、逆に点を落としているところはなぜ落としたのかというところの分析を、プリバードにお願いしてみてください。プロであればそれが分析できると思います。
知識問題どうのこうのというのは誰でもわかりますが、読解問題で点を取っているところと取ってないところがあると思います。たとえば、指示語の問題で点を落としているとすると「ただ、前だけ見ているからダメなんだよ」とか「指示語といっても一文の一部だから、ちゃんとそれを含む一文を読み取ってから前を見るんだ」とかですね。これは単純な例ですが、そういうことをちゃんと理解しながら解いているのか? それともただ単にテクニックだけでササッと答えを書いているからミスしているのか? とか。せっかく過去問をプリバードで見てもらっているのであれば、そういう分析をしてもらうといいと思います。
そのうえで、データ面でご不安であれば、外部模試——四谷大塚の合不合判定テストが一般的だと思いますが——を一回でも受けてみるとよいと思います。私たちには無理強いはできませんが、SAPIX生の慶應合格者は3人に1人と言っていますが、裏を返せば3人に2人は他塾生ですから。
他塾の模試を受けると、おいしいことが結構あります。
四谷大塚は、少なくともSAPIXよりもデータが細かいんですよ。たとえば、この間の合不合判定テストの第2回では、会場でお子さまを待っているお母さまたちに「併願校の押さえ方はこうします」「今のデータはこうなってますよ」といったレクチャーをおこなっていました。こういったレクチャーがタダで受けられます。
あとは、意外と国語は選択問題が多いので、四谷の場合、予習シリーズをベースにした授業展開、もちろんそれ以上のものをやっていますけども、結構処理能力を求められるテストなんですね。
選択問題も多く、記述も若干ありますが、大型な記述というよりどちらかというと全体記述ではなく細部記述が多いので、そういう意味では慶應普通部のいい練習にもなります。
そういうテストをやることによって、外部の慶應普通部を狙っている方はこれくらいのレベルなんだなあというのもわかります。
たとえば四谷大塚の合不合判定テストは早稲田アカデミー生や栄光ゼミナール生も参加するはずなんですよ。あとは四谷大塚本体、四谷大塚の学校別の慶應を受けている方、場合によっては日能研の方も受けています。SAPIX生も何人か受けているはずです。
結局はなんだかんだいって合不合判定テストはメジャーなテストですから、そういう意味でデータが集めやすいかなと思います。また、問題傾向もSAPIXと違いますのでそういった意味での新鮮味もあります。全く知らない会場で受けますからね。SAPIXで知っている顔がいる中で受けるのと、全く知らない中で受けるのは度胸も変わってきます。
2年前まではSAPIXも全員合不合判定テストを受けていたんですよ。上位生もα生も受けさせていました。簡単に言うと、入試慣れ、場慣れさせるためです。また四谷大塚の問題のクセもありますので、そういうので見えてこない部分が見えてきます。成績うんぬんというよりも、SAPIX生が合不合判定テストを受ける場合は、あくまでもデータ集めというのが一番大きいです。ひとつのデータとして受けてみてもいいとは思います。
今アドバイスできるとすれば、まずプリバードでもSAPIXでもいいですから、点が取れているところと取れてないところ、逆になぜSAPIXで成績が悪いのか、それは無視していいレベルなのかどうかという過去問分析をしていただくといいいと思います。
慶應普通部を受験するにあたり、今後どのような点に留意していけばいいでしょうか。
SAPIXの合格判定でそれだけの偏差値をたたき出してしまったということは何かしら原因はあるわけで、まずはその分析が必要です。
たとえば「選択肢でちゃんと最後まで読まなかった」「自分で良さそうなものを選んでしまった」などですね。それは慶應普通部だろうが短文だろうが選択問題が短かろうが同じことになりますから、それは気をつけないといけないんだなということになります。
あとは過去問で点を取れているということはひとつの安心材料ではありますので、70点80点のレベルを維持するために今後どういうことを注意すればいいのかを分析してもらうべきだと思います。
さきほど言った外部模試にかんしては、もしまわりに合不合判定テストを受けている方がいれば、データの見方を訊いていただいてもいいですし、四谷大塚のホームページにも合不合判定テストのデータの偏差値表が出ていますので、そういうのを見て「ああ外部模試ではこれくらいの偏差値なんだなあ」というのを見ていただければイメージも湧くと思います。
そういうものを活用するのもひとつの方法かという気はします。
理社の成績がいいですので、SAPIXの80%の偏差値表ですと、おそらく慶應普通部はおそらく57、8か60くらいですね。あとは、慶應普通部の過去問がどうであるかというところがあると思います。
ただ、国語に関しては文章との相性もありますが、塾の問題との相性もありますので、これをもって一概には言えないと思います。
どうしても大手塾に通っている方は、大手塾の中で考えてしまいますが、中学受験というのはどんなに大手であっても、その塾だけでは受けないですよね。
ですから、こういう学習相談や他塾の模試を受けるなど、積極的に外部と接触し、違う視点で中学受験全体を見てみるといいのではないでしょうか。