「新緑とフィボナッチ数列」
こんにちは、受験ドクター代々木校の吉岡英慈です。
新緑の美しい季節になりました。
代々木公園に足を伸ばせば新緑が目にまぶしいですね。
心地よい風にゆれる若葉…。木漏れ日…。
木々はどんどん枝分かれし成長していきます。
1つの種から枝が1本。1本が2本。2本が3本。3本が5本。5本が8本…
おや、フィボナッチ数列?
成長する生命から、つい数列を連想してしまうのは、算数講師の悲しい性。
今回は、成長する草花を支配するフィボナッチ数列のお話し。
中学受験でも出題されるので、知っておいて損はありません。
<フィボナッチ数列って?>
フィボナッチ数列というのは、下のように続く数列です。
1,1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89 144, 233, 377…
どのようなルールで数が生み出されているでしょう。
これは有名ですね。
前の2つの数の和が、次の数になります。
1+1=2 1+2=3 2+3=5
377の次を求める場合は、233+377=610 となります。
このフィボナッチ数列が、自然界の様々な現象に密接にかかわっているのは、実は有名なお話。
例えば、先ほどの木の枝分かれ。
<ケヤキの枝分かれ>
1本が2本に、2本が4本にと分かれそうなものですが
1本⇒2本⇒3本⇒5本⇒8本⇒13本⇒…
このようにフィボナッチ数列で枝分かれしていきます。
おもしろいですね。
算数の問題では、似た形として、「電話連絡網の問題」があります。
最初に電話をうけた1人が、次の2人へと電話をかける。
電話を受けた人は、また次の2人へと電話をかける、というルールです。
これも、1人⇒2人⇒4人⇒8人と増えていきそうな気がしますが
電話を2人同時にはかけられないので、2人目にかけている間に、1人目にかけた人が次の人へ電話をかけ始めます。
そこに時間差が生じ、ケヤキの木と同様のフィボナッチ数列が生まれます。
<花びらの枚数も!>
まだまだあります。
例えば花びらの枚数。
ユリ、サクラ、コスモスの花びらの枚数を思い出してみましょう。
正解は…ユリ3枚、ウメ5枚、コスモス8枚。
おや?これもフィボナッチ数列。
キク科植物には13枚、21枚などがあります。
写真は代々木校舎からほど近い公園にて撮影。
数えてみると花びらが、やっぱり21枚!
不思議ですね~。
公園で真剣に花びらの枚数を数えているスーツ姿のおじさんも
少し不思議な光景だったかもしれません。
<フィボナッチ数列を見つけたのは?>
フィボナッチ数列の名づけ親となったのが、13世紀のイタリアの数学者レオナルド・ダ・ピサ。
えっ!フィボナッチが名前のどこにもない?
実は、フィボナッチはあだ名で、「ボナッチの息子」という意味。
ちょっと可愛いですね。
フィボナッチ数列改め、レオナルド・ダ・ピサ数列。
彼はウサギの増え方の研究を行い、それがフィボナッチ数列研究の出発点となりました。
しかし実は、この数列、6世紀のインド人音楽家ヘマチャンドラによって発見されていたことが記録されており、フィボナッチが自著「算盤の書」でその内容を紹介したことで、西洋に広く知られるようになったのです。
さすが、インド。
6世紀に、しかも音楽家が発見していたというのが驚きです。
ヘマチャンドラは、1拍と2拍のリズムを組み合わせて作ることができるリズムのパターン
を研究している際に、この数列を発見したといわれています。
正しくは、フィボナッチ数列でもレオナルド・ダ・ピサ数列でもなく
「ヘマチャンドラ数列」ということになります。
<フィボナッチの隠れた功績>
フィボナッチ数列を世に広めたレオナルド・ダ・ピサ。
数列自体を発見したわけではありませんが、アラビア数字の普及に大きく貢献しました。
それまで不便なローマ数字を使っていた西洋数学の世界に光が差したのです。
もしフィボナッチがいなければ、中学受験の算数もローマ数字を用いていたかもしれません。
例えば、体積比でよく登場する8:27。
ローマ数字だと、XIII:XXVIIになっていたか思うと少しゾッとしますね。
小学生が問題用紙に書き込むローマ数字ひっ算は大変な分量になっていたでしょう。
アラビア数字、ありがたや~。
<身近なところに隠れているフィボナッチ>
少し脇道にそれてしまいましたが、フィボナッチ数列は枝分かれや花びらの枚数以外にも、身近なところで多く登場します。
ひまわりの種、アロエの葉、松ぼっくり、植物の葉の茂り方(葉序)…
皆さんにとって最も身近な中学受験の問題としては
階段の上り方、電話連絡網、旗を揚げる問題、タイルの敷き詰め
問題などにフィボナッチが隠れています。
皆さんも、身近なところに隠れたフィボナッチ数列を探してみてください。
そういえば…
代々木校本部校舎がある55番地も、フィボナッチですね♪
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