早稲田アカデミー 最下位クラス 男子A君の場合
学習相談担当:当塾スーパードクター講師 安部講師
【生徒の現状】
・現在、早稲田アカデミーの最下位(α1)クラス。以前にSAPIXの入塾経験もあり、今は早稲田アカデミーと並行して週1回、四谷大塚の個別指導にも通わせているが、自宅から遠いということもあり模索中。
・塾の宿題に日々追われ徐々に余裕が無くなってきた。組分けなどの範囲のあるテストにプレッシャーを感じてか、点数も徐々に下降の傾向に。
・全教科の偏差値が全体でおおよそ41。YTテストの得点数はおおよそ6~7割程度。
・算数と理科(特に物理的な計算)がどちらかというと苦手。
・苦手な算数を重点的に勉強してきたが、テスト等で応用を効かせた問題となると途端に解けない。
・使用しているテキストは“4科のまとめ”。1回転は終えている。
・家での勉強時間は、塾のある平日を含め平均2時間はこなしている。勉強場所は、リビングの隅に置いてある机を中心に、時には母親や大学受験を控えた兄に勉強をみてもらっている。
・本人は至って温厚でマイペースな性格で、テストの結果はそれなりに気にはするが、みなぎるような競争心はない。今までに反抗してきたということもない。
・夏休みも夏期講習や自宅学習に明け暮れていた。
・帰ってきた本人にテストの結果を聞くと、そんなに悪い感じには言わないが、解答用紙を見ると国語でも記述が全然書けていなかったりする。字も汚く雑なため、親御さんは1問1問大事にやりないさいと注意を呼び掛けている。
・親御さんは附属校の進学を希望。本人の志望校は青山学院中等部。学校の過去問等の対策は未だ着手していない。
【先生のアドバイス】
6年生に進級してから、「急激に下がりだした」とか「急に反抗期が始まって勉強しなくなって…」とかではなく、4年生の頃からまず算数にその傾向が現れ、全教科的に波及したとかいう形ですと、やはり5年生の勉強内容に関して非常に定着度が悪かったと思います。
お話の中にも“4科のまとめ”が出てきましたけど、あれは非常に良いテキストなんですが、【5年生の時点での抜け落ち】とか【分かってはいるけども、根本的に分かって解いているわけではない】というようなあやふやな感じですと、かえって穴が埋まらないことがあります。
“4科のまとめ”はあくまでも、ストンと忘れてしまっている事を発見するための、手当てのための最終的な確認問題集ですので、あれをメインでやるともちろんテキストの問題自体は解けるようになったとしても、その周辺問題が一切解けないという現象もよく起こってきます。
そうなると、やはり私がよくお勧めするのは、戻るべきところは戻って、5年下とか6年上の演習問題集の基本編ですね。
こちらの方は単元ごとになっていますし、色んな周辺パターンが網羅しています。ですので、自分がどこでつまづいてるのかという部分を発見させるというようなチェックという意味で、戻るべき問題集に戻って総チェックをかけていくのがよいかと思います。そうでないとなかなか、4科のまとめやバックアップテキストをやっていっても、目の前の問題が何とか理解しかけても、それがどこからきているのか、というのが分からなくなってしまうということがあります。
今せっかく、塾のある日も自宅学習を2時間程度やっているとか、本人もやる気になって一生懸命宿題もさぼらずにやっているわけです。しかし、ただそれが、抜け落ちがあるまま宿題をまじめにやると、まじめにやればやるほどドツボにはまるということもあります。ですから、時には宿題なり、塾のカリキュラムなりというものを離脱してでも、戻るべき所には戻っていくというのが1番重要な事かとは思います。
あとはやはり、いわゆる附属校ですね。
附属校の場合っていうのは、偏差値が非常に高いですけども、極端に難しい問題が出るわけではありません。ですので、全教科的にまずもう1度基礎を固め直すことが大事です。
男子は進学校であれば配点以上に算数の負担が多いですけども、あまり算数に時間を取られ過ぎないようにしたいですね。そして、理科も社会も含めて残り5か月ですから、1番上げやすいとこから上げていくというようなイメージも必要になってくるかなと思います。
【Q&A】
Q
個別指導ドクターさんへ入塾した場合、他の塾も継続して入った方がいいですか?
A
どんな塾でも、早稲田アカデミーだろうがSAPIXだろうが日能研だろうが、11月・12月ぐらいの時期になってくると、全部の塾の授業を出ないといけないという話でもないんですね。取捨選択しながら自分に合った勉強時間を確保していくわけですから、行かない、行けないとかそういう話では一切ないですし、行かなくてもいいとかは、また後々の判断になってきます。
Q
算数と理科が苦手な場合、その教科の配点が少ない学校を選んだ方がいいですか?
A
算数に関して本人の抜け落ちている知識を整理整頓すると、急に出来るようになるという子も確かにいます。
その一方で、基礎がしっかり固まっていてそれなりに解けるけども、難しい問題になると急に対応出来ないという場合も勿論あります。
もし後者の場合ですと、逆に理科と社会に残り時間を配分した方が、たとえ配点が低くても点数は上がりやすいというのは存在します。そこはテスト戦術として、何とも言い切れる状況ではないですね。
Q
それは、学校別の対策でということでしょうか?
A
私は算数担当ですから、算数の話で申し上げると、まずざっと【全単元を見直す】【穴を埋める】【理解不足の箇所・勘違いの箇所を修正していく】。
そのうえで中堅レベルの問題をある程度ざっと解かしていく時期を通り越したら、今度は行きたい学校の、周辺の学校の過去門から着手していくというような形で、最終的には青学の算数というもで点を取れるように目指していくというような感じにはなってくると思います。
Q
今から青山学院中等部を目指すのに間に合いますか?
A
私が去年みていた男の子が青学に行ったんですけども、やはり最後まで算数には苦労しました。
なかなか定着しなかった部分もありますけども、テキストを絞ってパターン問題を繰り返すことによって、青学の算数というものにある程度対応出来る所までいけました。
Q
青山学院中等部は、そんなに難しい問題は出ないんですか?
A
算数に関してはそうですね。
もちろん、その分得点率は上がりますけれども、女の子に比べて男の子の方が正直入りやすい部分はありますし、明治とかに比べると算数の負担自体は少ないです。
ただその分得点率は高いですし、理科も社会も決して落とせないという話になってきますので、残り時間はとにかく細かく細かく埋めていかないといけないという事になります。